シェア
「ぼくには生まれる前の記憶があるんだ」 ブランコに座ってゆらゆらと動かしながら、ユウくんは清々しく打ち明けた。泥まみれになった制服をまとい、顔には痣や傷ができていて、見るからに痛々しそうだ。 ぼくは冗談としか思えないユウくんの言葉に、「え?」としか反応できなかった。 「生まれる前の記憶」 「生まれる前って、前世ってこと?」 「うーん、前世ってわけでもないんだよなー。生まれる前」 何度言われてもいまいちピンとこない。 ユウくんと同じようにブランコに腰かけたまま、暮れゆく