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信頼で結ばれた共同体

1on1で定期的に対話する機会をつくり信頼していることを明示的に伝えよう

1on1がうまくいくヒントとなるパターンを書き始めた。最初のパターンは「組織パターン」にもある【信頼で結ばれた共同体】。自分の1on1で完璧にできているわけではない。しかしこうでありたいという意識で臨んでいる。

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...いったん組織が出来上がると、各メンバーの人間関係がチームの効率に多大な影響を与える。良い影響であることもあれば、悪い影響であることもある。(「組織パターン」より引用)

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チーム内の人間がお互いに信頼しあうことが欠かせない。そうでなければ、何かをやりとげることは難しいだろう。(「組織パターン」より引用)

1on1の目的には、上司と部下のコミュニケーションの改善、メンバの成長や組織の課題の発見など、それぞれの組織に応じたものがある。どんな場合でも信頼しあうための対話に重点をおくべきだ。たとえば、マネージャーとメンバーは、お互いの存在を認め、考え方を理解して、一緒に未来を語り、目的を同じくする共同体でなければならない。

もし信頼しあっていなければ、1on1で話す話題は自己弁護だったり、誰かの批判のために時間を費やすことになってしまう。もちろんそれを聞く場面はあるだろう。しかし、そこから前を向いて自分ごととして取り組む姿勢になるには、一緒に悩んだり、一緒に考えたいと思うに足る人かが重要だ。

「信頼」はリスクを自ら全面に負い、無制限に信じること。
(「リーダーのための勇気づけマネジメント」より引用)

1on1で他のメンバが信頼できないという声を聞くことがある。問題の多くは誰か特定の個人の中にあるのではなく、互いと周囲との関係性に起因する。関係性の課題に向き合う一歩は、対話をしてお互いを理解することだ。そうして信頼されていると感じることで、自分と周囲に何が必要かを考えることができるだろう。

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それゆえ、1on1で定期的に対話する機会を作ろう。リーダーとメンバーが対話する機会ができてコミュニケーション量が増えると信頼関係が高まる。人は話す量によって親密度を測る傾向がある(ザイオンス効果:単純接触の原理)。1on1の1回に時間をかけるより短い時間でも頻度を上げることが、信頼関係の構築に効果がもたらすことがある。

そして1on1では信頼していることを明示的に伝えよう。たとえば相手のことを評価判断ではなく、人柄やあり方を認めるメッセージを意識して伝えなくてはいけない。あるいはその人なりの考え方や行動についての認知や感謝を、はっきりとした言葉で伝えよう。

なぜこうするのか、当たり前と思っていることがメンバー自身にとっては理解できないこともある。たとえば1on1をやる目的も伝えたつもりにならずにぶっちゃけどうしてやるのかを何度でも伝えるんだ。

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このパターンは「組織パターン 翔泳社」の最初に登場する、すべてのパターンにつながる基本的な考え方だ。1on1のパターンの中でも「信頼で結ばれた共同体」はベースとなるパターンになると思う。

信頼で結ばれた共同体では、縦の関係ではなく横の関係として対人関係をとらえる。相手は改善すべき対象ではなく、信頼しあいながら目的に向かって一緒に物事を進めていく仲間である。そうして横の関係のコミュニケーションが生まれると、周囲に対しても良い影響を与えることができる。

会話の量が増えたら、会話の質を高めることでより信頼関係を高めることができるだろう。自己開示で自分のオープンさを伝えたり、抽象度の高い質問で内省を深める関わりができるようになる。

他の人に対する認知を伝えることも有効だ。特定の個人への信頼感を失っていそうなとき、評価判断ではなくその人の存在価値についての認知を伝えるよう。メンバー同士の関係を新たな視点で整理し、信頼を組織の中で効果的に広げていくんだ。

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これは現在探索中の1on1のパターンの中の1つです。公開してからも修正が何度も入る予定です。

参考文献
-  James O. Coplien (著), Neil B.Harrison (著),  和智右桂 (訳), 組織パターン, 翔泳社, 2013
https://www.amazon.co.jp/dp/4798128449/

- 渡邉幸生著,リーダーのための勇気づけマネジメント,セルバ出版https://www.amazon.co.jp/dp/4863673221/


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