追体験のために

書くという行為は、その時点における自分の精神状態と、言語能力を、一つのパッケージ化された記録として、保存する、そんな素晴らしい機能を有している。

もちろんプライオリティは現実社会における、実体験としての戦いと、遊びである。否、書くなどという行為は、二の次。

したがって、書く事柄は、簡潔で良い。振り返るのは君自身であり、君がその時点における全てを反芻できたら、それで事足りる。

少し先、あるいは限りなく先の時点にいる君は、この瞬間におけるぼくを、分かることができるだろうか。
この昂まりを、追憶できるだろうか。

こうして生きてきて、いま僕は、これまでの僕が想定しうる限りの高み、大気が希薄した山岳の、麓に来た。

難関な通過点に、悦びを感じられるようになったのは、いつからだろうか。
ともかく人事を尽くす。次の演台に、胸を躍らせながら。

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