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位相と論理と私1:読み始めたyo(pp.1-4)

位相とブール代数を扱っているようです.ブール代数は「論理の代数化を目指して創始された」らしいです.今は第1章を読んだところ.簡素な記述で、基本的には定義−命題–証明の流れで議論が進みます.自力で行間を埋めるべきところがちょっと多めにありますが,大体は定義を理解できていれば簡単に示すことができ,良い練習になります.以下、本に書かれていることをかいつまんで説明します(pp.1-4).

lower set

集合論、同値関係、順序関係の解説の後、lower setというものが定義される.
順序集合$${P}$$と、その部分集合$${S}$$において、

$$
s\in S, t\le s\implies t\in S 
$$

が成り立つとき、$${S}$$をlower setであるという.訳語はないのですね.ある元$${s}$$が$${S}$$に属するなら、$${s}$$以下の元たちも$${S}$$に属するということ.

lower setは、この章を通じてずっと登場する、重要な基礎概念であるようです.lower setの例として以下があります.

$$
\darr(a)=\{s\in P \mid s\le a\}\\\darr(Q)=\bigcup_{a\in Q}\darr(a)
$$

upper setについても同様です.

join

順序集合に対し、上界と最小上界は何かという説明があります.この本では、$${a}$$が部分集合$${S}$$の最小上界であるとき、$${a}$$は$${S}$$のjoinと呼んでいます.$${a=\lor S}$$と書きます.joinも日本語訳にはせず英語のまま通すようです.

$${a}$$が$${S}$$のjoinであるなら,$${\forall s\in S, s\le b\iff a\le b}$$という条件を満たします.逆に,このような条件を満たす$${a}$$があれば,それが$${S}$$のjoinです.

$${\lor\varnothing}$$は最小元です.そのことは、上述の「$${\forall s\in S, s\le b\iff a\le b}$$」が「$${\forall s(s\notin S\lor s\le b)\iff a\le b}$$」と書き換えられることからわかります.つまり,空集合$${\varnothing}$$に対しては,どんな元$${s}$$に対しても$${s\notin\varnothing}$$となるので,上述の条件を満たす$${a}$$があるなら,それは最小限であるとなるわけです.

最小元が存在すればそれを0と書きます.

半束

順序集合$${A}$$のすべての有限部分集合がjoinをもつとき、半束(semilattice)という.

私は束というものを今まで勉強したことがなく、初めての束論となります.抽象的過ぎて分からなくなったら、べき集合族を例にして考えると良いです.

まとめ

今回は,lower setとjoinの定義をおさえればよいです.
(つづく)


2022/2/7:改題しました.


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