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2度同じアイドルに恋をした話

約15年前、一人の男の子に恋をした。亀梨和也というアイドルである。

鋭い眼差しに、華奢な身体、目を離すと何処かへいなくなってしまいそうな儚い雰囲気を持った、笑顔がとても可愛い年上の男の子。まだ成人する前の19歳。年齢よりもひどく大人びた印象で、自分は彼とその隣にいたアイドルに夢中になった。彼らが出演していたドラマがきっかけの、当時たくさんいた所謂「ごく出の新規」の一人だ。

彼の顔も好きだったが、佇まいもインタビューや合間に見せる誠実な面も、お茶目で話が少し寒いところも、クールでセクシーに見えて実は礼儀正しくて熱血な面も、全て好きだった。

当時の話をすると恐らく非常に長く重く、また特に楽しくもない文章になってしまうだろうことは分かりきっているのでまとめるが、彼と彼のいるグループが好きで当時地方にいる学生なりに応援していた。だが好きになったグループは、エースの脱退で姿を変えてしまった。

ファンの応援は彼にとって重荷だったのだろうか、ファンの望みは彼らにとって負担だったのだろうか。ファンの願いが彼らを歪めたのだろうか。自分の中で好きだったものが崩れ去っていく感覚だった。

誰が嫌いになったとかではない、ただ見ていると辛くなってしまうから、自分はただの茶の間でいようと思っただけだった。私生活が忙しくなっていたこともあり、自分はアイドルを追いかけるのを辞めた。10年程前のことだ。

昨年、ジャニーさんが亡くなった。ジャニーさんが入院していると報道を聞いたときから、どこかで覚悟はしていたものの、信じられない気持ちだった。おかしな話だが、自分よりも先に逝ってしまうという感覚がなかった。昔何回もアイドルたちが楽しそうにジャニーさんとのエピソードを話していたのを、ふと思い出した。社長を慕っていたアイドルたちはこの死をどう受け止めたのだろうか。

2019年7月19日。出張中だった自分は、独りホテルでやることがなかったのでテレビを付け、ボーッとチャンネルを変えていた。偶然映ったのが、ジャニーさん追悼特集のミュージックステーション。そこで久々に彼を『見た』。ジャニヲタは辞めたが、ジャニーズは変わらず好きだったし、カウコンも毎年観ていたし、音楽番組やドラマ、バラエティなどテレビで彼を見かけることは多々あった。だが明確に『見た』のはこのときが久々だったと思う。

彼は白い衣装で「絆」を歌い、赤い衣装で「青春アミーゴ」を踊っていた。懐かしいなぁ、そして変わらず格好いいなぁと思いながら見ていた。次に出て来た彼は、並んでいる後輩たちのセンターで踊り、歌っていた。その姿を見て気付いたらボロボロ涙を零しながら、食い入るように画面を見ていた。

あまりにも綺麗だった。

彼は10年前と変わらずキラキラのアイドルだった。彼の輝きは変わっていなかった。昔から何かと矢面に立ち、人知れず孤独にたくさん苦しんだこともあっただろう彼が、ずっとアイドルとして走り続けていたことに、誠に勝手ながら想像して泣いた。

帰宅してから彼の活動を調べた。

5月に彼がソロデビューしていたことを知り、とりあえず『Rain』を全種購入。ひとつパッケージが豪華なものがあるなと思っていたら、2年前のソロコンが収録されたDVDが同梱されていた。充電期間ソロでライブをしていたことは知らなかったので驚きつつ視聴。こちらの感想も長くなってしまうので簡潔にまとめるが、最高のエンターティナーで最強のアイドル『亀梨和也』を見ることができた。本当に彼は自分を魅せることが上手だし、様々な顔や雰囲気を持っているので、毎秒目を離すことができなくなってしまう素敵な人だと思う。

次に購入したのが写真集『ユメより亀』。現在もMAQUIAで連載されている『亀カメラ』をまとめたものだが、丁度連載が始まった辺りは情報を追いかけるのを辞めた時期だったので、存在を全く知らなかった。内容はあまりにも濃厚で、彼の人生が詰まっていて圧倒されながら一気に読み進めた。彼の思い、考え方、物事の捉え方…知らなかった、驚くような言葉がいっぱいで、終盤に差し掛かるときには涙が止まらなかった。

我ながらさっきからめっちゃ泣いてるな。自分も10年以上前のずっと何処かで蓋をしていた感情が、一気に溢れ出したような感覚だったので許してほしい。

彼の顔や表情は昔よりもずっと穏やかになっていて、自分は今の顔も大好きだ。そして彼の根本の部分は昔と変わらない。

その後も販売された雑誌のインタビューを読みつつ、メディアで見かける彼を追いかけつつ、気が付いたらTwitterでジャニーズ用のアカウントを開設し今に至る。長年応援している亀担の方々に申し訳ないと思いつつ、彼に対する好きを自分なりに更新し続けている最中だ。

出戻りするに辺り色々と考えさせられることもあり、また悩みもしたが、今この場所にいることに後悔はない。彼の姿を見たり、声を聞くと日々元気を貰える。また明日も頑張ろうと思える。

亀梨くん、また貴方に出会えて、ファンになれて良かった。これからも貴方の行く道をそっと見守らせてほしい。

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