見出し画像

鬼と蓮の華

鬼は蓮の蕾を見つけ

あの、神々しい華の姿になるのか?

と眺め見る

鬼が見つけた

華に目印の

赤色の組紐を傷付くくらいに

強く結び付けてしまう

時が経てば

華が咲くと思っていた

鬼の華は

咲く事無く腐り始める

鬼が見たかったのは

腐り逝く華の姿では無かったのに…

池の側に佇む鬼の姿に違和感を覚え

「如何した?」と

声を掛けた。鬼は

「華が咲く事無かった駄目にしたんだ…」

と言う。影の子が

「蓮の華まだ他に有るみたいけど?」

と言うと鬼は

「他では駄目だ自分で見つけた華しか

見ていたく無かったんだ」

と鬼は涙する

私は鬼に声を掛けるべきでは
無かったのかな…

と、少しばかりの後悔

鬼は耐えていたのに

言葉と共に

涙を溢れさせてしまった

零れた鬼の涙は

蓮の蕾に掛かり

蓮の葉の上にも転がり回る

そして、

鬼の涙は

池の中にも流れゆく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?