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そーれ、掛け声だ(バリトン体験記)

歌や楽器をやるのは、いくつになっても上質な遊びだなと思う。

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一昨日の夜、先日劇のコーラスで一緒だったFさんから突然電話が来た。きょう、娘の学校である『みんなの音楽会』に、コーラスで出ないかという誘いだ。曲数は1曲、練習は当日のみ。ちょうどこの日は妻が仕事で、一日娘と遊ぶ予定の日だから、8歳娘もついでに連れていったらいい。二つ返事でOKした。

Fさんからメールで譜面と参考YouTubeが送られてくる。
曲は『ヴォルガの舟歌』。

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Эй ухнем, эй ухнем
Ещё разик ещё да раз

歌詞がロシア語である。

譜面に書き込まれたカタカナとローマ字表記をにらんで歌詞をおぼえるが、微妙にローマ字表記とカタカナが一致しないし、そもそもYouTube映像と譜面が違うw。

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恐る恐る今朝の練習に行ったら、聖歌隊で鳴らした先輩保護者のバリトンMさんが「まあ、母音がだいたい合ってたらいいから」という粗い説明をして、いきなり通し練習が始まる。

この曲は元々、リコーダーアンサンブルのグループの演目。リコーダー演奏1周目のあと、フレーズごとに男声コーラスが一人、また一人と客席から立ち上がって歌い出しステージに合流するという、フラッシュモブ的な趣向だ。ちなみにこの動きは当日知らされた。

演出のため、「楽譜見てると周りのお客さんにバレちゃうんで、なるべく楽譜は見ないでください」とか言われる。

でもこのロシア語の譜面もらったの、一昨日だからね?w

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本番は、なんのMCもないままリコーダー演奏が始まり、第一声をロシア語がうまい卒業生のKくん(どよめき)、次のフレーズで在校生のYくん(さらにどよめき)、次で父親部隊の先陣M先輩のバリトン(ここで大歓声)、直後☆4のところで僕が加わり、最終的に総勢8名の大合唱となる。

ホールのステージは正面上からのスポットが直射でまぶしく、お客さんたちの顔はあまり見えない。とはいえ歌でステージに立つなんて中学生以来で、体側に垂らした手の指先が、歌いながらじんじんした。

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出番のあとは「楽しそうだったね」と色んな人に言われた。腹から声出すのは、楽しい。みんなでひとつの作品をつくるのも、楽しい。音楽それ自体が、楽しい。

クリスマスコンサートなのになぜロシアの労働歌を選んだのかと問い詰めたいけれど(いわく「リコーダーパートの楽譜が簡単だったから」らしい)、なんだかすっかり楽しい思いをさせてもらった。参加することで、出演者の仲間や、演奏会の運営メンバーとも距離が近くなる。

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「みんなの音楽会」は、うちの学校の保護者有志による毎年恒例の自主企画で、「出演する人が500円払って、収益はすべて学校に寄付する」という自由なイベント。生徒、保護者、卒業生、誰でも参加できる。

今回のラインナップは他に、

・5年生4人による管弦カルテット
・6年生の超絶技巧バイオリンと8年生のピアノ
・卒業生と9年生の男子ピアノ連弾
・学外の子を含むバイオリン/ヴィオラ/チェロの本格トリオ
・卒業生の子たちのアカペラ合唱(これがほんとに楽しそう)
・20人以上のお母さん合唱団

など、多様で多彩だ。

弦楽器を本格的に習っている子たちの演奏は半端ないし、歌の人たちはとにかく顔が明るい。子どもたちは、舞台を経験するというだけで成長するし、大人は人前でなにかするという機会だけでも貴重なのだ。


学校運営に関わる中で、音楽という「遊び」を通じて、ひとと関わる道があり、自分がそれを積極的に楽しめるというのは、ほんとうにありがたい。

次の機会に向けて、声も鍵盤も、また少し磨いておこうか。

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