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R-1グランプリ2021良かったよ感想

爆速で2時間が駆け抜けていった。いろんな意味でです。

準決メンバーを見た時点で激アツな大会になると確信していたのですが、決勝ももちろん面白かったです。ゆりあんレトリィバァさん優勝おめでとうございました。

去年から賞レースのたびにちまちま細かい感想を垂れ流しているので、今回も例によってここが好きだった感想を書きます。正直大会自体には「え???」と思う部分もありましたが負の感情は削ぎ落して反芻していきたいと思います。以下順番ランダムです。

①マツモトクラブ(敗者復活)

マツクラさんが決勝の舞台に返り咲いたという事実で個人的にもう盛り上がってました。この方が決勝にいないR-1、まだちょっと想像できないかもしれない。去年の秋は急にラストイヤーになって一お笑いファンである私ですら動揺してしまったよ……(この話は十中八九長くなるため割愛)。マツクラさんのネタ、演劇の要素も色濃いのに自然と笑いが込み上げてくるじわじわ感が好きです。一人コントでやむを得ず発生しがちな冗長な余白がなくて、音声と芝居の掛け合いで隙間が生まれていないところにいつも圧倒されます。後半でするする台詞を回収していく流れも気持ちよかった。し、四十のおっさんが長瀬の真似をし続けてる状況がもうおもろい。R-1クラシックの方も今後続いて行くならぜひ参戦してほしいです。

②ZAZY

出順はやい……と最初は思ってました。が、順番とか関係なくネタ面白すぎたので全然問題なかったですね。四面のフリップそれぞれの役割というか、文字通り四季折々の展開があってどんどん先が気になって見入ってしまいました。いや見入るようなネタじゃないのか……? それこそ「なんそれ?!」って視点で見るのが正しいのかもしれないな。凡人に言えることは何もありませんが。なんそれ?!までの一言ボケの畳みかけ、めちゃくちゃ好きでした。テンポを崩さず進んでいくのに一つ一つのワードセンスとか引っかかりが最高に面白い。外さないのが凄い。以前『探偵ナイトスクープ』でZAZYに憧れる男の子のもとへ本人が訪ねに行き、一緒にネタをするという素敵依頼がありましたが、あの子もきっと今日でさらに尊敬の念を強く抱いたんじゃないかな……と勝手に思いました。

③森本サイダー

名前と、遊戯王が好きだということと、お笑いトキワ荘に住んでいるという前情報(偏ってる)しか持っておらずネタ初見だったのですが、初めて観たネタがこのメタ全開のもので良かったのかは謎です。いや面白かったからOKだと思うことにします。一人コントとフリップをこういう合わせ技にしてくる芸人さんをあまり見たことがなかったように記憶しているのですが、その大胆不敵さが可笑しくて良かったです。さっき自分がしたコントの振り返りあんな声量でされたら誰でも笑ってしまう……あとデカリュックがずっとシンプルおもろい。同じことの繰り返しみたいになって申し訳ないのですが、自身を客観的に見て嘆く不条理さがシュールギャグの世界っぽくて好きでした。普段はどんなネタをされているのかとても気になったのでこれから探して観たい!と思いました。

④土屋

ビジュアルのインパクト。あと小道具のハンドルの手作り感も輪をかけて面白かったです。まっすぐ視覚から笑わせに来ている。流し読みしていた感想で「世代によっては(ピンと来なくて)笑えないんじゃないか」というものを見たのですが、あまりそれは関係ないかな……?と個人的には思います。実際私はnot世代ですがしっかり笑えました。あの絶妙な物まね加減がじわじわくるというか、極端な話田原俊彦を具体的にイメージできていなくても空気感で十分楽しめるタイプのネタだと思いました。「田原俊彦のままでゴールしたくないな」とかパンチラインもしっかりあって、場面設定に動きがないにも関わらず最後まで面白かったです。いやそもそもどうやって生活してたらこんな状況思いつくんだ……ピン芸も奥が深いな……とあらためて思わされるような3分間でした。

⑤かが屋賀屋

これだけ言わせてください。かが屋コンビ復活おめでとう!おかえり!! この幸せな気持ちで晴れ舞台を観ることができて本当に良かったです。それがまず嬉しくて。

一本目は個人的に好きなネタでした。9割息遣いしか発してないのに状況を受け手にがっつり伝えて感情移入させる表現力が素晴らしい。野田さんが講評で触れていましたが、電話の件の通話口から怒鳴られる演技がリアルで感動しました。ここ以外にも細かいディティールまで描写されてる感じがたまらなく好きです。あとオチが以前見た時とは変えてあって、それが世相も反映しつつ綺麗に収める締めになっていたので興奮しました。凄い。もう凄いしか言えない人間になってる。二本目はかが屋としてもおろしたことのあるネタなんですよね。今回は一人芝居というパッケージでしたが、それでも賀屋さんの目の前にちゃんとたっくんが見えてくるような空間の使い方で面白かった。賀屋さんの演じる女の子はいつも等身大で、一生懸命で、とても可愛いと思います。友だちになりたい。

⑥寺田寛明

某ネタ番組で拝見してからずっと好きです。こんな強ネタが世間に周知されてないなんてもったいなかったので決勝の舞台で披露されて本当に良かったです。一切無駄のない堅実でシンプルな構成は塾講師ならではというか、実際今も生徒さんにバリバリ教えてるんですよね。凄いな……。個人的には寺田さんのこのテンポが心地良い。何というか、訳文自体もう確実に面白いから余計なことを考えずに見入りたいんですよ。だから頭へすっと入ってくるような寺田さんの語り口がとても合っていると思います。褒め言葉としてとらえていただきたいんですが、派手さはなくてもこういうコツコツ積み重なっていくようなネタは疲れ切ってる時でもずっと見ていられる気がします。あと得点発表の時の自虐がちょうど笑えてそれも好きだったな。そして反省会での振る舞いが最高だったのでぜひ、ぜひ売れてください。

⑦kento fukaya

私はお笑いを観に行くとなれば大阪のよしもと漫才劇場が圧倒的に多いので、今回のファイナリストの中では一番生でネタをみたことのある芸人さんでした。隙自語ですがそういう芸人さんほどどうしても応援したくなっちゃうよね、ということです。決勝で観られて嬉しかったな。純粋に三面フリップで、しかもそれぞれの絵の中で起こる現象が一つの物語として繋がっていくってめちゃくちゃ凄くないですか……??? 今年のファイナリストはフリップを使う方が多めな印象ですが、その中でもfukayaさんのネタは目に見えて「展開」があって、終盤にかけての盛り上がり方がとても綺麗だと思いました。フックとなるワードも無理矢理感がなくすっと入って来るし、あと一枚一枚のフリップが断然見やすいのも素晴らしいですよね。あれを全て手作業で描いてるなんてどう考えても凄い。一緒に視聴していた家族(お笑いは人並みに見るくらい)は「笑いどころが分かりやすくて面白い」と言っていました。

⑧高田ぽる子

2年目でこの落ち着き、周囲を惑わせるような空気感、ガチのダークホース感が凄い……とネタ披露前から勝手にドキドキさせてもらってました。正直自分と同年代の方が活躍したり日の目を見たりするのがめちゃくちゃ嬉しい人間なのですが、その期待値を飛び越える独特さでとても興味深かったです。一緒のカテゴリにしてもいいのか不明ですが、ZAZYのネタを初めて見た時くらい訳が分からなかった(褒め言葉)。“モスグリーンの乳首”って今後一生言わなそうなワードも良かったし、オチが特殊過ぎて若干怖く感じちゃうのも好みでした。このキラキラ明るい大舞台で観る、という状況が可笑しさに拍車をかけている感じがして、地下ライブで観たらまた別の良さがあるんだろうなあと思いました。全然情報がないのでもっと色んなネタが見てみたいです。

⑨吉住

Wで優勝してからテレビでも拝見する機会が多くなってて嬉しい。余談ですが、私は個人的に「段ボールの切り抜きを頑なに彼氏として扱う女子高生」のネタがかれこれずっと好きです。今回のネタは世界観がジブリを彷彿とさせるような雰囲気で、本当に表現の幅が広い人なんだな……と感心してしまいました。そのほのぼのな前半から後半の熱い手のひら返し感、堪らなかったです。村が焼かれた時の表情なんかは鬼気迫り過ぎてて情景が浮かびまくりました。単純にわらいどころを受け取るネタではなくて、人間の行き過ぎた負の部分を「え、やばwww」って笑う感じというか……純粋に捉えたら悲しい物語なんですけど、極端な振れ幅と吉住さんの演技力でちゃんと笑える構成になっているのが面白かったです。吉住さんにはもうどんどんやりたいネタをやってほしい。

⑩ゆりやんレトリィバァ

終始凄かった。圧倒的女王の貫録でもってのこの優勝は誰も文句のつけようがないと思います。過去記事(theW感想)にも似たことを書きましたが、最近ゆりやんを見ると本当にもう、どのネタを観ても完全に面白くて最高だな……という気持ちになります。まあ単にそもそもファンなんですけど。

一本目、「ちゃうねん」一本軸でこんなに変化持たせて3分間オフィスを駆けまわるの面白過ぎる。電話ガチャ切りの件とロッカー開けたら木、のところで死ぬほど笑いました。ピンですることに意味がある構成というか、一人で振ってツッコむ、という型でこんなに連続して笑いを生み出せるのが凄い。二本目は銃出し始めたあたりからもうずっと最高でしたね。良いネタ……。あんまり真面目に掘り下げるのも野暮だとは思うんですが、ゆりやん自身が痩せてからネタ中にあったような取材を受けるうちに疑心暗鬼になった部分が元なのかな、と思うと昇華の仕方が素晴らしすぎます。終盤のSE存分に使って破壊していくところとのやんちゃさと、シャワーでしっとり締めるギャップも面白かった。完璧な優勝ネタだと思います。


というわけで全員に対しての感想でした。本当は終わってすぐまとめるのが一番いいけどどうしても周回遅れになってしまいます……。好きなことだけ考えて暮らしたいものですが、それは叶わないので仕方がない。

なお、言わずもがなここに書いたことには何の権限もありませんので、ただ凡人が何か言うとんな、程度に思っておいてください。