見出し画像

R.I.P


胸が痛い。

特別好きだったわけでも、ずっと見てきたわけでもないけれど。
昔から知っている存在で、当たり前にいた人だった。
そんな人が、なぜ死を選ばなきゃいけなかったのか。
どうにもならなかったのかな。誰にも話せなかったのかな。どこにも救いがなかったのかな。
辛いとき、苦しいときって、視野が狭くなってしまって、誰の言葉も届かなくて、一人きりのように思えてしまうけれど。
そんなことないよ、大丈夫だよって、誰かが言ってあげられたなら。
何かが違っていたのかな。

本当に、本当に、死を選ぶ他なかったのかな。
どうにもできなかったのかな。
知り合いでも、なんでもなくて、何かできる立場にないことなんてわかっているけど、それでも。
どうしてか、無力感に苛まれる。
やるせなくて。
ままならなくて。
誰でもいいから、彼の救いになってほしかった。
無責任だけど、そんなふうに思ってしまう。

例えば、自分の大事な人が。
友人や、家族や、恋人が、死にたいと思うほどに追い詰められていたら、自分に何ができるのかな。

結局、自分の問題は自分で解決するしかないし、他人を救うなんてそんな大層なことはできないけれど。
それでも、ほんの小さな光を。
たとえば、暗い部屋に光が差し込むように、カーテンを開けてあげるくらいのことはできるかな。

死にたくなる夜だって、何度も越えてきたけれど。
どうやって、乗り越えてきたんだっけ。
気づいたら朝が来て、どうしようもなく、世界が回り続けるから。
なんとなく、いろんなとこをなあなあにして。
結局は、そこまで追い詰められたことがなかったのかな。

自分にできることなんて、大してないし、他人を救うなんて烏滸がましいことはできない。
それでも、カーテンを開けてあげるくらいのことはできる人間でありたい。

一度関わった人たちは、どんな相手でも自分に何かをくれた存在で、大切に思ってしまうから。
だからこそ、そんな人たちに何かあげられる存在になりたい。
自分ができることなんて、限られているし、結局はその時々でできることを一生懸命やるしかないけど。

幸いにも私は、ものをつくることを仕事にしているから。
誰かの心に届くものを。
ほんと少しの間でも、辛いこと悲しいことを忘れられるようなものを、届けられるように。

あなたが今いる場所に救いがありますように。
安らかでありますように。