「目にした、耳にした芸談あれこれ」パイロット版

以前、銀座でバーをやっていた。アコーディオンでどんな歌でも伴奏を付け、自ら歌いもした。ある日、客が飛び込んできて「何でもできるんだって?じゃぁ十曲言うからやってみな」と。全て歌いきると男は何も言わずに去って行った。誰あろう立川談志だった。

暫く経ってから、談志が現れて「マスター、談志が本気で言うんだから性根を据えて聞いてくれ。おまえに惚れた」と。嬉しかったですねぇ。逝っちゃいましたね、談志師匠。(2012年2月13日「浅草演芸ホール」昼席で近藤しげる談)

で、この人落語立川流の新年会に呼ばれたのだが、肝腎のアコーデオンを持ってこず、「お客様」然とそっくり返って家元をしくじったと、(多分)立川左談次さんから後に聞いた。如何に嬉しくても調子に乗り過ぎちゃいけない。

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