レガシーコードが成功した理由その3(ゲーム性「想像可能、予知不可」「仮説と正解」)【無料】
前回はゲーム性の「選択性と自主裁量」をご紹介しました。
今回は感覚的な部分で更にもう一歩踏み込んでいきます。
【目次】
●コンセプトと目的を決める (第1回)
●ゲーム性について
・「選択性と自主裁量」 (第2回)
・「想像可能、予知不可」&「仮説と正解」(←今日はココ)
・「感情を動かす」(飛ばします)
●ゲームの細かい部分について(飛ばします)
・成長を感じさせるためには
●成功要因分析(次回は先にココ!)
■ゲーム性について
・「想像可能、予知不可」&「仮説と正解」
想像・・・「物事を心の中で思い浮かべること」
予知・・・「何が起こるか前もって知ること」
※前提として上記の意味と定義します。
※今回、少し言語化が難しい部分もあり散文的ではあります。
【必要な能力を想像する】
前回の「選択性と自主裁量」内の「パラメーターの割り振り」という箇所があったかと思いますが、実はそこでは「選択をする」という行為の他に「この先を想像をする」という行為が含まれています。
武器カードの裏にはこういった記述があります。
「攻撃」~「神秘」のざっくりとした説明があります。RPGとかをやっている人は割りとイメージがしやすい能力になります。
ただ、そんな人でもこのゲームは初めてですので「この先どういった能力が必要になるのか想像」しなくてはなりません。
つまりステ振りの段階では想像の範疇に過ぎません。
どんなに色々なゲームをやっていても、そのステ振りが正解かどうかの予知は誰にも出来ません。
そこでシナリオ上「一番最初のイベント」で敵を出し、戦闘の全ての要素を詰め込む必要があります。
戦闘を体験したプレイヤーは「設定したステ振りは正解」だったや、「今後の自身の役割」を把握することができます。
この部分だけではイメージ出来ない部分もあるので、ゲームの流れを通して説明します。
【一歩目の仮説と正解】
ゲームの始まりはMAPの一番上に設置されているカードから始まります。
山頂のカードにはこれ見よがしに目立つ色で「めくって探索」とあります。
これが、全体の雰囲気を壊してまでこのアイコンを入れたのには理由があります。
カードの表側(シナリオ部分)は伏せられて見えないわけですから、プレイヤーからするとカードをめくるまで内容は観測(予知)不可範囲になります。
その存在に気づいたら「めくれば物語が始まるのかな?」と仮説を強制的に脳内で立てることになります。そしてめくったら物語が始まるという手順が踏まれ、無事に仮説が正解だったことを証明するわけです。
山頂の上から移動できる箇所は2つ、説明書のチュートリアルに沿うと1つの方向へ進むことになります。
直感的にめくって探索と理解したプレイヤーは、次の場所へ進み物語が進むことを仮説に考えます。そして、実際に次へ進みカードをめくって見たら、プレイヤーの想像通り物語が進みます。
そして次へ進もうとします。
この文章読んで「当たり前のことじゃない?わざわざデザインに落とし込む必要ある?」と思うかもしれません。
ただ、制作者とは違いプレイヤーはこのゲームのことは何も知りません。それを念頭に置き直感的にストレスなくゲーム進行をさせる必要があると考えます。
ここで起こる現象としては・・・
想像力を掻き立てる。→ おおよそ正解だったor学んだ
というのが自然にインプットされます。
そうやって「物語の進め方」と「戦闘の方法」を自ら学ぶことになります。
自分で考えて体得したものは忘れません。
自分で考え、試し、実際に想像通りにゲームが進むと
「このゲーム面白いかも」という評価になります。
更に実はこのゲームにおける1戦目に関しては「どんなステ振りにしても、ほとんどの仮説が正解になる」数値バランスとスキル構成になっております。唯一、ユーザーが明らかな失敗と感じるルートは「1人プレイの時に弓を選び、神秘特化にする」の時くらいです。
それでも大体5〜6割くらいでクリアはできるバランスなので、「なるほど、そういうことか」と自ら学び、次の仮説を立てることになります。
つまりこの一歩目で、プレイヤーはこのゲームの仕組みのほとんどを理解することが出来ました。
人は物事をインプットするのは、序盤が一番集中力があり、最適と言われています。
そして、プレイヤーが自発的に立てた仮説を正解に導くデザインが必要と考えます。
ただ、気をつけなければならないのは「予知まではさせない」ことだと思います。
「どうせ次こういうの来るんでしょ?」と想像させて、それが正解に至るようなデザインですとそのプレイヤーの中で一定のゲームクリアを導き出す方程式が完成されて、そのゲームはとても退屈なものとなります。
習得済みの問題集を永遠にやらなくてはいけないというのは面白くないのと一緒です。
このゲームは幸い「シナリオ」「世界観理解」「複数人プレイ」「ダイス判定」という要素のおかげで「物語の進め方や必要な能力の想像はつくけど、実際に次に進んでみないと分からない」という形で補完されています。
ゲームは「想像&仮説」→「答えあわせ」というものがプレイヤーの脳の働きで根幹としてあるものだと考えます。
プレイヤーは次に立てた仮説を、次の実践で回収するというのが繰り返しあるからゲームを遊び続けるのかと思います。
このゲームの時間感覚が短く感じるのはそのシステムが仕込まれているからなのかと思っております。(これは人のゲームの好みも出ますが)
構築型の対戦カードゲームもデッキ構築が仮説で、対戦により実践的な正解や学びを得るようなものと性質は一緒なような気がします。
特に対人戦の要素が大きいゲームですとゲーム性にもよりますが「予知が出来ない部分」が大きくなっていきますので、プレイヤーの考え(仮説)と相手の行動(答えあわせ)が連続して面白いのではないでしょうか。
ここまで読んでいただいて感じるかと思いますが、この要素はかなり「ケースバイケース」です。
制作するゲームへの落とし込みは、そのゲームの目的だったりゲーム性に依存しますので根本として「そういう考えもあるんだな」程度に捉えて、「面白いゲームが出来たか不安」という考えに至った際にココの考えへ戻ってくるイメージでいいと私は思います。
まとめとしては・・・
「ゲーム進行が直感的に分かるデザインは大切」
「仮説と正解の要素がないと飽きる」
「ある程度はプレイヤーの想像通りに進行させるが、予知まではさせない」
・・・といったところだと思います。
次回は、レガシーコードの再生産へ動き出したというのもあり、もろもろ飛ばして「成功要因分析」(有料記事)を先に書きたいと思います。
頂いた資金は全て再生産費として活用させていただきます。
※第1回の有料記事範囲を見ていただいた方は色々と察してくれるかと思いますが・・・。
【レガシーコードが成功した理由】執筆済み一覧
●コンセプトと目的を決める (第1回)
●ゲーム性について
・「選択性と自主裁量」 (第2回)
・「想像可能、予知不可」&「仮説と正解」(第3回)
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