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鉄道で都市を移動する 【ポルトガル旅行 振り返り編8】
基本的に飛行機が好きな私は、鉄道を使った旅が極端に少ない。
何の自慢にもならないけれど、
新幹線の乗車経験は両手で足りるほどで、
駅の自動券売機であれオンラインであれ
切符購入は未だに要領を得ない。
そんな私が今回、ポルトガルで鉄道に乗ろうというのだから、
旅は間違いなく自分を少し成長させてくれる。
今回のルートは首都リスボンを出発し、ポルトガル第3の都市コインブラ、そして第2の都市ポルトへと、南から北に縦断した。例えるなら
東京から名古屋、大阪を移動するイメージだ(こちらは横断だけど)。
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もともと気楽な一人旅、
あまり細かくスケジュールは組まないで
行き当たりばったりも楽しみたかったので、
切符は当日駅に行ってから窓口で購入すればいいと思っていた。
しかし、やはりなんとなく気になったので出発前に
ポルトガル国鉄(CP)のホームページでダイヤを調べてみた。
リスボンから北上する鉄道の運行間隔は1時間に1~2本。
一見すると、そこそこの本数があるようだが、
実は高速鉄道、急行、鈍行と各種あり、
選ぶ便によっては所要時間が大きく変わってくる。
鉄道での移動そのものを楽しむなら
どの便に乗ってもいいかもしれない。
けれど私はできるだけ短時間で移動して
目的地での滞在時間を長くとることを重視していたので、
高速鉄道一択だった。そうなると便数はかなり限られてきたので
行き当たりばっりではなく、事前にチケットを予約することにした。
今回の旅は、一事が万事、
先人たちのブログなどが役に立った。
切符購入もそうだった。
「ポルトガル 鉄道 乗り方」
「リスボン ポルト 移動」
などのキーワードで検索すると、
チケットの買い方を日本語で丁寧に説明してくれている記事が
いくつもヒットした。
それらの記事とCPの予約サイトを行ったり来たりしながら、
まずはリスボン ー コインブラ間の切符を予約する。
リスボンからはSanta Apolonia(サンタ・アポロ―ニア)駅と
Oriente(オリエンテ)駅から出発するようだった。
私は泊まっているホテルに近い方、
オリエンテ駅発のチケットを購入した。
ちなみにどちらから出発しても運賃は同じ。
利用日の8日前までに購入すると割引が適用される便もあった。
割引率は小さくないので、
日程が決まっている人には事前購入をお勧めしたい。
CPの利用者登録のような作業が手間だったが、仕方がない。
登録を済ませ、希望する列車や座席指定を一つ一つ慎重に入力していく。
支払いはクレカ払い、チケットはメールにPDFで送られてきた。
QRコードがあったので、当日は検札でここを見せるのだと思い、
スクショと印刷したものと両方用意しておいた。
![](https://assets.st-note.com/img/1699596425156-LPlrKUi4EW.jpg?width=1200)
ラジオの流れる地下鉄構内
リスボン出発当日。まずはホテルから地下鉄の駅を目指す。
7時39分オリエンテ発の列車に乗るために
6時半の始発かその1本後に乗ることを目標にした。
身支度を整えてホテルをチェックアウト。
9月下旬のリスボンの朝は遅い。
6時を過ぎても、まだまだ暗い。
石畳の歩道の上をスーツケースを転がしながら歩く。
石畳はいかにもヨーロッパ然としていておしゃれなのだが、
スーツケース民にとっては、
1~2センチの段差でも駒が動きづらくなり、
歩くスピードも落ちるという、ちょっとやっかいな代物だった。
ゴロッゴロゴロ、ゴゴゴッゴロ……
静まり返った暗がりの街に不規則な音が響く。
まだベッドの中にいる住民の迷惑になるのではと
冷や冷やしながら、ゆっくり歩いていく。
目指す地下鉄の駅に着くと、
ちょうど職員が鉄製のスライドシャッターを開けているところだった。
前日に購入した24時間有効の交通カードが使えたので、
スムーズに改札を通ってプラットホームへ。
始発便の到着まであと数分、ホームのベンチに座って待っていると
ラジオが流れている事に気が付いた。
昼間は流れていなかった気がするんだけど、
始業前だから? それとも今日だけ特別?
意外なシチュエーションに遭遇し、心細さが吹き飛んだ。
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数駅乗車してオリエンテ駅に到着。
親切な若者に「どこに行くの?」と声を掛けられ、
乗り場近くまで連れて行ってもらった。
よほど不安そうな顔をしていたのだろう。
こうした旅先の思いがけない親切は心にしみる。
私も普段、明らかに困っている外国人観光客を見かけると
声を掛けようかなと思うのだが、そんな時に限って
私も急いでいたりして、なかなかタイミングが合わない。
![](https://assets.st-note.com/img/1699596714883-4Qr7ab9M0m.jpg?width=1200)
7時を過ぎると東から空が明るくなり始めた。
売店も開いていたので、水とクロワッサンを買った。
ヨーロッパの朝食と言えばクロワッサン、と言うイメージがある。
あくまでイメージだけど。
乗車まで、まだたっぷり時間があったので、ホームにも出てみた。
日本とは違ってホームドアはなく
四方が見渡せて、かなりすっきりした印象。
足元を見ても、停車する車両番号や線は書かれていない。
そのため、列車が到着すると、ホームで待っていた乗客は
荷物を持って慌てて列車を追いかけることになる。
自分のチケットには車両番号が書かれているのに、
長い長いプラットホームのどの辺りで待機すればいいのか分からないのは、
効率的ではないし不便だ。けれど、これもまた海外ならではの経験だろう。
私もまた、列車がホームに滑り込んで来るたびに、
列車の車体に記された車両番号をすばやく確認して、
乗るべき車両を追いかけた。
A駅、B駅 何のこと?
電車を使ってコインブラに移動したことのある人は経験済みだと思うが、
目的地であるコインブラ中心部の駅までは、1本でつながっていない。
明快に説明できる自信はないが、どういうことかというと、
コインブラにはA駅とB駅があり
(乗車券にはそれぞれCoimbra、Coimbra-Bと表記されている)
私が行きたいのは、観光地が集中するエリアにあるA駅だ。
地理に不案内な旅人の心情としては、このA駅まで1本直通で行きたい。
しかしどうやら、他の都市から到着する列車はコインブラB駅が終点で、
そこから1駅だけローカル線に乗り換えてA駅まで移動する必要があるのだ。
実はポルトも同様で、
私はコインブラからポルトの中心部にある
São Bento(サン・ベント)駅まで行きたかったのだが、
列車はサン・ベント駅の1駅手前までしか行かない。
あと1駅、わずか2キロ、時間にして4~5分程度なのだが、
無情にも(?)1駅手前で下ろされる。
旅行前、私はこの都市間鉄道とローカル線の乗り換えが
具体的に想像できなかった。
しかし、どのブログや記事を読んでも
乗り換えまで細かく説明しているサイトは見つからず、
もちろん乗り換えに失敗したなどという話は出てこない。
敢えて記録するほどではなく、それくらい簡単
と言うことの裏返しなのだろうが、
「乗り換えが出来なかったらどうしよう」
考え出すとどんどん不安になる私だった。
実際には、駅の待合室やホームに
何かしら電光掲示板が設置されているので、
そこで自分の行き先と次のホームの番号を確認すればよかった。
しかし、普段から列車に乗り慣れていない上に、
ポルトガルで初めての乗り換え体験。
コインブラB駅に着いた時には、
電光掲示板が(見えていたはずなのに)見つけられず、
通りがかった職員さんに聞いても「向こう側」としか答えてくれず、
大いに慌てたことを正直に告白しておこう。
こんな私に言われたくはないだろうが、
必ずどこかに電光掲示板があるので、落ち着いてそれを探して、
自分の乗るべきローカル線のプラットホームを確認したい。
なお「海外あるある」だが、
プラットホームは変更することもあるので、
直前まで気が抜けない。
![](https://assets.st-note.com/img/1699597168216-USTzbnuF7w.jpg?width=1200)
ポルトガルの鉄道は、おおむね時間に正確だった。
リスボンからの列車は定刻に出発したし、
コインブラB駅でローカル線に乗り換えた時も、数分遅れた程度だった。
ありがたいなと感じたのは、
コインブラA駅発B駅行きのローカル列車に乗った時のこと。
発車の10分かそれ以上前に、列車がプラットホームに入ってきた。
寒暖差の激しい時期に、吹きさらしのホームで待つのは、
寒がりの私にはじわじわ堪えたので、
風が避けられる暖かい車内で待ていられるのはありがたかった。
ただ、座っていると空いていた扉が自動的に閉まるので
「えっ? もう発車? 私乗り間違えた?」と
ドキッとする瞬間もあった。
もともと扉近くのボタンを押して開閉するタイプの車両は、
時間が経つと自動で閉まるようになっているらしい。
最後に、スクショと紙に印刷していった乗車券が
どうなったかについても記録しておこう。
電車に乗るとすぐに車掌さんが
「Bom dia (ボン・ディア、おはよう)」と検札に来る。
乗車券をちらっと見ただけの人も入れば、
「×××(←私の名前)」と声高々に読み上げる人もいた。
いずれにせよ、今回はQRコードの出番はなかった。
ポルトガル国鉄のホームページ
CP - Comboios de Portugal
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