<伊勢滞在記>酒井 ゆう(Sakai Yu)〔チームふくもの〕

「ふくもの」in 伊勢たび

「ふくもの」とは、縁起物や縁起のいい場所のことをとする造語。
その「ふくもの」を探して全国へ旅をしているのが、ふくもの隊。
今回はふくもの隊で伊勢のクリエイティブ・ワーケーションに参加しました。
メンバーは、隊長の上大岡トメと副隊長の酒井ゆう(エビスゆう)。
エビスゆうというのは、ふくもの隊で活動するときにトメさんのマンガに出てくるキャラクターです。

伊勢たびでは、縁起物=「ふくもの」探しと、縁起のいいことをしようと考えていたので、宿泊先である河崎町の民泊「たらちね」を拠点に河崎町を徒歩、自転車で散策、町の「ふくもの」を探すことに。

そこで、まずは毎朝、自転車で伊勢神宮外宮に参拝することにしました。「たらちね」から外宮までは自転車約10分と、恵まれた環境!
1日目に神宮に参拝する神馬を見ることができるという、ありがたい出来事も。その後も最終日まで毎日参拝させていただきました。
終日には祈る=感謝する、その言葉がスッと心に入ってきました。神社は、何かを叶えてくれるという場所ではなく、生きることに感謝し、心を浄化し、整える場所。そんなことを感じさせてくれました。これも「ふくもの」。

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そのほか、地元のスーパーで買い物して自炊したり、近場のお店へ行ったり、地元の方の暮らしを覗かせてもらったり。1週間という長めの滞在だからこその「伊勢たび」ができました。その中で見つけた「ふくもの」は、


ふくもの その1

「伊勢のお米」

「イセヒカリ」は、奇跡のお米としても知られている縁起のいいお米。平成元年の秋に伊勢地方一帯を強い台風が二度直撃した時、伊勢神宮の「御神田」の収穫間際の稲が全てなぎ倒されましたが、その中の2穂だけは倒れずに生き残ったそうです。その稲は、過去のどの品種にも該当しないという事で、平成8年に皇大神宮御鎮座二千年を記念して、その2穂は「イセヒカリ」と命名され、現在では「神にささげるお米(御神米)」として奉納されています。

今回は、「たらちね」のオーナーゆきさんが作っている「朝熊のお米」の田んぼを見学させていただきました。収穫終わりなので何もない、、、かと思ったら、沢山の稲穂が実っているじゃないですか! どういうことかゆきさんにお聞きしたところ、刈り取られた稲の株元から、生えてくる稲のことを稲孫(ひつじ)というそう。「ひつじ」かわいいネーミング!ということで、「イセヒカリ」と「朝熊のお米」を勝手に「ふくもの」認定させていただきました!

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小菜(コナ)を収穫して、ゆきさん宅で漬物に。

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お米の選別を体験させてもらいました。その後、「朝熊のお米」の畑へ。


ふくもの その2

「伊勢の注連縄」

伊勢の町を歩いていると、あちこちで見かける注連縄。
「蘇民将来子孫家門」「笑門」と書かれています。
「蘇民将来」とは、各地に伝わる民間信仰のひとつで、スサノオノミコト(牛頭天王)が旅の途中、泊まるとことがなく困り、兄弟の家にそれぞれお願いに行きます。弟の巨旦は裕福でしたが断り、兄の蘇民は貧しい家でしたが、親切に泊めてあげました。その時、蘇民に「今後、この地に悪い病気が流行った時には、蘇民将来の子孫であると言って茅の輪を腰に着けなさい。そうすれば、病気を免れる」と言われたと風土記などに書かれています。
そのことから、しめ縄を飾って家の中に邪気が入ってくるのを防ぐ護符の意味もあるのでしょう。

私も「笑門」を河崎町のスーパーで購入。「ふくもの堂」入り口に飾りました。これで、コロナも防いでくれること間違いなし!
そして伊勢、中谷武司協会(旧モナリザ)の牛頭天王の注連縄飾りのデザインも素敵でした。来年のはぜひこちらを飾りたいと思います。

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伊勢の注連縄「笑門」を世田谷代田の「ふくもの堂」に飾りました。


ふくもの その3

「伊勢和紙」

伊勢和紙を製造する『大豐和紙工業』(伊勢市大世古)さん。神宮大麻(いわゆるお札)やお守り、神宮暦などに使われる紙はこちらで作られています。

伊勢和紙の製造過程を見せていただきました。和紙に必要な綺麗な水は、このあたり一体に流れている宮川の流水。
原料は「コウゾ(楮)」「ミツマタ(三椏)」「ガンピ(雁皮)」「バショウ(芭蕉)」「針葉樹」から、1つか2つの繊維を混ぜ合わせて作るそう。手間をかけて作られた和紙はキメも細かく、美しい。
何より驚いたのは、出来上がった和紙を一枚づつ人の目で確認、ゴミや痛みがないかを目で確認するという大変な作業。
年々、地域の文化や伝統が減っていく中、守り、受け継ぎ、さらに進化させていく人たちがいる。今だけでなく、100年先を見つめて進んでいくその心意気には感動を覚えました。

最近、大豐和紙工業ではインクジェットプリンターに対応している和紙を製造・販売していて、「伊勢和紙館」でも購入できるということで、いくつか購入。大切な人へ和紙の手紙で「ふく」を届けたいと思います。

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まだまだ沢山の「ふくもの」がありましたが、何より一番の「ふくもの」は、やはり地元の人とのご縁でした。
ほぼ毎日通ったお風呂やさんのおばちゃんが数回目からは親しく話しかけてくれたり、スーパーで「伊勢うどん」のオススメを教えてくれたり、信号機のない横断歩道では、必ず車が一時停止して笑顔で通してくれたり。伊勢の人たちの暖かさに癒されたたびでした。

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民泊「たらちね」では沢山のご縁がありました。

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たらちねでは近くのスーパーで買い物して朝ごはんは自炊。伊勢うどんも作りました!

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河崎町は、懐かしさと新しさが融合した素敵な町でした。

今春から、東京世田谷代田の事務所兼、書店&ギャラリー「ふくもの堂」を今春からスタートします。どのような形になるかはまだ未定ですが、このご縁を繋ぐためにも、伊勢の縁起物=ふくものとのコラボを考えていきたいと思います。

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ふくもの隊 酒井ゆう


酒井 ゆう(Sakai Yu) 出版企画・編集、ブックディレクター
           〔チームふくもの〕
https://micro-fish.com/

【滞在期間】2020年12月10日〜12月17日

※この記事は、「伊勢市クリエイターズ・ワーケーション」にご参加いただいたクリエイターご自身による伊勢滞在記です。
伊勢での滞在を終え、滞在記をお寄せいただき次第、順次https://note.com/ise_cw2020に記事として掲載していきます。(事務局)

※「ふくもの隊」上大岡トメ隊長による伊勢滞在記もあわせてお読みください。