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中国ドラマ「儿科医生」(Pediatrician)

主演:ロー・ユンシ(罗云熙)、スン・イー(孙铱)、リン・シャオスー(凌潇肃)、ゾン・リー(曾黎)
2017年 全42話
いしゃーしゃ的オススメ度:★☆☆☆☆

2015年のウォレス・チョンとティファニー・タン主演の中国ドラマ「マイ・サンシャイン(何以笙簫默)」で、ウォレス様の青年時代を演じる若い俳優を見て
「誰これ〜???」
となった。調べてみたらロー・ユンシ。”古装男神”と呼ばれ、時代劇では超人気もの。2020年はカテゴリーによっては人気俳優No. 1に輝いている。私も名前と顔は知っていたが、時代劇しかやってないと思っていた。「マイ・サンシャイン」ではまだ若く、出番がそんなに多くないものの、非常にインパクトのある演技であった。アイドルとして鳴かず飛ばずの彼だったが、この役をきっかけに俳優の道が切り開かれたらしい。

しかしこの「小児科医」という意味のドラマ、結構マイナーで英語字幕版が見つからず、やむを得ず中国語字幕で観た次第。オススメ度を一つ星にしているが、これは正直ちょっと字幕が理解できなかった部分もあったため、もし会話が100%理解できてたらもっと面白かったのかもしれない。が、面白かったらもっと評価も高く、人気ドラマとなっていたと思うので、案外私の評価も正しいかもしれない。

小児科医達の物語

舞台は錦江大学付属病院の小児科病棟。動物などのカラフルなデザインのIKEA製のベッドカバーで統一されたとても可愛い病室と、白を基調としたおしゃれな診察室が中心となる。ロー君演じる外科医のシェン・ハー(申赫)とスン・イー演じる新米内科医のタン・ユージャ(唐雨佳)の二人はずっと付き合っていたが、家族には内緒で結婚してしまう。というのもシェン・ハーの父親は彼が医者になるのに大反対だったので、家族と絶縁状態、ユージャも親が娘が医者なのは嬉しいが、結婚相手は別の職業の人間を望んでいる。
そんな二人を中心とした、小児科病棟で起こる様々な出来事、そして人間関係が描かれているドラマであるが、医療ドラマなのか、ラブストーリーを全面的に出したいのか、それともヒューマンドラマなのか、正直にいって何に焦点を当てたいのかがわからなく、とても中途半端な作品という印象であった。

医療ドラマなのか?中国の病院の不可解な部分

色々と細かい部分は理解できない部分もあったが、いくらドラマとはいえ不可解な部分がかなりあった。

(1) 医療ミス関連を医師が処理
私から見たら「え、ここは弁護士がやらなきゃダメなんじゃないの?」というエピソードがかなりある。患者との対応や記者会見など、なぜか医師が担当し、全てをやらなければならない。

(2) モンスター患者の治療費踏み倒し
治療費が払えないとわかっているので病院前に病気の子供が置き去りにされるエピソードがある一方、入院して治療を受けて、請求書がきて(なぜか入院中に渡される)、あまりの金額に驚愕する家族も描かれる。
困り果てた家族のために、なぜか医師が何かの補助金みたいなのを申請するエピソードもよくわからなかったが、逃亡する患者家族や、逆ギレして踏み倒す患者家族もいた。それはいいのだが、なぜかその処理をまたしても医師がやらされる。そこって経理とか、弁護士がやるんじゃないの?と思うのだが、医師と患者家族の関係がこじれにこじれ、記者によってメディアでそれが取り上げられる始末。

(3) 病院食
他のドラマの病院のシーンを見ても思ったのだが、中国の病院では食事が出されないと理解したが、あってるだろうか?家族が食事を持ってくる、外に買いに行くのはいいが(これも病気によっては問題だと思うが)、食事代にも事欠き、看護師達が患者に奢ってあげるというのもなんか不可解。

もしこのドラマで、これらの点を現在の中国の病院システムの問題点として焦点を当てているのならいいのだが、ちょっとそうとも思えなかった。
他にも女性医師達はいつもおしゃれなハイヒール、勤務時間も仕事が終わって帰ったと思ったら、次のシーンではまた同じ服装で職場にいたり(これは編集のミスか?)、結構ツッコミどころが満載。

ラブストーリー?

主人公のシェン・ハーとユージャのカップルの他に、あと3つのカップルのサイドストーリーがある。次にメインとなるのはリン・シャオスー演じる外科医チュー・ズーチェン(褚子健)とゾン・リー演じる内科医イェーメイ(叶梅)のラブストーリーであるが、12年前に学生だった頃に二人は付き合っていたものの、結局仕事でのすれ違いで別れることになり、ズーチェンは別の女性と結婚し、娘もいる。イェーメイはずっと彼のことを思っているが、ズーチェンの離婚、そして娘の病気がきっかけで二人がよりを戻す。これはストーリーとしては一番いいものであった。
だが、ユージャをはじめ女性陣がほとんど皆思いっきり強気で怒りっぽく、わがままなのに対し、あまりにも健気すぎる男性陣が不憫で、思わず「もっと可愛い子を見つけなよ!」と応援したくなるほどであった。

医師の成長物語というわけでもないようで、シェン・ハーは最終的に腕の神経を損傷し、二度とメスを握れなくなってしまう。ユージャは最初は内科医だったはずだが、最後に外科医になる。医師達が成長していく、キャリアを積んでいく物語でもないので、観終わってから中途半端感がぬぐえない。

唯一の見どころはシェン・ハー役のロー君。
地声だし(時代劇ではほとんど吹き替え)、2020年の現代ドラマ「Love is sweet (半是蜜糖半是伤)」で見せる姿ほどまだキリッとしていなくて、メイクもしていないよりナチュラルな彼の姿がとてもいい。YouTubeでもこのドラマが出ているので、興味のある方は少し彼の姿だけでも見てはいかが?(全話見る必要なし!)或いは、ファンの方でまだ見ていない方には上記の「マイ・サンシャイン」の方をお勧めする。これは現在Amazonプライムで視聴可能。

こちらは公式MVではないが、ドラマのエンディング部分から取った主題歌♪

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