計画的偶発性理論に基づいた海外コンテストへの応募と方法論
こんにちは、フォトグラファーとスタジオを併設したカフェの共同経営をしてますIshigameKoudaiです。
お仕事で写真を撮っていますがその傍らで海外に向けて作品を作っていて、3年ほど海外の審査制のギャラリーサイトや写真コンテストに応募し続けています。
写真コンテストは世の中にたくさんあり、おかげさまで僕もいくつか賞をいただいたり名だたる広告代理店さんやCDさんなどに配られるBOOKなどにも掲載されたりしてきました。最初は泣かず飛ばずの時期もあり、数ある中の写真からどれが良いかを選ぶことも大変だったのですが、運用していく中でどうすればより良い写真をセレクトすることが出来るか、というのを試していました。その中で、自分が試してみた手法が割と良かったのでnoteで記事にしてみましたのでシェアしてみます。
前提と前置き
ちなみに本記事は前提として、コンテストのために写真を撮っているわけではなく、表現したいこと・好きなものがあり、同じコンテンツでもデリバリー方法を少し工夫することで評価されるべき作品をしっかり評価してもらう機会の創出や可能性を高めることを、過去の個人の体験をもってシェアするというものになります。
したがって、ここで共有することはあくまで、一個人がその時期運用してみて得た知見の一つであることであり、受賞確率の上昇を保証するものではないということだけ認識していただければと思います。また、その手法やセオリーなどに正解も良し悪しもないことを前提として踏まえてもらえればと思います。
計画的偶発性理論について
タイトルにもありますが計画的偶発性理論とは、個人のキャリアの8割は予想していない偶発的なことによって決定づけられる、その偶然性をある程度設計することでキャリアをよくしていく、というスタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授らが提唱したキャリア論になります。
偶発的なことというのは完全にコントロールは出来ませんが、偶発性にある程度計画した方向性を持たせることができると考えることが出来ます。
この考えを応用すると、コンテストで受賞する という方向に偶発性を持っていきたいわけですが、そのためにはその作品が目の肥えた第三者の評価・フィードバックが必要になってきます。自分の近くにそういった人がいれば良いですが、現実的ではなくより再現性があった方が良いため、海外の審査制サイトを活用していく方が良いと思われます。
各メディアの特徴
流れに入る前に、扱うメディアについて説明していきます。
大きく分けると審査制サイトと海外コンテストの二つになります。
審査制サイトについて
審査制サイトはオンラインの美術館とも言え、全世界から写真を投稿することができ、そこからキュレーターと呼ばれる審査をする人が、独自の判断軸で掲載するに値するか否かを判断し、審査が通ればサイトに掲載されるというものです。掲載自体は受賞ではないですが、目が肥えた人たちにある程度認められる・絵として評価される、というクリエイターにとっては自信になりえる第三者評価の証です。
審査の判断軸はサイトやキュレーターさんによってかなり変わるので、どういう作品が評価されているのか実際に掲載された作品をみてみることをお勧めします。審査制サイトはOneEyeLandや1Xがとても有名で、それぞれかなり系統が異なりますが世界中の腕利きのフォトグラファーさんが投稿しているので、ギャラリーをみるだけでも勉強になると思います。
OneEyeLandはOfficial Selectionと呼ばれる審査に通るとギャラリーに掲載してもらえます。そこからPicture of the dayやPhotographer of the weekに選出されますが、最近は審査が結構厳しいのでベンチマークとしてはOfficial Selectionでもかなり十分です。商業で活躍されてる作品が多いので、広告系などの表現は好まれやすいように見えます。
一方1Xは、審査に通るとPublishedがもらえ、そこから通過率1%を潜った作品にAwardedの認定がなされます。2021年12月時点だとPublisdhedの通過率がかなり緩くあまりあてにならないと思っているので、本記事ではAwardedをベンチマークにします。
作風的には芸術写真や海外ファインアートが多く、OneEyeLandに比べるとアートな作風が好まれるように思います。
海外写真コンテストについて
海外写真コンテストは、その名の通り国外の写真コンテストのことでこちらは審査制サイトの「掲載」とは異なり「賞」が存在していて、IPA(International Photography Awards)やTRIERENBERG SUPER CIRCUITなどたくさんのコンテストが存在しています。もちろん賞のバッジや証明書が発行されます。
ちなみに、海外の写真コンテストを応募締め切りと一緒に一覧で紹介しているサイトがあるのでチェックしてみてください。今回の記事ではこちらの受賞にフォーカスしていきます。
確率を上げるセレクトの流れ
掲載されるまで審査制サイトに上げ続ける
作者のエゴ的な部分をのぞいて数値的な工夫でコンテストでの受賞率を高い写真をセレクトするには、審査制サイトでのアップの数を多めに設定しておくのが良さげです。もちろん全カットをあげる必要はないのですが、完璧なお気に入りだけでなく同じシチュエーションのアザーカットや異なる構図やテイストが変わったカットなども入れておくと良いと思います。(アップロートはダルいと思います)
ギャラリーに掲載してもらう(目の肥えた人にみてもらう)
こちらはアンコントローラブルなので特別自分が何かをすることはないですが、掲載されたらなぜ掲載されたのかをできるだけ言語化してみると良さそうです。最近の1Xは、Request critiqueというキュレーターさんにフィードバックを求める機能もあるので、作品の良さの特徴量を省みると良いです。
審査に通る枚数は人やサイトによりますが、僕の場合現時点だとOneEyeLand Official Selectionはさっぱりで1XのAwardedは通過率10%前後でした。
掲載してもらった写真をコンテストに出してみる
ここまでくればあとは審査制サイトで掲載された写真を投稿するのを待つだけです。おそらく気が付いた人もいると思いますが、作品のセレクトはとても重要で似たような作品でも受賞あるいは掲載しない場合もあります。
もちろん最後は自分の判断軸で決めるのが一番ですが、そうじゃない場合はこのように確率的に選択していくのも一つの手かなと思っています。そして、それをより「たくさん」行っていくことで自分の中に判断軸が自然と出来てくるのでとにかくある程度量をこなすことが大事です。
ちなみに、自分の過去実績を例にすると2020年はOneEyeLand Official Selection ⇒ OneEyeLand World’s Top 10 FineArt photographer contest (Finalist) ⇒ WPE International Photography Awards(Silver)、
2021年は1X Awarded ⇒ Tokyo Internationl Foto Awards(Bronze)という結果でした。
日々審査サイトにあげることの意味
そもそもなんで審査制サイトを噛ませるのか、そんなめんどくさいことをしなくても自分を信じてセレクトした方が良いのでは?みたいな意見もあると思います。それは間違いではないですし最終的には自分で判断・自分の感覚が必要です。ただ、その自分の判断・感覚、つまりは審査眼を養うためには継続的かつ膨大なフィードバックがなければ養われません。(選ばれし天才は別だとは思います。)
「良い作品をたくさん見なさい」というアドバイスはその側面もあります。
また、人間は他人もしくは対象物を正しく評価することが出来ないという前提で、世の作品を評価しています。自分は頑張ってるのに会社は全然評価してくれない、みたいな問題とかなり似ていて、評価する側と評価される側で期待値が合致しているかどうかをみる必要があります。
その合っているかわからない評価軸を全て自分だけで判断するのはとても難しいですが、評価側のフィードバックがあれば期待値の合致が非常にやりやすくなります。つまりは、お互いのあゆみよりをすることで自分の目標とするところに到達できる確率が高くなる、ということです。
まとめ
ここまで読んでくださりありがとうございます。長々と書きましたが、以下がこの記事で伝えたいことになります。それでは2021年もわずかなので、良いお年を!
・コンテストに出す前に審査制サイトで第三者フィードバックをもらおう
・応募し続けて審査眼を鍛えよう
・評価する側とされる側で期待値調整をしてみよう
参考
https://ja.wikipedia.org/wiki/計画的偶発性理論
https://www.rgf-professional.jp/insights/2020-06-what-is-planned-happenstance-theory-how-to-create-a-career-contingency-career-plan
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