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ほうれん草を描く

 「ほうれん草と小松菜とチンゲン菜の絵を描き分けられる」と話したところ、ほめられました。ちゃんと観察できなければ、みんな葉っぱになっちゃうよ、と。言われてみればそうかと、嬉しかったです。

 自分で勉強したことはありません。美術の授業でデッサンを習った訳でもないので、技術的なことはほぼ無知です。

  描いた時のことを思い出すと、まずインターネットで画像検索。気に入った写真からイラストを想像します。
 ほうれん草は葉の芯が一点に集まり、上がぶわっと広がる逆三角形。葉っぱは波形。
 小松菜とチンゲン菜は同じアブラナ科。楕円の葉で似ています。ただ、小松菜の芯と葉っぱのシルエットはスラッとモデル体型。チンゲン菜はダルマ体型で芯が太くて立派。ここで差をつけました。イラストを分かってもらえた時は、喜びよりもビックリしました。

 ほうれん草を描けた心当たりといえば、生き物をじっと見るのが好きなことくらい。怪訝な顔をされることさえ恐れなければ、道端の雑草を飽きずに眺めていられると思います。それもかなり楽しそうに。あるいは、真剣すぎて無表情の真顔で。

 その心当たりを伝えたところ、絵を描くにはまず観察だよ、と教えてもらいました。


  お絵かきは好きです。けれど、たくさんしてきた訳でもなく、人に見られることも苦手です。一方、生き物好きはにじみ出ています。もはや、ひとりで動物園へ出掛けたとしても「さみしいお一人様」だなんて言われません。ずっとひとりで楽しく眺めていられます。
 その二つが合わさって、意外に絵を描けるようなっていたのです。多分、生き物特化ですが。

 好きなことを突き詰めると世界が広がるのだなと感じます。確かに生物学でも、観察やスケッチは大切な要素ですからね。知らず知らずのうちに、あまり触れてこなかった絵の世界にも少し足を踏み入れていたようです。

 それの何がいいかと言われれば、今回は特にあまり触れてこなかった、けれど好きでもあるイラスト分野に関わっていたことです。学んでこなかったから。やってこなかったから。できないと思い込んでいた好きなことが思っていたよりできるのだと気付かされ照れくさくなりました。

 「ほうれん草と小松菜とチンゲン菜を描き分けられる。」少し、変わった振りでした。唐突に聞かされたら、不思議な顔をされそうなフレーズがいいことを運んできました。

 もちろん、学び修練していた方々には足元にも及びません。それでも、私もこの世界に踏み込みたい声をあげる勇気にはなりそうです。
 まだ優先順位は低いけれど、そのうちに絵の描き方を調べてもいいのかなと、ひとつ先の輝きになっています。

詳しくなくても好きなことで話をふってみるのは、いいことでした。

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