Stella by Starlight / 星影のステラ : リズムラボ


 ジャズスタンダード曲として有名な楽曲 "Stella by Starlight (星影のステラ )" ジャズ曲としてではなく、多くの映画でも使われています。
 この楽曲がどの様に作曲され、誰によって録音されてきたのか。
 また、その当時の時代背景はどうの様なものだったのか。深堀していこうと思います。


アメリカ合衆国で最初にヒットした録音


 この曲はメロディを楽器で演奏する様式のインストゥル・メンタル曲として当初、作曲されました。
 その楽曲を録音したのはトランペット奏者の Harry James (ハリー・ジェームス) と彼のオーケストラでした。
 彼らによる1947年の録音が、アメリカ合衆国での最初のヒットと言われています。


Stella by Star lightが作られたきっかけは、、


 この楽曲は、1944年公開のホラー映画「The Uninvited」の挿入歌として作曲者であり、ヴァイオリン奏者の Victor Young (ヴィクター・ヤング) によって作曲されました。


1944年の日本とアメリカ

 この年は昭和19年で戦争真っただ中。この年の世界史の大きな見出しはどれも二次大戦でのできごとが書かれていて、改めて世界中が戦争をしていた時代なのだなと感じます。
 この年の日本の流行語は
・鬼畜米英
・一億火の玉
・一億国民総武装
・大和一致
と書かれています。
この時代の人が今の私をみたら、
「敵国文化を尊敬するとは何事か!」
とか言われちゃうのかな、、苦笑

 一方、アメリカ合衆国では大統領選挙が行われ、ルーズベルト大統領が圧勝。四期目の大統領の職についた年でした。


ジャズの録音

 最初のジャズ音楽家による録音は1952年にサックス奏者の Charlie Parker (チャーリー・パーカー) によって行われました。
 この録音からは多くの弦楽器の音が聞こえてきます。ハリー・ジェームスの影響を伺わさせます。


 チャーリーに続き、1952年にはテナーサックス奏者の Stan Getz (スタン・ゲッツ) が、1954年にトランペット奏者の Chet Baker (チャット・ベイカー)が録音しました。

メンバーは
Bass: Bill Crow (ビル・クロウ)
Drums: Frank Isola (フランク・イソーラ)
Guitar: Jimmy Raney (ジミー・レイニー)
Tenor Saxophone: Stan Getz (スタン・ゲッツ)
Piano: Duke Jordan (デューク・ショーダン)


Chet Baker

メンバーは
Trumpet Chet Baker (チャット・ベイカー)
Trombone Bob Brookmeyer (ボブ・ブルックメイヤー)
Piano: Russ Freeman (ラス・フリーマン)
Bass (vocal) Carson Smith (カーソン・スミス)
Drums Shelly Manne (シェリー・マネ)


 次にピアノトリオでBud Powell (バド・パウエル) の録音です。

メンバーは
Piano Bud Powell (バド・パウエル)
Drums Art Taylor (アート・テイラー)
Bass George Duvivier (ジョージ・ドゥヴィヴェール)


Stella by Starlight をドラマーで見る。


 さてここからは、録音に参加したドラマーで見ていきましょう。

 まずはMax Roach (マックス・ローチ)
 ゆったりとしたイントロから、彼らしいドラムのきっかけを皮切りにノリの良いソロが続きます。


 次にドラマーJack de Jonette (ジャック・デ・ジョネット)

 ピアノ奏者のキース・ジャレットでのトリオのライブ録音です。
ブラシワークがさえわたり、ソロで攻めに攻めた演奏が聞けます。


 ドラマー Elvin Jones (エルビン・ジョーンズ) 

 ピアノ奏者、フィネス・ニューボーンのトリオでのスタジオ録音。
 豊かな倍音が響く、これぞエルビンのドラムサウンド!が聞こえてくる録音です。


 ドラマー Tonny Williams (トニー・ウィリアムス) 

 トランペット奏者、Miles Davis (マイルス・デイヴィス) のライブ録音。
トニーの色気漂うブラシワークに独特なウネリのあるトニーらしいリズムが全体のアンサンブルを彩っています。


現代Jazz音楽の Stella by Starlight

 ロバート・グラスパ率いるバンドのライブ録音。
全体的に16ビートで彩られたリズムで演奏され、Jazzの懐の深さと多様性を感じます。


多くの映画で用いられた Stella by Starlight


 映画 "The Uninvaited" 以外の多くの映画でもこの曲が用いられました。
それらを紹介しますね。
 基となった映画しか鑑賞していないので、今後一つずつ鑑賞していこうと思います。貼り付けた紹介動画で見られる様に、どれも音楽が素敵な映画なので書きながらわくわくしています笑

映画 "The Nutty Professor" 1963


映画 "Sabrina" 1995


映画 "Casino" 1995


映画 "Bajo las estrellas" 2007


おわりに

 星影のステラ・Stella by Starlight を掘り下げてきましたが、いかがでしたでしょうか。
 当初、ホラー映画の挿入歌としてつくられた楽曲は現代でも多くの音楽家によって愛され、演奏されています。
 この深堀をきっかけに、多くの音楽家たちが先人の作った文化を敬いながら育み続けるという、とても素敵な流れを知る事ができました。

 私自身もJazzや音楽、ドラムに対して何が出来るか。人生を通して挑戦していきたいとおもっています。

 さて次回は、途中になっているドラマーのMax Roach (マックス・ローチ) の記事か、Jazz曲の "There is no greater love" を深堀してみたいと思います。

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