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地元就職

私は今、地元を離れて社会人をしている。別に地元が嫌いだからとか、こんな田舎なんか飛び出して都会で働きたいとか、そんな理由があった訳では無い。単純に私のやりたいことが、地元では出来なかっただけだ。

けれど、地元は大好きだ。山に囲まれて、綺麗な川が流れる自然の多い場所だった。しかし、決してぼくなつのような絵に書いたような田舎ではなく、都会人に羨ましいと思われるような景色は少ない。でも、他の人に比べたら田舎出身と言っても差し支えることは無いのだろう。

そんな地元には、昔からの、所謂親友達も暮らしている。尤も、仲良しグループのほとんどが最終的に地元に就職することとなった。なので、私が実家に帰らなければ会うことは難しくなってしまった。お金はあるが、大学生ほど時間に余裕がある訳では無いし、帰られるとしたら年末年始やお盆くらいだろう。時が経ってしまえば、年に1回帰ることもままならなくなるのかもしれない。実際、私と同じく地元を離れた兄が実家に帰ってくることはほとんど無かった。

そんな地元を離れた私が最近感じたのは、やはり地元就職の方が良かったかもしれないということだ。先に言った通り、仲のいい友人達はほとんどいる訳だし、自然に囲まれてるのが好きだし。こんなことを考えることになったきっかけは、定例となっている友人達とのゲームをしている時に、俺だけが知らない地元で起こったことの話になった時に感じた疎外感だ。仕事終わりや休みの日にご飯を食べたり、遊びに行ったりしている話を聞くのも、なんだか悲しかった。いや、それはもう仕方の無いことだし、それがあると知りながらこの仕事を選んだのだから、理解はしているつもりではあるのだが。

この仕事をいつまで続けるかは分からないし、辞めたとしてもこの場所で働き続ける気も今は無い。だから、いつか地元に戻ることがあるかもしれないし、もしかしたら、遠い未来の話だが、別の場所で家庭でも持っているのかもしれない。でも、私も地元就職をして友達と仲良く暮らす世界線も体験してみたかった。決して叶えられない夢だが、こんな毎日ならこんな夢くらい見てもいいだろう。

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