日記

今日は本を読んだ。いつもの本だ、江國香織の「神様のボート」。もうずっと読んでいなかった。

今朝はフォロワーが楽しそうにしている夢を見ながら、アラームに頼らずにゆっくり起きた。午前中に同人誌が届く予定だったから、そのために身支度を最低限整えて荷物が届くのを待つ事にした。そわそわわくわくしてしまって、午前中、せっかくの暑いくらいの日差しの中で「神様のボート」を読んでも心ここにあらずだった。抹茶オレを飲みながら、ベランダに腰掛けている間、ずっとさんさんと降り注ぐ太陽を、眩しく思っていた。ベランダのコスモスを何本か切って、机に飾った。昼に焼きうどん(さつま揚げと、油揚げをいれた)を食べて、まだかな、もう来るかな、としていたら、十二時前に、同人誌が届いた。

同人誌は夏の間に作ったもので、早割を利用した関係で今日届く事になったものだ。本文六百八十八ページ、表紙はフォロワーさんに描いて貰って、箔押しにした。もう一人、フォロワーさんに頼んで寄稿して貰ったページも、しっかり含まれている。重さを計ってみたら三百八十八グラムあった。箱を受け取った時の感想は一言、重い、だ。自分の分と、献本に二冊、あとはだいたい予備なので、たったそれだけでこの重さになるの?と思った。一冊手にしても、感想は変わらない。作った同人誌は重かった。重いけれど、とても好きだと思えた。余白もしっかりとったので、分厚いわりに読み易い。せっかくだったので、昼間、乾杯するために缶チューハイを開けた。夏に出ていた限定パッケージのものだった。

暫く同人誌を眺めたり作業をしていたけれど、夕暮れになる前に、ともう一度ベランダに続く窓を開いた。未だ陽があった。少し寒くて、毛糸の、ずっと使っている灰色のカーディガンを羽織って、窓辺に座った。あの場所を、なんて呼ぶのかを私は知らないけれど、窓辺、という呼び方を気に入っている。危ないけれど隣に紅茶を淹れたカップを置く。今日は、とくべつなので、「銀河鉄道の夜」の紅茶だ。まずは同人誌をぱらぱらとめくった。直したいなと思う所も多かったけれど、それでも総じて満足できるような出来の中身になっていた。私は私の言葉が好きだから。
十分くらい同人誌を読んでから、音楽を、みきとPの「MIKIROKU」というアルバムに変えた。これもいつもの音楽だ。ベランダで本を読む時はこのアルバムを聞いていて、その本は、もちろんまた、「神様のボート」だ。今日は「2001・逗子」の辺りを読んでいた。スピンや栞は、とくに使わない。適当に開いて、読みたい所まで読む。旅がらすの親子の話は、安定なんてものとは程遠いのに、私をきれいに均してくれる。アルバムを一枚聞き終わる前に、今日は、日記を書こう、そう思って部屋のパソコンに戻って来た。

普段エッセイを書く時は全く違うアカウントに上げているのだけれど、今日は同人誌の話をしたかったのでこのアカウントに上げる事にした。同人誌は、また改めて作りたいな、と思っている。こっそりと直してしまいたい所も見つけた事だし、いつかまた。同人誌は、そのうちに、献本分を発送したりするので、それが楽しみで仕方がない。箱に入れて発送するつもりでいるので、先ずどうやって郵便局にあの箱を二つ持って行くのか、悩むけれど、それでもあの箱を開けてくれるその日が楽しみだ。出来たら時間を合わせて、スペースで録音しながらその声を聞いていたい。録音するのは勿論、私が後から聞き返すためだ。誰かの何か、に、私の書いたものがなればいいというのは、ずっと思っている事だから。発送が来週くらいになるだろうから、もっと先の話になるだろうけれど、それでも楽しみだ。

今日は起きた時からずっと楽しくて、近頃は朝から気が重くて頭が痛くて辛いばかりだったのに、気持ちよく晴れて温かいだけで私はこんなに過ごしやすいのかと驚いている。冬は嫌いだ、未だ秋だけれど、寒い季節が本当に苦手だった。朝のはったような空気は好きだけれど、それでも凍える日々を愛しいとは思わない。次の休みには、紅葉が見たい、そういう少しずつを楽しみに暮らしている。紅葉は、近くの、大きな図書館の側に、綺麗な場所がある。いつか行った古民家カフェがまだあったらまた行きたいと思ってる。季節をいっそう好きだと思うようになったのは、今の推しに出会ってからだ。午前、自分の俳句をデータにしていて、こんなにたくさん季節を見ていたのか、と驚いた。いちまいの花弁、通り過ぎた風の匂い。苦手な筈の雨音。ひとつひとつ、私の大事な一頁になったんだと思う。

明日からまた仕事だけれど、今日はゆっくりと自分らしく過ごせた。私の中身が、またたぷたぷと音を立てて揺れているのを感じる。満たされた休日で、良かった。次の休みは、文具女子博に行く予定だ。楽しみ、が、ある。だから大丈夫。アルバムが終わるのでここまで。
おやつに紅茶を淹れなおして、栗の八つ橋を食べたいな。