バレンタインの思い出
ビールを苦いと感じなくなったのはいつからだろうか。
あの物理的な苦味を、自分自身が体験する苦い経験がそれを超えていくのだろうなという、個人的な解釈。ビールの苦味なんて大したことないと思うような経験が、ビールを苦味を鈍化させていく、みたいな。
そんな持論も「ビールの苦味なんてただの慣れだよ」と笑う人生の先輩の前では、なんというか、あまりにも稚拙で途端に恥ずかしい。
なんてことを、書き出すタイミングで思い出していた。
今日の本題はバレンタインの思い出。これは、中学生まで遡ることになる。
野球部のエースに恋をしていた当時の私は、バレンタインに告白することを決意。校則のあれこれで学校にチョコを持って来れなかったので、放課後、友達の協力を得て好きな男の子の家まで持って行くことにした。
溶かしたチョコを固めただけの手作りチョコに「好きです」の手紙を入れて向かった好きな男の子の家は、とにかく遠かった。山の中にあったのを覚えている。
当時まだガラケーが主流で、好きな男の子の連絡先を知らなかった私は、連絡先を知ってる友達を介して到着予定時刻を伝えてもらって外に出てもらうことにした。
友達は少し離れた所で待機していて、「がんばれ!大丈夫だよ!」と背中を押してくれた。ドキドキしながら好きな男の子にチョコを渡して、手紙が入ってるから読んでほしいと伝えて、出来れば返事が欲しいと言って逃げるように帰ってきた。
後日、返事をもらった結果「彼女がいるからごめんなさい」だった。まあ、その彼女というのが、私に協力してくれていた友達だったんですけど。
後の数年間は「苦い思い出」としてよく会話のネタにしていたけど、10年以上経った今、もはや甘酸っぱい。
最初で最後のラブレターは「好きです」のたった4文字。可愛いわ、当時の私。
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