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ミドルテンポのスラッシュメタル
前回、Metallicaについて書いた通り、スラッシュメタルの魅力と言ったらスピードなんです。なんてったって速い。Thrashという言葉自体にも速さと暴力を連想させるようなニュアンスがありそうで、素早く、びしっと殴られる、そんな語感でしょうか。
1984、5年にも、Slayer、Anthrax、またGermanyからKreator、Sodomといった速さ自慢が出現しました。日本でもThrashではないものの、44Magnumが速い曲で頭角を現しましたよね。
でも速さ一辺倒となりそうなこの業界でもMetallicaは違ったんです。強烈な個性をもったThrash Bandだったんですね。
それがSeek And Destroyですよ。今でもLiveではセットリストに入っているようですが、間違いなく彼らの代表曲でしょう。
奇妙なユニゾン・リフから始まるこの曲、1stの他の曲からの流れでもかなり異質です。でもこのリフに、彼らの才能が詰まっているような気がするんですよね。
メタルの世界でも、ミドルテンポの曲なんていっぱいあるんです。Black SabbathとかAC/DCにだってあるし、時代を下ったHard Rockの世界にも、ミドルでカッコいい、病みつきになりそうな曲いっぱいあります。
でもSeek And Destroyはこららの曲ともまた違う雰囲気を持っているんですよね。途中で「我慢できなかったのか」、アップテンポになる部分もありそれはそれでフックになっているのですが、全体として、終始、この強烈な印象のリフに、文字通り打ちのめされるような曲です。口ずさめるリフなんですよ。聴いた後も数時間頭の中で動き回るような、そんな中毒症状を巻き起こすようなリフです。こんなミドルテンポのカッコいい曲を入れるところが、彼らの白眉な点ともいえるのではないでしょうか。Thrash Metalとしてはかなり異質なようですが、不思議とアルバム全体にマッチし、欠かせない曲となっています。
この曲、メタリカのメインの二人よりも、Cliff Burtonのベースが目立っています。彼の残した影響こそ、当時のMetallicaを他のバンドよりも際立たせていたものだと思います。それこそ唯一無二の才能です。彼も早世しました。残念。
ベースの音ではないんですよね。それこそ Low Frequency Guitarとでもいった方が正しいとも思えるような、ギターのような音を出していた人です。
Cliffさんのワウとファズを使った、ベースソロも1stに収録されていますが、それも最初Guitarだと思いました。ものすごい個性です。だいたいねえ、ワウとファズを使っても70年代のロックようなの雰囲気は出てません。完全に80年代、新世代のMetalの音です。過去のロックとは決別した音作りです。弾き方としても、音としても、同年代のミュージシャンにかなりの影響を与えたのではないでしょうか。こんなベースが弾けたら幸せだと思いますよ。
Cliffさん自身は、作曲の才能もあり、3rdでOrionという、これまたMellowでHeavyな曲を書いています。これもMetallicaの代表曲ですよね。
彼らのアルバムに若いときに出会えたというのは、大きな経験だったと思います。それこそ奇跡ですよね。この作品を聴きまくり、あの時に覚えた熱情が、この年になってもよみがえってくるのですから。
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