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ハンダ付けの方法のコツ:大事なことは一つだけ!

電池パックの自作
コードレス電話の子機の電池パックが駄目になったので、百均(シルク、セリアなど)のニッケル水素充電池で自作してみました。この製作を例として、ハンダ付けのコツで大事なことを説明しました。それは「母材を熱する」という一つのことだけなのです。下の動画です。
注.動画はニッケル水素電池のはんだ付けです。リチウムイオン電池は危険だと思います。
電池パックを作る作業自体は短いのですが、むしろそれをダシにして私なりのハンダ付けのやり方(ハンダメッキ)、コツなどのうんちくがメインになっています。

型があるから型破り、型がなければ形無し
教科書的なことを言うなら、電池にはんだ付けをしてはいけません。タブをスポット溶接すべきです。それが王道です。正論です。間違いありません。しかし、教科書通りやれば失敗はありませんが教科書以上の発見もありません。教科書にない冒険をやれば信頼性は損なわれるし失敗があるかも知れませんが、新たな発見があるかもしれません。市販の量産品ならば信頼性を大切にしないとリコールなどのリスクがあります。信頼性をもたせることは経営管理の手法として大切なことです。だからそれも狭義の技術と言えなくはありませんが、技術一般と混同すべきではありません。私は特に技術が優れているわけではありませんが技術に関しての興味があります。いろんなことを調べたり試したりして前向きに技術を磨こうと考えています。この動画でやったことは技術の追求といったような大それたことではありませんが、一般論として技術の追求や発展には冒険心が必要です。従来の型どおりにやってばかりではいけません。
一方で
「型があるから型破り、型がなければ形無し」
という考え方は肝に銘じなければなりません。型を知らずにやるのは単なる形無しであって、型を知って初めて型破りになるわけで、私は闇雲に危険な冒険をすればよいと言っているわけではありません。技術の向上のためには基礎的な知識を身につけていることが前提です。常識は理解していなければならない。だからこそ、そのうえで、常識を超えた型にはまらないアイデアが生まれるのです。それをすることが冒険であっても、敢えて挑まなければワクワクするような楽しい発見もないということです。

アマチュア的発想
私がやっていることはアマチュア的発想が前提です。基礎的なことを理解したうえで冒険的な実験をしたいと思っています。それがポリシーです。この動画では、急速充放電や過充電や過放電がない環境なら多少の無理が効くのではないかと思ってこのような冒険をやっています。それは、専ら技術的な興味や関心によって行う自己訓練及び研究の業務です。

電池パックの製作
シルクやセリアなどの百均に単3も単4もニッケル水素電池が売っています。
これに目をつけて電話子機JD-KS11の電池パック作りました。
電池パックは3.6V600mAH(アンペアアワー)で単4電池3本の組電池です。
百均のニッケル水素充電池は、VOLCANO(ボルケーノ)で750mAhと書いてあります。電池の極板に直接はんだ付けします。単1~単5の電池なら、はんだ付けは高温で、できるだけ短時間、5秒程度しか熱を加えなければ問題なくできます。そうすると電池内部まで熱が伝わらないので電池にダメージがほぼありません。
この電池、ニッケル水素充電池ですが、+と-をショートさせない限りはんだ付けの熱で破裂することはまずないです。私は何もふざけているわけでもなければ、世の中に間違った方法を広めようとしているわけでもありません。我流で邪道かも知れないけど、アマチュア的な発想を大事にしています。ある程度の冒険というのはアマチュアだからこそできるのであってそれはアマチュアの特権だと思うので良し悪しの判断は見る人におまかせします。私はそういうトピックを積極的にレポートしています。
電池パックを自作する場合の最も大きなリスクは過充電や過放電です。最悪これを使って液漏れしても、もちろん子機のメーカーサポートは全く無理です。自己責任です。オリジナルのパックのビニールカバーをはがしてコネクタを外して利用します。

「母材を熱する」
はんだ付け一般の一番重要なポイントは、
「母材を熱する」
ことです。半田を熱するのではなく、接合したい対象物を熱するということです。はんだごてを対象物に押し当てます。できるだけ密着させます。そしてやたらと動かしません。動かしたら温度が上がらないからです。接触面積を稼ぐために呼び水のように少し半田をコテ先に流してもいいです。母材である板の温度が十分上がったと思ったら、半田を流し込みます。コテを動かさなくても半田が熱で溶けて液状化すれば自然に広がります。コテを動かして半田を広げるのではなく材料の温度を高くすれば半田が自然に溶けて材料と一体化して広がっていきます。

猫の手
はんだ付け作業で手がもっとほしいときに猫の手も借りたいということでそういう名前の道具があります。予めハンダを付けておく手法をハンダメッキと言います。手が1本省略できるので便利です。
電池の極板にはんだ付けします。

あえて30Wのハンダゴテでやってみる
電池内部に熱が伝わる前に、極板だけをできるだけ短時間熱してさっとくっつければよいです。そのためにはスポット溶接です。これは一瞬の放電でぱちんとくっつくので全然内部に熱が伝わらず理想的です。
ハンダ付けでやる場合もできるだけ時間を短くすればよいので短い時間で十分熱するには強力なはんだごてを使えば良いです。製作記事などでは80W以上とか書いてあります。私はブースト機能付きの半田ごてを使っていて、普通は20W、ボタンを押すとブーストヒーターが働いて、130Wになります。ブーストボタンで十分加熱すると、電池の極板でもそれこそ多分1秒もかからずにハンダメッキできるのでできるのはわかっているのですが、普通の弱電のハンダゴテは30Wぐらいなのであえて、この30Wのハンダゴテでできるかどうか試してみます。電池の両極板全てにハンダメッキします。電池によっては表面に錆止め処理がしてあり、ハンダが乗りにくい場合があるので、まず表面をサンドペーパーで磨いてからハンダメッキをした方がいいのです。3本の電池を+-を交互にしてマスキングテープで仮止めし電池を直列に接続するためにスズメッキ線でつなぎます。コネクタの黒色のリード線を付けますコネクタの赤色のリード線を付けます。ビニールテープを貼って完成です。

性能テスト
古い電池パックでは1日で電池が1本になっていましたが、初めて1本減って2本になったのは充電から1週間目です。新しい電池パックの性能に匹敵します。蓋を開けて中を見ても液漏れ等はありません。もう一度満充電をすればさらに個々の電池のばらつきが吸収されてもっと長持ちするかも知れません。何ヶ月か使ってみて電池の性能低下や液漏れなど、問題がないか長期的にもレポートしていこうと思います。

ガス抜き弁の穴について
一般的な充電池では半田でガス抜き用の穴を塞がないように注意する必要があります。動画で使用しているボルケーノという電池のガス抜き弁の穴の位置を分解して確認しました。プラス極周りの白いプラスチック板を剥がすと、少し窪んでおり、その部分にプラス極の突起から少し離れて3箇所のかなり大きなガス抜き穴が開いていました。動画の方法ではんだ付けをした場合、この3箇所の穴をハンダで塞いでしまうことはありません。
コードレス電話の子機で使用するなど、通常の充放電では、このガスは電池の外には放出されず、内部で吸収されるので問題ないですが、万一過放電状態での強制放電、長時間の過充電、ショートによる大電流放電など無理な使い方をすると異常な温度上昇となりガスが大量に発生し、電池内部で吸収しきれなくなります。そうした異常が電池に起こった場合、破裂を防止するため安全弁が働いて、ガス抜き穴からガスが放出されます。つまり、これが塞がれていると破裂することもあるかも知れません。くれぐれもガス抜き穴をふさがないように注意してはんだ付けしてください。

はんだ付けで電池は劣化するのか?
ニッケル水素電池の極板に直接はんだ付けすることは良くないとされていますが、動画の方法でやった場合にどれほど内部が劣化するのかを知るために分解して構造や材料を見てみました。下記補足動画です。よろしければご覧ください。

なお、動画でも申し上げておりますが、分解される場合(なかなかそういう方もいらっしゃらないとは思いますが)、電池は完全放電させてから分解してください。残量がありますとプラス極を取り外すときにショートし、火災の原因になります。
封口板はプラス極と一体化しており金属でできていて、中にブチルゴムと思しき安全弁があります。プラス極先端に予備ハンダしても安全弁のゴムの劣化は見たところありません。私は、短時間の半田付けなら、電池に一切損傷はないという印象を持ちました。

🌟2020年7月7日
ハンダ付けの電池パックを使い始めて2年以上経ちます。子機は3台ありすべての電池パックを同様に交換しました。
どれも発熱や液漏れなどの異常はなく問題ありません。

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