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【Event】Virtual Sky Service「初日の出フライト2024」 最上の旅客体験とニーズの高さ

 2024年1月3日、6日、7日の3日間、VRSNSであるVRChat上にて有志団体である「Virtual Sky Service」が「初日の出フライト2024」という企画を行っている。
今回の記事では、1月6日21時時点の同フライトについて取り上げていく。


お正月の帰省の様な混雑ぶり

 今回のイベントに使われる双葉空港を擁するワールドは、前回の記事でも訪れた場所と同一である。
基本的なシステムは変わっておらず、そこに初日の出フライト向けのギミックを追加した形となっている。
そして今回ワールドに参加可能な人数は65人とかなりの数が想定されていた。
通常VRChatのワールドでは多くても20~30人程が負荷の都合上限界として見積もられているが、今回はその倍入ってくるというのである。
元々Virtual Sky Serviceのイベントに多くのスタッフが関わる都合上、その人数の多さは仕方ないにせよこれだけ規模の大きなイベントとなればそもそも集まるのかという疑念もあった。
しかしその思いは、スタッフの方に話を伺ってすぐに吹き飛ぶ事になる。

「1月3日のフライトなんですが、実はワールドを開けて2秒で満員になったんですよ。」

 耳を疑う言葉の後に、規定の搭乗案内時刻の21時となった為ワールドに一般のユーザーが入ってくる事となった。
開始直後からリスポーン位置に次々とユーザーの読み込みを示す表示が現れては、アバターを纏ったユーザーが次々に動いて挨拶を交わしていく。
体感でおおよそ10秒から15秒程であろうか、すっかりロビーはユーザーでごった返す事になり満員となったのである。
その光景はさながら行楽シーズンに空港の搭乗口に詰めかける客の多さを思い出す程だ。
あっという間にVRChatの動作が重くなる程に人数が押しかける様子を見て、仮想空間でも人数が増えればその印象は現実とそう変わらないものなのではないかとイメージを抱くには容易であった。

 今回は事前に搭乗に必要な事項について周知があったためか、特に搭乗の際にもトラブルはなく乗客は機内へと案内され着席していた。
以前のメディアや関係者向けのお披露目フライトとは全く違う大人数のユーザーが集った事もあって、誰が言ったか修学旅行を思い出す混雑ぶりとなった。
乗り物の出発前に会話が弾むのがよくある話であるならば、出発の際にやや静かになるのもよくある話である。
まして、飛行機の離陸時ともなればなおさらだ。
エンジン音を響かせ機体が離陸した際には、あちらこちらの席から興奮する声がチラホラ聞こえてくる程には静かになっていたのである。


臨場感溢れる初日の出

 機体が一定高度まで上昇すると、窓の外から急に光が差し込み始めた。
どうやら分厚い雲を抜け、足元に雲海が見える程の高度にまで上がってきたようである。
その後窓の外に燦然と輝く朝日の姿を拝むことが出来た。
最初は進行方向左側の座席から見える範囲となり、次に右側という順序で繰り返し8の字を描く様に機体は飛行していった。
ご来光が見える間は機体の新システムにより、座席を立って自由に歩き回る事が出来る時間となっている。
その為乗客は思い思いの場所でカメラを取り出したり、あるいは身を乗り出したりしながら初日の出の鑑賞を楽しんでいた。
VRChatでは機能として実装されているカメラを、自由自在に飛ばして撮影する事が出来る為、初日の出の空を飛行する旅客機といったものも機内から撮影可能となっている。

飛行機は常時警告灯を点滅させておくように定めれられており、この機体においても警告灯が絶えず点滅している。
偶然翼内部にカメラが入り込んだ際の写真。油圧パイプなどがきっちり造形されており、造形に対する気遣いが見て取れる。

 しばらくの間太陽を拝んでいた機体も着陸準備の時刻となった為、乗客に着席を促すアナウンスが行われた。
もちろんこの際に搭乗員がきちんと着席しているかを見て回り、その完了を報告するというさり気ない徹底ぶりが光っている。
再び雲海に潜っていくと、離陸時同様にほぼ夜間同然の視界となった空域が待っている。
その暗中を事もなく飛行機は空港目指して飛んでいき、最終旋回を終えて無事に着陸を果たした。
本団体のイベントに何度も参加をさせて頂いている上で、そろそろ読者の皆様も慣れてきたかもしれないが機体の制御や搭乗時のボーディングブリッジの制御などは全て手動である。

機体の制御について、システムとしてオートパイロットは搭載されているが、これはあくまで操縦を補助する機能である。
実機と同様にパイロットは機体の様子を監視し、操縦桿の代わりに適宜オートパイロットを操作する必要がある。
快適な飛行を実現させるのに相応の練度が求められるというのは、もはや言うまでもないだろう。


 空港到着後は到着用ロビーへの通路を通り、門松の設置されたエリアで記念撮影を行う事となった。
乗客がそれぞれのカメラで集合写真を取り、スタッフは次の便の為に移動となるなか残った乗客たちは歓談を楽しんだり、あるいは精巧に作られた機体のディテールを観察したりと自由行動を取った後に解散となった。
口々に聞こえてきたのはスタッフの仕事ぶりに対する非常に高い評価であり、途中回線やPCの都合で接続が途切れてしまうユーザーやスタッフに対するアフターフォローの丁寧さも相まって顧客満足度の非常に高いイベントとなっていた。
Virtual Sky Serviceは毎週木曜日にイベント開催中との事なので、初日の出フライトに搭乗出来た方も本記事を読まれた方もぜひ一度訪ねてみてはいかがだろうか。
安全と正確性が第一の航空業界について、気軽に知る事が出来る貴重なチャンスと言えるだろう。



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