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ゴールド 金と人間の文明史-29 ジェノヴァの経済的繁栄

ジェノヴァはフリードリヒⅡ世とシチリアを長いあいだ大敵と見なしていて、1238年以来フリードリヒⅡ世と断続的に交戦していた。

そして、フリードリヒⅡ世が1250年に死去したことで、ジェノヴァは大きな利益 -教皇インノケンティウスⅣ世が自分の出身都市ジェノヴァに味方をし、シチリア王国を教皇庁の領土と主張- を得た。


ジェノヴァは軍事力の不足を積極的な経済政策で補い、繊維産業で繁栄し、あらゆる種類の商業も誕生した。そして、北部イタリアの大きな都市国家から銀行家や商人がやってきて活動をした。

この時期に信用取引の商法が成熟し、その成熟した信用取引の商法をしのぐものはこのあと長いあいだ現れなかったとも言われている。


そして、ジェノヴァは、シチリア王フリードリヒⅡ世の死から2年後の1252年にジェノビーノという金貨を発行した。

ジェノビーノが発行された動機は主として商業に利用するためだったが、彼らは経済力と政治権力が相互に高め合うことを理解していた。


栄光の時代のイギリス人がよく知っていたように、また第二次世界大戦後のアメリカ人が知ったように、良貨はその国のイメージに輝きを添える。純度を保った価値の高い金貨ジェノビーノはジェノヴァが経済繁栄の頂点に達するための理想的な道具となった。

そして、ジェノビーノの高い価値は経済的に重要なばかりではなかった。価値の高さはそれを発行した者の威光と繁栄をも映しだしていた。


ゴールド 金と人間の文明史 ピーター・バーンスタイン

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