SBRが美しい(ただの感想)その1

ジョジョの奇妙な冒険スティールボールランを読み終わりました。
5部の「爽やかな終わり」も好きなのですが、SBRはとにかく「美しい終わり」なんですよ。曇天に変わっていく空が不吉だけれどそれもまた美しい。
今日はとにかくこの熱量を昇華するためにダラダラ感想を述べます。ネタバレ注意ですよ~。

※長くなったので後半はまた後日

大統領が美しい

まず黒幕のファニー・ヴァレンタイン大統領。
彼の美しさは、人間を止めたとしか思えないほどの愛国心が全ての基準になっていること。
パラレルワールドの自分にスタンドと遺体を引き継いで自分は死ぬってすごい。それを当たり前のように行うってヤバい。しかもこれ、どの世界の大統領も「理解した!」て同じ様に死んでいくんですよエグい。不気味で怖くて、とても美しい。

そして、跡に引き継げないと分かった時の大統領がまた…いいんですよ…!父親の形見のハンカチを握りしめ、諦めまいと唸る姿。今まで死んだ全てのファニー・ヴァレンタインの感情が見える気がします。

友達を失ったジョニィの心の傷を利用するような嘘の説得を平気でしながら「わが心と行動に一点の曇りなし」とか悲壮感まで感じるほど言いきってしまう大統領は、どう考えても善人ではない。どちらかと言えば、義理の父が言っていた狂信者寄り。

それでも、本気で一点の曇りなく、国のことだけ考えて死んでいった沢山のファニー・ヴァレンタインたちはみんな美しいと思うんです。
もう考え方の概念がおかしすぎて、過去最高に人外っぽい人間だった。柱の男たちの方がまだ共感できますよ。

ディエゴが美しい

ディエゴの顔美しく描きすぎじゃないですか荒木先生?

心まで奴隷になるな、という母親の「黄金の精神」をナナメ下に受け取って飢えた男になったしまったディエゴ。哀れなほどに自己中心的で、最後までブレずに『一人』で戦い抜けた姿はもはや美しかった。コンビ組んだ相手を全員使い捨てとか痺れますよ(ホットパンツに関しては、自分が死んでいたので助けようと思っても助けられなかった状態でしたが。でも生きてても助けないでしょディエゴは)

別の世界から連れられてきた世界持ってるディエゴも良かった。目的のためなら、足を切り捨てる潔さ。(あの痛そうな顔がいい!!)
予想外のルーシーの行動に、みっともなく叫ぶのもまた良い。さっき足切らなかったら逃げきれたかも知れないのにね。恐竜ディエゴが最期まで勇敢に戦って散ったのに対して、世界ディエゴは女の子相手に情けなく死んだという対比がとても良かった。いい。

あと最初にも書いたけど顔が美しすぎません?荒木先生の美しいものを描く画力がすごいことになってる。これはマジェントが一発で好きになっても仕方がない。

ルーシーが美しい

ルーシーがあそこまで頑張るキャラだとは思わなかった。

ジョニィがディエゴに負けたら、と考えるのは分かるんですよ。でもその後、遺体を悪用されるのと防ぐとかジョニィを助けるとかそういうのではなくて、「わたしたちも必ず殺される」のを防ぐために、ディエゴに罠を仕掛ける。しかも自分で首切って自分で持ってく。
過酷な運命に流されまいと、必死に戦うルーシーは本当に美しかった。

一部との対比としても美しい。エリナは逃げるしかなくて、夫を失ってしまったしDIOは時を経て蘇った。
一部はジョナサンの黄金の精神を見たエリナが「美しすぎます」と泣いていたけれど、SBRはルーシーの漆黒めいた精神の美しさに私が泣いた。

彼女は最後、ディエゴから所有権を奪うために施錠をしなおしたのか。個人的には、しているのではないかな、と思ったり。それが自分と夫を守るために一番良いですからね。

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