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金は12年間にわたって年率30%で上昇した ゴールド127

1980年1月、その月の取引が始まってわずか二日間で、金の価格は1オンス110ドルから634ドルへ跳ね上がった。そして、各国の中央銀行は自国の通貨制度に金の伝統的な役割を復活させることを口にし始めた。

1オンス850ドルという記録的な高値

合衆国財務長官ウイリアム・ミラーは、「財務省はもはや金の競売は行わない。いま、わが国が金を売るのに適切な時期ではない」と記者会見で語った。

この会見の30分後には金の価格は1オンスにつき30ドルも急騰し715ドルとなった。さらに、翌日は760ドル、その翌日は820ドル、そして1月21日には850ドルという記録的な高値を付けた。


カーター大統領が金市場を落ち着かせた

1月21日の午後、カーター大統領が「合衆国は世界最強の国家であり続けるために必要ないかなる代価も支払わなければならない」という声明を出したことでようやく金と外国為替市場は落ち着きを取り戻した。

このあと、市場は180度転換した。1980年1月22日には金の価格は145ドルも急落した。1981年の高値は599ドル、1985年までに300ドル前後まで下がった。

1968年の35ドルから1980年1月の850ドルまで、金は12年間にわたって年率30%で上昇したこととなる。同じ期間のインフレ率は年間7.5%だった。


1981年、合衆国の貨幣用金の保有量は約8,000トンになっていた。これは1949年のピーク時の保有量の1/3強に過ぎなかった。そして、8,000トンは世界中の貨幣用金の約1/4に相当する量だった。


ゴールド 金と人間の文明史 ピーター・バーンスタイン

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