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『内密出産』が問いかけるもの

自分の出自を知りたい。私は誰なのか14歳で知りたいと思ったという子がいる。思春期という早い時期で知らせるべきなのかとの声がある、ドイツのように16歳で法的に開示が決まっているものもある。真実告示、私はどういう理由でこの家に来たのか、年齢に応じた告示方法があるのだろう。

開示できない理由もある、レイプ、売春、近親相姦、ダブル不倫、知らせるのはこれからみんなで走りながら考えるしかない。お母さんが悩まないように、育ての親が悩まないように、子どもの知りたい気持ちにも優しく寄り添い、大きなショックを受けないようにするには、答えはまだ無い。

この子には4人の親がいる。今いる両親と産みの両親、少しずつ伝えることを大切にしてみる。愛着は親が愛着の対象になることが多いが、親でなければならない訳でなく、他人でも、複数でもいい。

内密出産に至る背景は様々。社会のひずみを凝縮したような課題ばかりで教科書がない中で、赤ちゃんの遺棄や殺人をなくすには、相談が大切ではないだろうか。そして、みんなで力を合わせて、志を同じくする医療機関が増えることを望む。

子ども病院のような公立病院が身近にある。法律に違反しない柔軟な対応で、追い込まれた女性が安心して産むことが出来る体制、その人の立場に立って、泣き笑いしてこれなかった女性が、自分のことを分かってくれる存在に出会え、笑顔に戻れる。

赤ちゃんは社会の子どもだと思える環境がいい。お母さんに全ての責任を負わせない、産んだ親の支援も地域がしてくれる、子育て以外でも話を聞いてくれて、みんなが頷いてくれる社会ができるといい。

困っている人を何とかして助けたい。社会的な理解を深めていくには私たちが知ったことを伝えるしかない。子どもの幸せを第一に考えて、内密出産をとりまく課題を自分事として考えないといけない。

当事者は予期せぬ妊娠をした女性であり赤ちゃんで、議論する時は当事者の意見を知らないと本質には近づかない。命の重みを感じ、現場の関係者の努力を知り、目の前で起こっていることを正しく伝えることが、自分事で考えるきっかけとなる。

ひとつひとつ丁寧に、一緒に考える仲間に今、いてもらいたい。



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