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『もしドラ』読んだ


「もしトラ」ならぬ「もしドラ」

『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』を読んだ。

通称『もしドラ』。最近「もしもまたトランプが大統領になったらどうなるか」を略して「もしトラ」と言われますが、その略し方の元になった本です。

どんな本?

2009年発行。15年前の本です。大枠としては小説。

あらすじは、野球部のマネージャーになった女子高生が、組織経営に関する書『マネジメント』を、部活のマネージャーのための本だと勘違いして読み、野球部を活性化させるという話。

その『マネジメント』を著したのは経営学の父と呼ばれるドラッカーという学者。

この本の妙味

ドラッカーの『マネジメント』はインテリの間では有名な学術書だそうですが(私はもちろん読んでません)、そんなお堅い本をポップな存在の象徴である女子高生が読んでしまうという、相反する組み合わせが妙味です。この設定が小説の面白さの99%を占めていると言っても過言ではありません。

経営学の勉強になる?

高校生の部活青春物語を読みながら、経営学のことをちょっとだけ学べます。

基本、ティーン向けの読みやすい小説ですが、『マネジメント』から文章を引用している箇所がいくつかあり、そこだけかしこまって学術書調です。

でもさすがに、大学の経営学の単位をとれたり、経営者の役に立つというほどではないと思います。あくまで経営学の紹介程度です。

この小説の面白いシーンは、主人公が野球部という組織の定義付けをしたら、一気に野球部が活気付いて、他の部活動や地域社会にも影響を与え始めるところです。「野球部という組織の定義付け」とはすなわち、野球部の事業は何かということ。素人的には「野球部は野球をする組織だろ?」って思うのですが、ドラッカー先生の書にはそんな安易な定義ではないとあり、主人公の女子高生は頭を悩ませます。主人公が再度『マネジメント』と格闘していると「顧客は誰かという問いが重要」とあり、そのことが鍵となって物語が動き出します。

そういった経営学っぽい話は前半くらいまでで、後半はほぼ若人たちの青春ものです。

絵柄に時代を感じる

通読に時間はかからないので、まあ1回くらい読んでも損はないのでは、って感じの本でした。

ただ、数箇所ラノベ風のカラーイラストがあり、絵柄に時代を感じます。

(おしまい)

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