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成人発達理論 3冊

①リーダーシップに出会う瞬間 有冬典子著
②なぜ部下とうまくいかないのか 加藤洋平著
③なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか ロバート・キーガン、リサ・ラスコウ・レイヒー共著

「知識やスキルを発動させる根幹部分の知性や意識そのものが、一生をかけて成長・発達を遂げる」(②)
というのがロバート・キーガンの成人発達理論の考え方です。とても実践的だと思います。

社会人になっても学び続けることは必要だと思うし、実際に楽しいことだと思います。しかし成人発達理論では、学びによる知識やスキルを支える人間性そのものを一生進化させることができるとのこと。そうあってほしい、と何となく思っていたことが、学問として体系化されたことはうれしいことです。

キャリアコンサルタント養成講座でエリクソンやレビンソンの発達理論を学びましたが、いったい何の役に立つのか、と悪態をついておりました。今回、ロバート・キーガンの成人発達理論に接してみて、発達理論の面白さに気が付きました。自分や周りの人がどの発達段階にいて、次の発達段階に進むために何が必要かを内省し見立てることは、社会人として特に重要だと感じました。

自分の経験値を理論に当てはめてみたくなるのは社会人の学びの密かな楽しみではありますが、①と②の著書はそれを満足させてくれました。

「自らの言動が自分のどういった考えや価値観から生まれているのかに対して自覚的になること」(①)
「自分の中の恐れや欲などの保身を自覚しながらも、深いところにあるコアな願いとともにいる覚悟」(①)
「発達を生み出す真の力は外発的なものではなく、私たちの内側にある」(①)
自分の言動をそっと振り返りたくなる、そんな言葉にあふれています。

また日本社会は他者依存段階(発達段階3)に引き上げる仕組みと文化を持つ一方で、上位段階への成長を抑止させるような力も働いているという考え方(②)は、自分の社会人経験を通してよく理解できるし、日本企業の近年の停滞の原因にも思え、特に興味深く感じました。

一方で、「なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか」(③)を読むと、成人発達理論自体には共感・理解するものの、発達志向型組織(DDO)を日本の組織で実現するには無理があるように感じました。

社員同士で弱さに対する厳しいフィードバックを行い、自分の弱点を宣言して弱点克服に取り組む姿を開示する・・・こんな取り組みができるほどの心理的安全性が確保されている組織は少ないでしょうし、それほど打たれ強い人間もごくわずかだと思います。

甘いと言われるかもしれませんが、弱点克服がそこまでして必要か、仮に必要だとしても私なら自らの気づきから密かに取り組みたい、と思います。私にはドラッカーの「強みを活かす」考え方の方がしっくりきます。


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