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SS【師走の空】


師走は何かと落ち着かない。

夏休み終了間際の宿題に追われる子供のように後がないからだ。

最後に帳尻を合わせるかのように、多くの人は走り続けている。

空を見上げる暇などない。


朝晩の厳しい冷え込みにも負けていられない。

厚い雲が光を閉ざしても、氷の結晶が空を舞っても、ただ前に進むだけだ。


それでもぼくは、行き詰まりを感じた時に空を見る。

出口の見えない暗いトンネルの中で、ふと立ち止まってしまった時は空を見る。

今頑張ったからといって、大きく結果が変わるわけではないだろう。

それでも師走の空は、良い意味で変化の兆しをぼくに知らせてくれる。

少しだけそんな気がするから。


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