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クローゼット制服化への道=自分の歴史を振り返る

母のこと

母は美人顔だったと思うが、残念ながら「センスのある人」ではない。
今は黒いワンピースばかり着ている。
大きなウォークインクローゼットにうんざりするくらいの服が詰まっているけれど、私から見たらどれも似たり寄ったりの、適当な価格の服が並んでいる感じ。
そして結局のところ数枚のワンピースしか着ているのを見たことがない。
靴も黒い靴ばかり40足以上はあるけれど、稼働しているのもほぼ数足(笑)

ちなみに母が死んでから母のクローゼットから欲しいと思う服は一着もない。
それぐらい装いに対してこだわり抜いて選ぶということがないんだろうなと推察できる。良さそうと思ったらすぐ買う、そうやってぶくぶくと膨らんでいった服の砦。二、三万円の適当な服を増やすぐらいなら、十着分でとびっきりのコートやスカートでも買えばよかっただろうに。
そんなわけで母のクローゼットにはヴィンテージのCHANELもHERMESも一着もない。

母から学んだことは(反面教師として)黒以外でもファッションを楽しむことの大切さ。不思議とおばあちゃんになったら黒だけではおしゃれに見えない。


父のこと

父は自分のスタイルを持っている人だった。
人生でも人からどう見られるか関係ない、自分軸で決める人だったから当然かもしれない。自信もあって不思議と「おしゃれ」に見えた。
夏は白いハーフパンツにこだわりのアロハシャツ(アロハシャツも色々種類があって、シックな色合いの着心地良さそうなものがある)そして白いメガネ。
父は若白髪だったので、グレイヘアも相まって街中でも目立った。
持ち物は数少なかったが、カッコ悪いと思ったことはなかった。

父から学んだことは自分が好きな服を着ればいい!



私のファッション経歴(幼少期から20代)

今でも忘れない。
私が幼稚園の頃着たかった服は、上下ピンクで鮮やかな模様が散りばめられたツーピース。だけどそれを着たいというと父は「ダサい」と言った。
自分もそう言われることがわかっていたので、あまり着たいと言わなくなった。

それ以降自分がどうやって服を選んできたのか記憶がない。
小中高と制服だったので、あまり私服を着る機会はなかった。
ただ大学生になって、Camcanなどを読み始めると私のバイト代はどんどん服に消えていく。エビちゃんに代表されるいわゆる「モテ服」が全盛期だったけれど、自分の好みとは少し違うなという自覚はあった。
アピールする服よりも、引き立たせてくれる服の方が好きだった。

駅ビルの中にあるような若い子向けのショップやLUMINEもよく見た。
今思えば、「いいなと思うコーデを丸ごとお買い上げ」が一番コスパがいいよと教えてあげたい。当時はそんなこともわからず、雑誌で見た雰囲気に似ているものをもっと安く探せるんじゃないかと思っていたんだと思う。
もちろん、そうやって探すという時間も、足が棒になるぐらい歩き回るウィンドウショッピングも楽しい時間だったとも言えるのかもしれない。

それでもファッションにかけられる金額で自分の中に勝手に設定があった。
トップスもボトムスも10,000円以内。コートも30,000円以内が理想。
定価で買うようなことはあまりなかったのかもしれない。今ほどUNIQLOがおしゃれじゃなかった時代だったのでGAPでシンプルなニットなどをお得な時に買っていた。当時からシンプルでラインの綺麗なものが好みだったのは変わっていない。
当時は言語化できていないけれど、タイトスカートでの丈感のこだわりとか、素材のこだわりとか、自分の小さなこだわりポイントはどんどん蓄積されていった。

それから自分を整えることが手取り早いおしゃれにつながることは自覚した。
髪を綺麗に整えるとか、姿勢をよくするとか、ハイヒールを履くとか、胸がないならウエストを絞って黄金比に近づけるとか、自分でできる体の補正はしたほうがおしゃれの幅は広がると思えた。(年齢を重ねた今は、できることが限られていることも学んだ笑)

ここまで振り返ってきて、自分がずっとこだわっていたのは「自分が綺麗に見える服」が好きだったということ。
ハイヒールでも履き口が浅いものとか、タイトスカートでも後ろのスリットの重なりのあるものを選ぶとか、生地の透け感とか、安いものがいいけれど、安っぽく見えない服がいい、という見栄があったのだと思う。

そうして私のクローゼットの中には、似合うと思って選んでいるけれど、そのうちなんとなく着なくなった服が堆積していくようになる。体への整えておくということは意識していたので、服のサイズは変わらないから捨てられない。ただ自分を綺麗に見せてくれる服、は確かにクローゼットでしぶとく生き残っている。


それなら最初から「一番自分が綺麗に見えるワンセット」が明確に決まっていたらどんなに楽しかっただろうか。それをしっかり選んでいれば課金額も変わっただろうし、なんとなく似合うから買う服を減らすことができただろうに。
お買い物ももっともっと楽しかっただろうな。



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