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<伊勢滞在記>中北 隆介(Ryusuke Nakakita)

僕は出身が伊勢なので、高校生までは伊勢に住んでいました。
現在は東京でグラフィックデザイナーとして独立し、デザインに勤しんでいるのですが、前々からもう一度観光地としての伊勢を見つめ直したいという気持ちが高まっていました。そんな折に伊勢市クリエーターズ・ワーケーションのことを知り、参加させていただいたという経緯です。

宿泊はどうせならと、実家の伊勢市街地よりは少し遠く、あまり行ったことがなかった、二見方面の海の見える旅館へ。
とはいえ久々に訪れた伊勢。1日目は家族総出の熱烈な歓迎で迎えられ、2日目も晩ごはんに誘われ、実家で蟹を与えられ、甥っ子と遊んでいるうちに気持ちは完全に地元に。3日目も、、と誘いの気配を感じ、このままではただの里帰りになってしまうと先回りしてお断りし、家族に別れをつげ、次の日からようやくワーケーションとしての伊勢が始まりました。

今回の旅で一番やりたかったことは、早朝の内宮を歩いて日常との違和感を感じること。日の出とともに起床し、神宮最寄りの五十鈴川駅へ向かい、駅からは歩いて内宮へと入りました。
ただ、想像と現実は違い、精一杯の早起きをして向かっても、すれ違う何団体ものツアーのおばちゃんたち。伊勢神宮の崇高さよりも、おばちゃんたちの力強さを感じました。
とはいえ、朝の光が立ち並ぶ杉の葉を通して砂利に投影されている様はとてもきれいで、ツアーで来ているおばちゃんたちの表情も、どこか満足そうできらきらとしています。

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さらに砂利道を進み正殿へ。賽銭箱の奥は布で覆われていて、中が見れません。神さまが気配だけ、というのはとても興味深く、よく見ると立ち並ぶ木も、敷き詰められた砂利も境目なく、内と外を示すのは鳥居だけ。とにかく伊勢神宮は抽象的で実態が見えません。
これでもかというほど巨大なしめ縄で迎えられる出雲大社や、きらびやかさで圧倒する日光東照宮とは違い、一見すると素朴ともいえます。日本で一番重要とされる神さまを祀る社が特段、威圧的な方法を取らず、逆に実態を見えなくすることで、畏れを表現しているというのは非常に面白く感じました。

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その後は、天照大神が閉じこもったといわれる天の岩戸(思いのほか、こじんまりした穴)や志摩の海などを回ったり、他のクリエイターさんと会って交流をしたり。今お仕事させてもらっている伊勢のショップや、少し伊勢を離れて伊賀のお客さんと会って打ち合わせをしたりと普段住んでいる東京ではできない有意義な時間を過ごさせてもらいました。

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そして伊勢を見ていて、一番驚いたのは街並みです。伊勢市駅の駅前は、僕が住んでいたころは大袈裟でなく準廃墟くらいの寂れぶりだったのですが、今では見違えるような趣深そうなお店が立ち並び、どうだと言わんばかりの観光地の顔をしています。でも、歩いていたり、タクシーに乗ったときに、ゼロ距離で話しかけてくるおじさんたちは昔と変わらず、その場と人の距離感が不思議と心地よく、観光地としてとてもバランスが良いところだな感じました。

最後に、画像はデザインのお手伝いをさせていただいた伊勢のギャラリー&カフェのオープンポスターです。年末に二見でオープンしましたので、ご興味のある方はぜひ足を運んでみてもらえると嬉しいです。

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OISE JEWELRY gallery & cafe

〒519-0502 三重県伊勢市二見町江580
伊勢夫婦岩めおと横丁内32号店

https://www.instagram.com/oise_jewelry_cafe/


中北 隆介(Ryusuke Nakakita) グラフィックデザイナー
https://nakakitaryusuke.com/

【滞在期間】2020年11月21日〜11月27日

※この記事は、「伊勢市クリエイターズ・ワーケーション」にご参加いただいたクリエイターご自身による伊勢滞在記です。
伊勢での滞在を終え、滞在記をお寄せいただき次第、順次https://note.com/ise_cw2020に記事として掲載していきます。(事務局)