「蝿取紙〜ハエトリガミ〜」

蝿取紙を見るたびに私は愕然とするのだ

天井から垂れるテエプは

のんべんだらりと揺れている

だが一度でも心を許し足を踏み込むと

いやらしい顔でニタッと笑い

もう二度と彼を離さない

しだいに弱まる羽音

おびただしい眇眇たる命

着実に丁寧に消えゆく命

平和に見える世の中の

そっと後ろに回り込み

時間をかけて同化する

そして気付いた時には

我々は粘着質に足を取られ

もがくことも叫ぶこともできなくなる

静かにしかし着実に忍び寄る恐怖に

私は愕然とするのだ




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