Love for Sale ジャズスタンダード深堀り : リズムラボ

 今日ではボーカルジャズ曲として、「ジャズ愛好家」達に親しまれているLove for Sale。
 この曲は1930年12月8日にブロードウェイで公開されたミュージカル『The New Yorkers (ニューヨーカーズ)』の為に書かれた楽曲でした。
 作曲はアメリカ合衆国・インディアナ州出身の作曲家 Cole Porter (コール・ポーター) によって作られました。


 Love for Saleが成功を収めた録音は1931年行われた アメリカ合衆国の歌手Libby Holman (リビー・ホルマン) と アメリカ合衆国・ペンシルバニア州出身の作曲家・バンドリーダーの Fred Waring (フレッド・ワーリング)による録音が人気を博しました。


歌詞で見る Love for Sale

When the only sound in the empty street,
閑散とした道に、音が響く時
Is the heavy tread of the heavy feet,
重い足音が響く時
That belong to a lonesome cop, I open shop.
孤独な「サツ」の重い足音が響く時が商売の時だ。

When the moon so long has been gazing down,
月が長い間注目している時には
On the wayward ways of this wayward town,
この町の道なき道を
That her smile becomes a smirk, I go to work.
笑顔が微笑に変わるときが、私の仕事の時だ。

Love for sale, appetizing young love for sale
値札のついた愛、魅惑の若い愛の売り物。
Love that's fresh and still unspoiled
純粋無垢な愛。
Love that's only slightly soiled, love for sale.
酸いやも甘さを知り始めた愛、愛の売り物。
Who will buy? Who would like to sample my supply?
誰が買うの?誰が私を品定めするの?
Who's prepared to pay the price, for a trip to paradise?
誰が楽園へ行くための準備をしているの?
Love for sale.
愛を、お売りいたしましょう。

Let the poets pipe of love in their childish way,
詩人の子供じみた愛を語るの事は気にしない。
I know every type of love better far than they,
私は彼らの知らないすべてのタイプの愛の知っています。
If you want the thrill of love, I've been through the mill of love,
愛のスリルを味わいたいなら、私の様には愛の試練を乗り越えなさい。
Old love, new love every love but true love.
古めかしい愛、最近の愛すべての愛が真実の愛です。


Love for sale, appetizing young love for sale
値札のついた愛、魅惑の若い愛の売り物。
If you want to buy my wares follow me and climb the stairs,
私の愛を買いたいならばついて来て。階段を登ってね。
Love for sale.
愛を、お売りいたしましょう。


ドラマーで見る Love for Sale


Max Roach のライブ録音

 マックスらしい真っすぐなドラミングで楽曲をドライブさせている録音を堪能できます。


Jo Jones のスタジオ録音

 ジョーのブラシワークがはえる録音。swingにのって踊る様子が想像される素晴らしいリズムに彩られた録音です。ピアノのアートの転がるようなフレーズがジョーのレガートに乗っているのを感じます。


Buddy Rich のライブ録音

 バディらしさ全開のハイハットワークから楽曲が始まります。
管楽器のメロディにその輪郭を与える様な彼のフレージングは大人数のアンサンブルを見事に具現化してますね。

 

Jimmy Cobbのスタジオ録音

 いわゆる「カリプソ」と呼ばれるリズムからスイングへと移行するJazz王道のアレンジング。「ここに音が欲しい」という場所にしっかりと打音を刻む職人技を感じる録音です。


Ed Thigpenのスタジオ録音

 ブラシの名手エドはこの録音でも魅せてくれます。多彩な表現力に裏付けられた彼の演奏の懐の深さは、すべての楽器を包み込む包容力を感じます。


Art Blakeyのスタジオ録音

 アートらしいラテンリズムフレーズとブラシサウンドが響く録音。歯切れ良いリズムのマイルスのトランペットと素晴らしいハーモニーを奏でています。

 

Brian Bladeのスタジオ録音

 ブライアンの繊細なフレーズは、ここでも健在。緊張感あるたいとさから、弛緩した横に広がる雰囲気。彼の表現力の底がいまだ見えません。7/8で展開されるLove for Saleはよりその世界観を表している様にも、音楽家が理論で曲や世界を遊んだようにも感じます。


おわりに

 桑田佳祐さんが歌っている事からもボーカル曲として有名なLove for Sale。ドラマーで楽曲を見てみるとインスト曲のみでここまで録音が集まりました。
 視点の数だけ物の見方がある。という所でしょうか。
 一般的にはこうである。と言われる部分と違った面を今回の記事でお見せできた様に思います。

 余談ですが、桑田佳祐さんがライブで歌っていた時のドラマーは村上ポンタ修一さんで、そのライブ録音も素晴らしいものでした。
 気になる方はコチラをどうぞ↓


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