見出し画像

移動 遊動する人

永い歴史
人が一箇所に定住して暮らす、今日の私達の社会は、ほぼ1万年前から       始まったとされています。
その後、狩猟採集から農耕へと、暮らし方が変わったとされています。
一方、人類が誕生したのが今から6~700万年前だとされています。
では、今から6~700万年前から1万年前までの長い間、人々は、どのように暮らしていたのでしょう? 
ただ、狩猟採集を何百万年も行っていたのでしょうか?
気になりませんか?

移動の民 ブッシュマン
未だ、アフリカ、カラハリ砂漠にいるブッシュマンは、私達と異なり、      定住せずに移動遊動、狩猟採集の生活をしています。                                   しかし彼らは、定住する他の部族に追われ、砂漠に逃げ、移動遊動の民に なったとされている故、人類の定住以前は、人は移動遊動民だったと結論付けるのは早い気がします。ただ、アフリカではなく、アジアの地に移動  遊動民は、今日も存在しています。ボルネオ島のイバン族がそうです。  彼らとセレベス島のトラジャ族を比較します。

大きな違い
これは、人類学の成果ですが、前者は移動焼畑民(定住農耕民ではない)であり、部族内のメンバーは流動的(乱婚、近親相姦はないが、家族の結合が固定的でない意)且つ、平等的(食料の平等的分配の意)であり、個人間の差異は、死の際も等しく扱われるとされています。           一方、後者は、定住的稲作民であり、彼らの死後の葬儀様相は生前の地位、富、威信を表すものとされています。

追われる移動民
私達の社会は、後者にとても近く、前者はあり得ない。しかし前者の社会は、今日もごく一部に存在している所から、定住以前は、人は移動、遊動の暮らしをしていたと言えましょう。
そして、ブッシュマンの例からも、ある時、ある時代(定住以降1万年以降)を境に、移動遊動の民は、定住の民から逃れた、定住の民によって  追われたといえましょう。

眠ったままの移動情報
定住の歴史は1万年前から。移動遊動の歴史は6~700万年前から、わずか1万年前まで。移動遊動の歴史は永く、ゆっくりなのです。         これも文化人類学の成果ですが、今日でも移動遊動の暮らしをしているピグミー族やコイサン族の一部は、その移動の動機を、単に食料確保のためだけでなく、グループ内に死者、疫病が出た場合や、他グループと近付き過ぎ 緊張状態となった場合、体がなまってきた場合等、経済から始まり、観念、生命、政治社会、身体の各面から、移動が始まるとされています。
私達は定住した故に発生した移動時代との矛盾点に折り合いを付けるノウハウを身に着けたが、私達の持っている移動遊動の情報は、未だ眠ったまま?が多い、と考えられませんか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?