見出し画像

アニメーションで観る『進撃の巨人』


原作で最終巻が出版され、アニメもついに今期で完結を迎える『進撃の巨人』。漫画やアニメ、そして実写化と次々にメディアミックスされた大人気作品ですね。私も4巻が出版された頃からのファンということもあり、『進撃の巨人』に関するメディアには多少なりとも触れてきました。

しかしながら、アニメの方は第2期以降全く視聴していませんでした。というのも、漫画で読んでいるから先の展開を知っているから...というのが大きな要因でした。誰でも一度は思うことではないでしょうか。

画像3

まあ、そんな『進撃の巨人』が今冬、ついにアニメで完結を迎えるということもあり、何となく第1期から観てみようか…というマインドになったので、先々週くらいから改めて視聴し始めました。

第2期を見終わったくらいで後悔しましたね。

何故今までこんな最高峰のアニメーションを観ていなかったんだ...と。

『進撃の巨人』は原作のシナリオからして十二分に面白いのは確かです。設定をありったけ盛り込んだような作品ですし、独自の世界観がありますからね。それでも私は、やはりアニメで見るのが最適解だったなと思ったんです。まあ自分の趣向がアニメ偏重だということもありますが。

そこで、私が『進撃の巨人』をアニメでこそ観るべきだ!と思ったポイントを紹介したいと思います。


WIT STUDIOの異次元「立体機動」アクション


まず何よりも、アニメ『進撃の巨人』はアクションの作画が素晴らしいということに尽きますし、それにはまず制作会社のことから話す必要があります。

第1期から第3期までを手掛けているのはWIT STUDIOという制作会社なんですが、この会社は『進撃の巨人』が初元請作品となります。アニメ制作の老舗であるProduction I.G.のスタッフが中心となって設立された会社なんですが、ノウハウが継承されていることもあるのでしょう、何といってもアクション作画の迫力が別次元なんです。もはや深夜アニメの領域を超えている。

それが海外評価に繋がり、昨今の人気を獲得しているといっても過言ではないでしょう。まあ見てもらえれば、一目瞭然です。


立体機動装置を用いたバトルアクション
が、他の作品とは気色が違う要素です。縦横無尽に市街地や森を駆け回るアクションは、アニメが好きな人ならば必見だと思います。立体機動中のカメラワークも臨場感に溢れており、キャラクターが立体的に移動する様子を見事に表現しています。WIT STUDIOのアクション作画は業界でもトップクラスでしょうし、肩を並べるのはそれこそUFOtableくらいだと思います。

そして、この作画に見合うだけの重厚なストーリーが『進撃の巨人』にはあった。作画が最高峰ということは、作画が良ければなあ...というようなシナリオ面での言い訳ができないんですね。個人の感想になりますが、WIT STUDIO制作の『GREAT PRETENDER』は作画が完璧な分、脚本が悪目立ちしてしまったように思います。一方、『進撃の巨人』はシナリオの部分が十二分に面白いからこそ、そんな心配は全くなかったと言えるでしょう。

『進撃の巨人 The Final Season』の製作はMAPPAに引き継がれることになるわけですが、『進撃の巨人』のアニメーションを引き受けられる制作会社はMAPPAくらいのものでしょう。今期放送中の『呪術廻戦』を見ても、MAPPAの手掛けるバトルアクションに何の不安もございません。


説得力のあるアフレコと「間」の取り方


どの作品にも言えることですが、アニメ化するということはキャラクターに声が吹き込まれるということです。原作ファンにとってはそれがプラスになったり、「何かイメージしていた声と違う」とマイナスになったり...ここは意見が割れるところでもあります。

『進撃の巨人』の場合、これはプラスに働いていると私は思います。

まずシンプルに声優陣が豪華。豪華だから何だという話かもしれないですが、進撃の巨人のキャラって独特の表現や言い回しをするからこそ難しいと思うのです。それを見事に演じてみせる声優陣は実力者揃いと言えるでしょう。

たとえば、37話でエレンが何もできない自分を嘲るかのように笑うシーンなんかがそうでしょう。この難しい感情表現を説得力のあるアフレコで演じている。最高峰の作画を後押しするかのようなアフレコだったと思います。

他にも、ミカサが目をガン◯マリにしてキレるところのアフレコも思わず「怖っ、この人…」と思ってしまうような迫力があります。エレンのことになると、周りが見えなくなりますからね、この人。

私が特に素晴らしいと思ったのは、井上真里奈さん演じるアルミンのアフレコです。彼が駐屯兵団に対して行う演説は緊迫感がしっかり伝わってきますし、このシーンはアフレコがあってこそ光るものだと思います。井上さんの実力が垣間見れる場面ですね。『進撃の巨人』のキャラクターの中でも、アルミンのセリフが毎度胸に刺さります。

画像2


また、『進撃の巨人』はシリアスなシーンにシュールなギャグを挟んできますが、これはシリアスになりすぎないような配慮が感じられる部分です。「世界はこんなにも残酷なのだから」、あえてこのような描写を交えて中和しているのです。

そんなシュールなギャグも、原作漫画よりはアニメの方がとっつき易いと思いましたし、個人的にはアニメで観たほうが笑えました。というのも、アニメにはアフレコがあって時間的な「間」を作ることができるからだと思うのです。

漫才において間の取り方やテンポが肝であるように、アニメにおいてもギャグを披露するうえでは漫才と同じなんだと思います。そして、アニメではこのような「間」をアフレコで生み出すことができる。この部分はアニメでしか味わえないもので、漫画では表現できない部分だと思うのです。

たとえば、エレンが巨人の力でロッド・レイスを止めようとするシーンも、漫画であればギャグをコマ割りで表現しています。一方のアニメでは、エレンが叫んだ後、リヴァイ兵長がじっとエレンを眺めるカットを5秒近く流しています。「パカラッ、パカラッ」という馬の走る音を残して。シュールなシーンではありますが、このような細かい部分が積み重なって笑えるのかもしれません。

画像4



一概にどの作品も「アニメが一番だ!」とは申しませんが、少なくとも『進撃の巨人』はアニメで観る価値がある作品です。

私も『進撃の巨人 3rd season』の部分までは原作漫画を読み進めていましたが、それでも十分アニメで楽しめました。それは『進撃の巨人』がこれほどまでに設定を詰め込んだ、伏線敷きまくりの作品だからだと思うのです。加えてそこに最高峰のアニメーションがある以上、もう面白くないわけがないんですよ。国内評価だけでなく、海外評価も高いのも頷けます。

一番驚いたのは、第3期まで60話近くあるアニメ『進撃の巨人』を1週間でさらっと見終えてしまったことです。こんな長編であっても飽きないのは、各期ごとにテーマ性を変えているからなのかもしれません。

原作の最後までアニメ化できる作品というのは、非常に貴重だと思うのです。1期で投げ出したままのアニメ作品がどれだけ多いことか…。だからこそ『進撃の巨人 』の最後をアニメで見届けられることが何より嬉しいですし、原作読了済の方にも是非アニメで観てほしいですね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?