僕らはみんな役立たずのブサイクだけど、
酒を飲むたびに「唇に大きな傷跡があるから誰からも愛されることができないよ」と泣いていた友達が結婚した。俺は気にならなかったけど、人のコンプレックスっていうのは得てして他人には理解されないもんで、俺も三白眼が恥ずかしくって、下のまぶたを上げて目をすぼめる癖が治らない。そのことを人に言ったら「そんなことを気にしていたのか、もっと人間的に破綻しきってるところたくさんあるのにか」と笑われたことがある。コンプレックスなんか人には気にならないもんなんだなと嬉しかったけど、いまだに癖は治らない。
年上好きの友人に「実際どこまで上いけるの?」と聞いたらしばらくうにゃうにゃと悩んでから「小池百合子!」と言っていた。食らえッおれの一票!!!とか言いながら出すんか。ココが杉並区、ココが世田谷区…、じゃあココは?知事、恥ずかしがらず目を見て答えてください…じゃないと住民税は今日もお預けですよフフ…
「百合子の都庁にイセノくんの税金、奥まで納税してくださいッ」
百合子ちゃんは素敵な女性だけど、俺には歳の差が開きすぎてて。でも彼は抱ける、抱きたい、抱かせていただきたい!と豪語していた。百合子ちゃんは素敵な女性だけど、知事と付き合ったら寂しい日が増えそうだし気苦労も多そうだ。
「先端恐怖症でフェラチオするのが本当にキツい」「同棲してからこいつのせいで関連動画がYouTuberだらけになった」
そう言っていた二人も未だになんのかんの付き合っているみたい。
俺の好きなバンドはだいたい歌が下手クソだ。絵が下手クソでも単行本買うぐらい好きな漫画だってたくさんある。俺は足の太い女が好きすぎてカスタムキャストで理想のオンナ作ったら足のバロメーターマックスになったし、好きなボーカリストが歯並びグチャグチャだから歯並び悪い人かっこよく見えちゃう。頼り甲斐のある人も好きだけど、世話の焼けるところのある不完全な人間はもっと好きだし、雰囲気の良いレストランより座布団の色が褪せてるような居酒屋の方が落ち着く。血統書つきの犬よりボサボサの雑種とか鼻のつぶれたブッサイクな犬の方が好き。ゲームボーイアドバンスが好き。緻密に作られたボーカロイド曲みたいなのよりもガッサガサに適当に作られたバンド音楽の方が好き。村上春樹より村上龍が好き。大昔のインターネットが好き。深田えいみは綺麗だけど苦手。コンプレックスなんだろうなって笑う時口元隠す人とか、涙袋露骨にヒアルロン酸入ってる人とか好き、単純に可愛いと思う、ひねくれではなくて。
最近みた映画のラストで「僕はブサイクだから女の子に告白なんか無理だ」と俯く主人公に友達のゾンビが
「僕はゾンビで君はブサイクだけど、人間なんかみんな多少はブサイクだ。僕らはみんな役立たずのブサイクだけど、一人でも”それで平気だ”と言えば、それでいいじゃないか」
と言っていた。すごく良い言葉だと思った。映画は本当に面白くなかった。でもすごく良い言葉だと思った。
俺のブサイクが、三白眼が、人間的な破綻が、気にならない誰かがいたら良いなあ。あなたのブサイクも気にならない人がきっといるにちがいないな。
今日のは、そういう話です。小池百合子のくだりは忘れてください。さようなら。
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