異世界転生ものにおける学園入学制度は、つまり江戸詰なんではないか?

まあそれだけなんですけどw


さていわゆる「なろう」小説系の異世界転生ものをまとめてよんでいる。
なぜそんなことをしているかといえば、私が活字マニアの上に、今積読してる本の数々が気軽に仕事の片手間&寝不足でよめる程度の本ではなく、ノート片手にがっつりメモらないとだめそうなやつばっかりで進退極まったからだ。そういう時には読まなければいいのでは?なんて選択肢は活字マニアに用意されてないのだ。
これは女神の呪いなのです(ばばーん)
*すでに言語が異世界転生ものに毒されています。

さて、
ここまでさぞ周知の事実のように書いているが、
ご存知ない方に軽く説明すると「なろう」というのは「小説家になろう」という素人〜デビュー前のセミプロのみなさんが小説をかいて投稿できるサイトで、事実ここから作家さんも育っているので、まあ角川の編集さんとかもきっとご覧になっている。
なので作品の出来はピンキリ。何から読んだらいいかわからない場合は、ピクシブあたりの漫画がたくさんあるところから、異世界転生もののコミカライズ作品をさがすとよいだろう。それらは大概原作つきで、出典の多くは「なろう」だ。
コミカライズされるくらいだからそれなりに面白い。

そして「異世界転生もの」というのは、現代人が異世界(だいたい想像したようなファンタジー世界だ。FFとかDQとかああいうやつ)に、トラックに跳ねられて死んだり(これは「トラック転生」と呼ばれるスタンダードな転生だ。どうしてトラック?乗用車じゃだめなの?とか聞いたら負けだ。これは既に様式美なので)、救世主として召喚されたりして転生する。
(ここで異世界に転生する際、外側のみかけがそのままの場合と、召喚先世界の誰かに入り込むパターンがある)

まあそんな異世界ものなんだが、初期作品は現代の知識や能力、転生先で与えられた能力でチートして世界を救うそして男女共にハーレム展開みたいな(「大して能力もない主人公がハーレム展開!」てフンガフンガとたまにネットで叱られてたのはつまり初期の異世界転生もの)やつも少なくなかったが、ジャンルはあっというまに飽和し、異世界に転生したがスローライフしたり(これも飽和した)、一般人としてつつましやかに暮らしたり(飽和中)、ジャンルも冒険からグルメ(ほぼ飽和)、学園もの、お仕事もの(何読んでも面白いけどチートすぎる気も)、エロに恋愛SFや推理等とてつもなく多く、現状今や「まあなんか現代小説ほどのシビアさもないけど、ハイファンタジーやるほどのガッツもないぬるま湯ぽい倫理観現代、舞台設定DQ〜中世欧州ぽい世界でいろいろやる」くらいなものが多いんじゃないかとおもう。

つまり「異世界転生もの」の今の状況は、90-00年代のコバルト&朝日ソノラマあたりの少年少女小説の全てをつめこんだあらゆるものがあるのが「異世界転生もの」という一大ジャンルなのだ。

はいここまでが前提説明です。
いつものとおり、まとまらずに長くてすみません。。。


さて
まとめ読みした中に、「悪女令嬢もの」という一大ジャンルがある。
概要は、異世界転生した主人公が気づいたら、生前プレイしたことがある乙女ゲー(主人公女性。男性キャラクターの好感度をあげてハピエンを目指すタイプのハーレムゲー)の悪役令嬢になっていて、そこでいかに悪役令嬢として(既存の乙女ゲーのシナリオを回避して)死や不幸を避けるかという、まあ転生者としての第二の人生を丁寧に生きてハピエンを目指そうって足掻くのがストーリーの屋台骨だ。

この乙女ゲーにおける悪役令嬢というのが大概大貴族の令嬢とかで、子供の頃から国の王子と婚約が決まっていてなんだか高飛車。
そこに綺羅星の如く現れた主人公!
才能はあるけれど身分の低い貴族や庶民がその持ち前の明るさや前向きさ、貴族令嬢ににはない溌剌さで、王子他対象アッパー男性にどんどん見染められるっていう………
…………よく考えたらそもそも婚約者がいる王子!!!
ちょっとおまえいくら親が決めた婚約者だとしてもそこは国の第一継承者としての立場とか今後の政治バランス等考えて、庶民主人公に手出してる場合じゃないぞ馬鹿か?お前勝手に自由恋愛できる立場か?っていろいろあるんだが、まあそういうゲームジャンルにおける寝取られる側の悪役令嬢の人生をやり直すのが「なろう」の「悪役令嬢もの」だと思ってほしい。

さて
本来であれば身分も立場も違う、顔をあわすチャンスすらないはずの多数の人間を一度に集めて効率よく恋愛ゲーとして成立させるために用意された装置…(げふんげふん)…プレイヤーが感情移入しやすいように用意されたのが「学園」という制度だ。
だいたい国の都市部にあり、そこに国中の貴族子弟や選ばれた成績優秀な庶民が通うことになる。
そしてなんか皆寮生活w(貴族は個室で庶民とかは相部屋が多いかな…)。

学園の生徒会長は悪役令嬢の婚約者の王子が大概やっていますw

王子は副会長や役員ら(同級生で乳兄弟的な貴族諸侯)や書記や会計(王子の弟など年下貴族)などでキラキラした生徒会を運営している。
悪役令嬢もここに書記とかで参加している場合が多い。
だいたい王子よりちょっと年下設定やからね。
ヒロインはだいたい悪役令嬢とおない年です。

わたしが書いてるのは一例じゃないんだ!これ王道パターンなんすよ。
なので、多分「異世界転生」における「悪役令嬢もの」を読んでる人や、乙女ゲーたくさんされてる方にとってみたら、なんにも違和感のない装置だと思うのだが、おそらく知らん人にとったら(なぜ王子が?お城で家庭教師でええやん)と思われること請け合いだし、本当に中世欧州設定だったら17なんてもう結婚して子持ちでもおかしくないしな。
とても現代感覚で都合のよい装置だなと思っていた。


が、ふと思ったのだが、学園を運営するというのは擬似国家運営的でもあり、その周囲を固めるのは有名貴族の子弟、将来的にも王子を支える腹心の部下達、ここでは貴族間の身分も「見た目でそんなには」大差がつかないような制服制度が採用されていて、一同に食堂で食事をするスタイルだったりするところは英国あたりの某有名大とかでもそうやし、そういう意味ではそれなりに現実性もあるのかなと考えられる。
全くしらない地方の有能人材に目をつけることだって可能だろう。
自分が将来的に国家を担うとなったら、多数味方をつけることは第一義だ。

そう考えると、婚約者側の悪役令嬢も、夫となる王子の経営手腕を見たり支えたりと、レッスンとしての擬似王家運営サイドも味わうことができるわけで、まあ国家運営でいきなりチャレンジするより、学園という守られている中でできることは沢山あるし、悪役令嬢側も自分のおとりまき令嬢(有名貴族等)との交流も持てて、現実の欧州で行われていた、所謂サロン(女子会)より断然実質的だ。
サロンで髪の手入れとかお化粧とかお作法の先生の噂話とかしてたって実力つかんしな。まあ大概の貴族令嬢には自領の荘園運営の実力は要らないのだろうが。

そしてタイトル回収だ。
ここまであまりにも長くて忘れただろうが、この学園には国中から貴族の子弟が集められている(大概現代中高生くらいの年代から、中央に集められて一気に寮生活だ)。これはもはや江戸詰なのではないか。
彼らは週末ごとに寮からでて自宅へ戻る。
とはいっても自領はバラバラなので、学園側に自分の自宅があり、そこに戻るのだが、国としては教育という名のもとに子弟を中央に集めて管理してる状況なので、地方貴族は子供を人質にとられたも同然。
実際の中世欧州でありがちな地方豪族の反乱などもこれである程度は回避できるはずだ。しかも中央で画一教育することによる国家思想や政治思想の違いもフラットにできる面も見逃せない。学生がそれぞれ得意分野を専攻している描写も少なくないので、その後経営や政治など実学のみならず、魔法や錬金術や薬学、歴史学等の学問に精通した人材を見出すのは国家における人材確保という意味でもとても有益だ。
自領を持てぬ次男三男などにもこれは朗報だろう。就職先が見つかるのだいじ。そして人材は国の宝だからな。

それだけではなく、同じ釜の飯をくった学友の領地をそうやすやすとは占領しにもいけないだろうし、学園をでて自領管理することになったら、元学友に知恵を借りるなどいろいろと都合しあえるだろう。
貴族間の婚姻など、ほぼ家と家の繋がりでしかないが、ぶっちゃけ顔もみたことのないところに嫁がされるにしても、同じ学園にかよった先輩の先輩ノツテをたどれば誰か同級生がいて「ひととなり」だってわかるだろう。
そういったつながりも見逃せない。
………わーなんだこの学園もの。いいことづくめじゃない?
ただの装置以上の効果あるな。


と一気に妄想してニヤニヤした午後でした。

が、やっぱりどう考えても、国の第一継承者がその後の政治を顧みず自分の婚約者を蔑ろにし、庶民の子にフラフラした挙句に、婚約者を悪役に仕立て上げたりするのは、もう学園だけの話じゃないし、王子が継承者としての器的にどうなのって気もするし、そこは令嬢とはちゃんとうまいことやって、庶民の方は愛人として確保しとけよ?いい大人だろう!っておもったりするので、乙女ゲーはわたしにはむいてませんw

「なろう」における「悪役令嬢もの」は、転生者がその令嬢の転落人生をゲームで知っており、その悲劇を回避して、王子とのハピエンを大概キッパリ諦め、とりあえず幽閉されたり死刑になったり家ごと没落させられない方法を選びとる。
その「キッパリ諦める」態度が、再び王子を振り向かせたりするのがまた人生だ。まあそう思って「なろう」作家のみなさも書いてらっさるんでしょうけれど。
だれかを恨んだり「ざまあ」ってやってる暇があったら、次の道探したほうがなんぼも開けた人生が待ってるのは事実。
「悪役令嬢」ものの彼女らも、執着で目を曇らせなかったからこそ道が見えたんだろうな(まああというても転生者にとっては、半分他人の人生だしなとも思うがw)。

*あと実際の歴史だと友だろうが乳兄弟だろうが親子だろうが血で血を洗う戦いをするのは各国そうなので、お酒くみかわして話し合えば大丈夫とかそういう夢みちゃったらだめだぞ♡というを最後に付け加えておきます。
戦争という愚かしくも華やかな転換期の積み重ねが歴史の全てだと、嬉しそうに言った中国史の女性教師の言葉が忘れられませんw

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?