行政書士に合格した人へ

行政書士試験に合格した皆さん。おめでとうございます!
私は平成13年合格で法人勤務を経て、今は個人事務所を開いています。
大規模な広告活動などやっていないので、大規模とは程遠いですが、古くからの顧客もいて助かっています。
合格されてその資格を生かすにはいくつかの道があると思います。

一つは行政書士法人に勤務する方法です。
しばらくは補助者として実務を経験すると思いますが、そのうち行政書士登録をさせてもらって、いわゆる使用人たる行政書士として活動するかと思います。
この場合、社員である行政書士と使用人たる行政書士に分かれていて、使用人たる行政書士には法人名で活動する限り多少の制限があります。申請取次行政書士など社員でなければ取得できない資格もあるし、職務上請求書は法人職員と個人職印を両方の捺印が必要になったりします。
ですが、行政書士証票を所持している以上、対外的には行政書士として活動することができ、官公庁との打ち合わせなどもすることができます。
社員は会社でいえば取締役のようなものですが、無限責任となります。その分責任は重いといえるかもしれません。
行政書士登録をさせてもらえる期間はその法人によって様々だと思います。
基本的には一人で相談から完結まで対応できるようになれば登録させてもらえるでしょう。多くの場合、登録費用も法人が負担してくれると思います。

私は法人勤務の際、社員である行政書士として使用人たる行政書士に4名ほど補助をしてもらっていました。
ですが社員にしてください、と自分から申し出る方はほぼいませんでした。従たる事務所を設けるときはその事務所に社員がいなければならないので誰かを選任し、拠点長みたいな立場で社員になってもらうケースがほとんどでした。
理由は、行政書士として活動するにはあまり影響はないことと、無限責任となることにあると思います。
たいていの場合、社員になる前に独立することが多かったように思います。

社員になってもらう場合、使用人たる行政書士の中から選任することになりますが、私も任命権を持っていましたので、個々と面談するとともに勤務地・住居などを勘案してお願いしていました。
拠点を設けようとする場合には、単にそこに拠点があると便利だからというのが理由かと思います。例えば自動車関係を主力としているのであれば陸運事務所の近くにあった方がいいとか、顧客がその地域にある程度見込める場合です。

責任を持ってもらう以上、社員になってもらうために、いくつかの資質を判断しました。
一つは補助者の仕事をきちんとフォローできるかどうか、面談技術が優れているかは当然のことです。
一番大事なのは専門分野だけでなく、新規分野への対応が一人でできるかということを重視しました。
でもそれくらいは、行政書士として生きていこうとするなら当たり前のことですから一定の年数を経験していれば身についているはずです。

合格したら考えると思われるのが個人事務所として開業することです。
来客を応対できるスペースと、事務スペース、複合機の
準備など費用は掛かりますが、費用を用意できるならばさほど難しいことではありません。
ただし、事務所を移転せざるを得ない場合が生じた場合、単位会からの脱退と移転先の単位会への登録費用がかかってしまうので、開業する場合は注意が必要です。

もうひとつ、ベテランの行政書士事務所で補助者として実務を学ぶことです。補助者経験、他士業経験者以外ならこの方法がベストかもしれません。
報酬は一般企業に比べればそれほど高くはないと思いますが、そこでお金を貯めて開業を目指すこともできますし、雇用主の行政書士先生に事故があったり廃業されたりした場合は、受け継ぐこともできるのでお勧めです。

とにかく、今では難関の域にある試験に合格したのですから、自信を持ってほしいと思います。
試験内容と業務で乖離があることはよく言われますが、これはどの業界でも一緒です。

最後になりましたが、行政書士としてのご活躍をご祈念しております。

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