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随想(エッセイ)

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その時、浮かんだことを書いたもの
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2022年5月の記事一覧

ニューヨークの木①   塀の後ろ

家の近くに、落書きされた塀の奥、ビルの暗がりから、斜めに歩道と空に向かい、枝を広げている木あって、この頃、紫の花を、いっぱい咲かせている。ライラックのようだけれど、もしかして違うかもしれない。 花が咲く前には、黒い防犯フェンスと落書きの壁から、幹を大きく出している様子が、動物園の麒麟を、思わせた。 10年以上住んでいる家から、徒歩5分のところなのに、数ヶ月前まで木があることにも、気づかず、みつけた時には、前はなかった木が、突然ここまでのびたのかように感じたけれど、前からそ

表現する勇気

今でこそ、ブログを書いたり、絵を描いたりしているけれど、子供の頃は、自分を表現して、発表するのが、恐くて出来ないタイプであった。 家で、ひとりでいる時には、ピアノをひいたり、塗り絵をしたり、空想の世界を作り上げて、遊んでいたけれど、それを人に見せるとなると、全然別の話で、特に、学校で自分を表現するのが、全く苦手だった。 作文の時間には、何を書いて良いかわからず、悩んでばかりだったし、絵や工作も下手だと思い込んでいたので、美術の時間には、自分をせめてばかりだった。中学時代の