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ミスコンかえてみたヒトの話

生まれ変わるミスコンテスト

近年、ジェンダー視点から、各大学で開催するミスコン・ミスターコンについて議論が起こる傾向があります。

そこで、今年度の明治学院大学ではミスコンとミスターコンを改革し、運営団体が手を取り合って、これまで抱えてきた問題を解決・一新すべく「Meijigakuin Contest」を行いました。
オーディションや審査方法を変更し、「発信力」で評価を行い、最終審査では、3部門(パフォーマンス、スピーチ、SNS)で審査をする試みです。

本番は、白金祭最終日の11月3日(木)に行われ、対面開催、YouTube開催ともに大盛況のなか終了しました。

このnoteでは、石原英樹ゼミ8期生の二人が改革に向けた思いを語ったインタビューを掲載しています。

※本インタビューは2022年8月時点のものです。

👆学園祭当日 ニュースZEROで取り上げていただきました!

話しているひと

モデレーター 石原英樹教授(いしはら・ひでき)
明治学院大学 社会学部社会学科 教授
近年の研究テーマ「コミュニケーション論の社会学」「性的マイノリティーへの寛容性の計量分析」
大学近辺の美味しい店に大変詳しい

パーソナリティ① 宮田 明音(みやた・あかね)

明治学院大学 社会学部社会学科 3年生
広告研究会 代表
座右の銘「明日死んでもいいように生きる」

顔かくしはゼミに入るための課題図書 おススメです

パーソナリティ② 金刺 由芽(かなざし・ゆめ)
明治学院大学 社会学部社会学科 3年生
広告研究会 制作局長
座右の銘「笑う門には福来る」

石原先生のサバティカル期間中教えていただいた、大好きな高橋幸先生(フェミニズム)のご本!

トークのなかみ

  1. 元々の明治学院大学のミスコンについて

  2. ミスコンにおける、ルッキズムや外見主義

  3. 性別で区分しないコンテスト!?

  4. 写真を使わない1次オーディション審査

  5. 「発信力」で評価

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ゼミ生がインタビューされてみた

1.元々の明治学院大学のミスコンについて

宮田)宮田明音です。社会学部社会学科の3年で広告研究会に所属しています。今年度の代表を務めています、よろしくお願いします。

金刺)社会学部社会学科の金刺由芽と申します。広告研究会では制作局長をしております。よろしくお願いします。

────広告研究会っていうのは外の広告の講義みたいなのもやっていたかと思うんですが、それとは別に?

宮田)もちろん広告の方の研究もあるんですけれどもそれとは別で学祭である白金祭っていうイベントとして毎年明治学院大学でミスコンを開催しています。

────最近社会で話題になっていますが、ミスコンに対する議論とはどういう感じなんですかね。

宮田)一言で言うのは大変なんですけど…、ミスコンって言ってもいろんなものがあるじゃないですか。 国際的な物とか大学とか。やっぱり各大学に対するミスコンに向けられる視点っていうのはすごく厳しいものがあるなっていうのは体感としては感じていて。そもそもミスコンっていう言葉だけで、頭ごなしに批判されることもあるのかなって。

2.ミスコンにおける、ルッキズムや外見主義

────フェミニズムとかジェンダーとかそういう文脈もありますか。

金刺)外見至上主義(ルッキズム)っていう、見た目がいい人がいいんだっていう評価されるべきっていう考え方をしてよくないんじゃないかって批判がありますけど、その中でもミスコンは特に今まで顔で評価するっていう側面もありますし、一つの視点だけで人を評価して順位をつけるというのはいかがなものかっていう批判が今まではありました。

────水着になってくださいっていうのとかもね。 男性の視点ですよね。まさに性的にみるっていうのかな。今まで当たり前だなとは思っていたけれども、女性がそういう視点をそのまま引き受けて飯を食ってるんだみたいな。そういうデリカシーのなさが昭和の頃ありましたが、そういうのが変わりつつある。 昭和的なイベントに見えたのかな。

金刺)そういう昭和的なイメージもある中で、そういったのを大きく変えようともしないまま、続けてきたので。

宮田)それはミスコンって言っただけで叩かれてしまう理由も分かります。そういうということを疑わずにこれまで続けてきてしまっていたっていう。

────アメリカのミスコンだと高い女性限定とか、一時期は白人ばっかりで、黒人が入れないっていう感じがあったけど。これはルッキズムって言うか何て言うんでしょうね。

宮田)今の世の中ではそういう多様性を!みたいなことがよく言われるじゃないですか。こういったものには反してるって言えるんじゃないですか。

金刺)日本の大学におけるミスコンっていう話になってくると、特にうちの大学やこれまでの私たちの活動だけではないですけど、男受けが良いって言うかそういう感じになってしまっていたと思っています。清純派で黒髪とか大人しそうでとか。
そういった価値観みたいなものが大学のミスコンには、画一的にこういった人のほうがいいですよね!みたいな女性観みたいなものを打ち出してしまっているっていうのがあったと思うんです。
それこそ海外における白人だけっていうように、人種とかで分けてないまでもこういったイメージの方がいいよね!っていう共有とかが出ていたのかなって思っています。

宮田)例年そういう人たちが出ているって言うのは、そういう人が出たいだろうし、 出るってなった人がそういう傾向になってしまうということもあると思います。

────出る人たちもそれでいいんだと、自分の中の女性性みたいなのを出して認められたいというか

宮田)そもそもそういう人が悪いというわけではない。それも個性だから。

────ミスコン優勝した人ってアナウンサーとかになると思うんですけど、ぱっと見の顔で惹きつけるとかもあるからね。全部悪いってことはないんだけどさ。ミスコン自体をなくしちゃえ!って人もいるし、いたよね。それに対してどういう風に考えたの?

金刺)そうだな、それをなくしちゃえ!って考えた人がどうして無くしたいって言っているのかを調べたり、学ぼうとしたりしましたね。頭ごなしに拒否したくなっちゃうところはありますけど。批判あるって言うことは、理由があると思ったので。それが何でそうなのかっていうのを思って。じゃあそれをどうやって変えていけばいいものになるかと。

宮田)我々としてはそれをすぐミスコン辞めるともならないし、私たちはやり続けたいですよともならなかったし、白黒つけるって言う感じじゃなかったんですよね。できる方向を探ってきたいってすごく思いました。

────批判を受け入れつつも辞めるって言うんじゃなくてオルタナティブがあるんじゃないかって、コンテストに?

宮田)そうやって悪く言われるものだけのものではないという自信があったので、いいところをもっと伝えていきたいなっていう気持ももちろんありますね。

3.性別で区分しないコンテスト!?

────面白いね。世の中だいたいさ、そういう無条件に受け入れるか・全否定かっていうなるんだけど。君たちがその間行ってるので。頑張ってるなと思うんですよ。そういうあなたたちを応援する人たちがどんどん現れてきたとして、ルッキズムの性別上のステレオタイプがあったときにじゃああなた達何ができるの?って言われた時にどういう方向を考えたのかな。

宮田)そうですね。私たちは「ミス明治学院大学コンテスト」だった時には女性だけ募集だったんですよ。性別を限定していた、ミスター明治学院大学コンテストも同様だったんですけど。

────ミスター明治学院コンテストっていうのは男性だけのコンテストで、そちらは広告研究会ではなく主催者が違う団体だった?

宮田)そうですね!そもそも広告研究会ではなかったので、なんだろう。お互いに問題意識は持っていたし、その中で今年の準備が始まろうとしていたわけですよ。そうなったときに、結論から言うとミス明治学院大学コンテストミスター明治学院大学コンテストを合同開催しようということになったんです。
合同開催って言うと、ミスミスター明治学院コンテストみたいなものが想像されると思うんですね。ただ私たちそれじゃ意味がないと思っていて。例年やってること変わらないという風に思ったので、形から入ればいいというものじゃないんですけど、形から変えないと行けないと思って、名前を「明治学院コンテスト」って名称に変えました。

────ミスコンじゃなくてね。男性部門と女性部を立てるコンテストが今までだったと思うんですよ。でも、もっとまぜちゃうわけだ。

宮田)例えば、エントリーナンバーが12345ってあったら、いわゆるミスミスターみたいな人ってミスの1から5番・ミスターの1から5番っていうのがいて、5人ずつで行ったりするんですけど。その5人の中が、もう性別関係なく混ぜ込んでやりたいなって思っています。

────それはつまり女性は男性から採点されるものみたいなね。男はそれを見て楽しむみたいな一方向的なものではなく?ってことかな。

宮田)そもそもあまりそういう性別で区分したコンテストをやりたくなかったので、女性部門で1位とか2位とかじゃなくって。同じ人間として見てその中で競い合ったら面白いじゃないですか。

────僕はまだイメージわかないんだけど

宮田)私たちも探り探りですけどね。

4.写真を使わない1次オーディション審査

────そのさっきの性別の話とかルッキズムの話とかをクリアしようとしているんだね。でもどうなの?顔とかで選ぶんじゃないの?

金刺)それはやっぱり見ている人からしたら、毎年ミスコンとかミスターをしている団体が選んでる時点でって思ってしまうのもあるかもしれないんですけど、今回まず変えたところとして、まず一つ目に書類審査の時点で顔写真とかを出してもらわない。本当にやりたいことだけを文字で書いてもらってそれでまず一次審査をしました。

────企業面接みたいだね。

宮田)まあそうですね。そういう風にオーディションをやらせてもらっていて。広告研究会全員じゃないんですけど。例年は書類とともにzoomとか対面で始めていたんですけど、本人たちと顔を合わせる前に1回文章で読みたいっていうのがあって私たちもコンテストを改革したいって思ってるくらいだから、強い意志を持っていて。
 見た目だけじゃないコンテストを作りたいと思っていても、やっぱり人間なので顔から受ける影響って少なからずあると思うんですよ。喋り方とかいわゆるコミュ力高い人って惹かれますし。そういうことだけじゃなくみたいなって思ったので。最初音声も無く顔写真も見ずにその方がアピールしたいって思ってくれてる内容部読むって事を一番最初の審査にしました。いっぱい喋っちゃうんですけど。そもそもそれでいっぱい落とすとか、いっぱい受からせるとかは、置いといて。私たちがそういう風に一旦受け留めるっていうのが重要なんじゃないかなと思っています。

────なるほど。確かに、それはルッキズムからワンクッション置くっていう感じですね。人間の顔とかそういうスタイルとかの良さを否定しているわけではないけれども、そこだけで勝負になっちゃってたからな。

5.「発信力」で評価

金刺)あとはミスコンに出てる人たちが明確にこういった自分のここを知って欲しいだとか見て欲しいっていうことがなかったので、人は見るときに、見た目とか顔とかスタイルとかから高評価につながっていたかと思うんですけれども。それをまあ無くせるっていうか。それを見ている人に変えてもらえるように、今年のテーマと言うかコンセプトとして、「発信力を競うコンテスト」にしたいと思っています。
 まず募集の段階から発信したいことがある人。このコンテストを通じて発信することで、自分が持ってる物とか知って欲しいことを世に広めたいと思っている人、軸がある人を基準に募集からさせていただきました。その上で見てもらう人にもどう評価したらいいかっていうのを分かりやすくって言ったらあれですけど、改革の一環として3部門、今までにはなかった部門を設けました。
 その部門というのが、「パフォーマンス部門」と「スピーチ部門」と「SNS 部門」っていうものがございまして。それが3部門をファイナリスト全員が挑戦して、その中で全ての部門で評価されて全ての部門から総合的にみて、グランプリが決まるというコンセプトのものになっています。今年は。

────えっと例えば、俺が最終までいくとするじゃない。パフォーマンスっていうのは何をするの?

宮田)最初に「スピーチ」から説明すると、順番はあれで考え方として。スピーチって言葉で伝えるじゃないですか。自分がやりたいことはこれです、こういうことを皆さんに伝えたいですというのはなんでか。どういうきっかけでそう思ったのか、色々話していただいて、それを評価するというのがスピーチ部門です。そういうのがまずあるんですよ。「パフォーマンス」部門というのは、言い方が誤解を生まないといいのですが、ビジュアルでわかるような・視覚的に捉えられるようなアピールの部門。

────ダンスとかそういうものも?

宮田)そうです。そうです。ダンスを頑張ってきたことを発信したい人がいたら、スピーチ部門では経歴や想いもあると思いますし、社会的に何を伝えたいかなども入ると思います。そして実際にパフォーマンス部門でそのステージを披露してもらうみたいな。

────ルービックキューブでもいいよね。

宮田・金刺)ああ!もちろんありです。

宮田)ルービックキューブが凄いんだって伝えたい人でしたら、ルービックキューブをやってもらっても。

────そしたら、そのSNS部門っていうのは何?これは後からやるの?

金刺)これは最初で。白金祭当日ではなく、それまでの活動期間の積み重ねになるんですけども。今年はやっぱり発信力を出していくコンテストなので。どれだけ自分の持っているコンテンツで発信ができたかというのもみていきたいと思っています。
 それが一概にフォロワーの伸びだけでやってしまうと、やっぱり見た目の良い人が良くなってしまうという問題も考えられるので、それだけじゃなくてちょっと細かい話はここでは言えないんですけど、もっとちゃんとした基準を設けて、様々な面からちゃんと発信できたか・どれだけの人に広められたかというのを打ち出していこうと思っています。

────なるほどねえ。なんとなく分かってきました。で、今言った話はこれまでに言われた問題をクリアしようとしているじゃないですか。それは本当に評価できるんだよね。大学に高橋先生に来てもらっているんだけど。現代のミスコン・ミスターコンをジェンダーからどうやって考えるかというタイトル。わかりやすい説明がネットにあるんだけど、こういうのを見るとだいたいお話されていることが良くわかる。上智大学とかだと最初に予告だしたじゃん。そこら辺の話も。上智とはどう違うんだろうね。

金刺)コンテスト自体のコンセプトが「発信力」になっているだとか、細かい面をみるともちろん違うところもあるのですが。今までやっていたミスコンを廃止して、違うコンテストを男女とかをわけずに新しいコンテストを行うという点では大きく変わらないと思う。

宮田)共通している部分ももちろんあると思います。

────そうかそうか。方向は同じだもんね。

宮田)私たちとしてはそう思っています。

────そうですか。わかりました。まああの色々これからのことだとも思うので、またラジオの方に来ていただいて進捗なども伺いたいと思いますので。エントリーは、先生はしちゃいけないの?

金刺)一応、学生から募集していますね・・・!
宮田)出たかったですか?!

────出たかったですねえ(笑)エントリー締切などは終了している?

宮田)そうですね。予定としましては、一般向けに8月の頭にSNSアカウントなどで告知があります。

────顔写真のない一次審査はここでやるってこと?

金刺)それはオーディションの話ですね。

宮田)私たちがファイナリストを決めるまでに3次審査があったんですよ。それの1次ということです。その後に、固定概念を持たずに対面で会ってお話することも大切なので、その審査を2回しました。

────ええ、すごいね。何回もあるんだ。

宮田)3回までやったのは私たちも初めてですね。書類審査があったので、例年は2回はお話してるくらいですが。

────そうかあ。こうやって変数が多くなってくるからね。会わなきゃいけないのが増えるのは大変だと思うけれど、頑張っておくれ。

宮田)個性的なメンバーが揃ってくれたので、すごく楽しみにしています。

────うちのゼミでは、明治学院コンテストを応援しています!
金刺・宮田)ありがとうございます!

────お二人、ラジオはこれで終わりますが何かお話しておきたいことはありますか?

宮田)お披露目は8月の上旬ですが、当日は白金祭の最終日、11月3日に行われるので、ぜひそちらは色んな意見があると思うのですが、見てもらえたら嬉しいなと思います!

────そうだね。「ミスコンかえてみた」っていう今日のタイトルは凄くわかりやすいしね。全然違うことになったんだっていうのが、皆にも理解してもらえたら嬉しいなと思います。ではお二人、ありがとうございました。頑張ってください。

宮田・金刺)ありがとうございました!

学内学会記事はこちら👇
つながる。社会学科 Meijigakuin Contest 2022を主催した3年生に聞く | STEP

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学園祭「ミスコン」から性別問わないコンテストに “発信力”重視に変えたワケは?(日テレNEWS) - Yahoo!ニュース

(編集:金刺由芽)

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