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2020月10月15日 木曜日の映画館

木曜の映画館。
金曜から封切りになる映画を控え、ひっそりと上映最終日となる作品達の寂しさを感じる日。

「ミッドナイトスワン」

苦しくなってしまうかなと、気になっていながらチケットを買う勇気が持てなかった。場所と時間の縁もありやっと腹を括り(?)映画館に向かう。


やりたいこと
やりたくないこと
抗えないこと
諦めること
仲間
異質の他人
連帯
嫉妬
挫折
欠落
ちいさいものを守らねばという本能
守られて伸びる、きっと本来あるべきその姿
ほしくてもどうしても手に入らないもの
平気なフリをしてもどこまでもついて回る傷あと


そんな沢山のものが湿っぽくならずでも温度も鋭さも持って作品の中にある。どれも尖っていていちいち全部が心に引っかかる。

バレエ教室の先生に不意に言われた一言、コンクールの場で見せつけられたその存在。
自分の生きたいように生きるために、血を流さなければならない宿命を淡々とひとりで抱える孤独と頑なさに締め付けられる。

草彅さんが演じる凪沙の悲しい目。
最初から最後までずっと、それが印象的だった。


凪沙の思いを理解して共有することは難しいのかもしれない。閉ざされてしまうかもしれない。
でも、たとえ分かり合えなくても、救ってあげられなくても、受け止め寄り添うことはできる。そうありたいと強く思う。

普段映画は1人で観て、余韻やら心に灯る感情やらを1人でかみ砕きながら帰路につくのが常でそうありたいと思ってしてきたけど、誰かの側にいたい、誰かに側にいてほしいと思いながらの「ミッドナイトスワン」からの帰り道。
腹を括ってよかったなと思いながら。


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