見出し画像

140字小説【来なくていいよ】

数年ぶりに登る険しい山。妻より一足先に着いたぼくは、崖の淵で妻が来るのを心配顔で待っていた。危ないから来るなと何度言っても聞かないのだ。毎年連休になると、必ずと言っていいほど犠牲者が出るというのに。妻は他の登山者と違い頂上は目指さない。ぼくの立っている場所に花を供えると下山する。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?