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Column_s#4 学校だより②つながり


今回のテーマも、#学校だより
私がかつて学校だよりの巻頭言(注1)を担当した際の文章です。その前の年に引き続き、2年連続で「研究部長」の担当となりました。(結果的に4年連続で研究部長をすることとなりました。ですから、巻頭言も4年連続です)。前の年は、我が子が「独楽(こま)」に夢中になっていたことから、その姿を切り口に文章化しました。「さて今年は…」とネタになりそうなことを探していると…。ということで、実際の文章をどうぞ。

(注1) おたよりの一番はじめに掲載される文章のこと


「夢中」(好き)と「つながり」(対話)で伸びる・伸ばす!

 昨年は独楽(こま)に夢中だった我が家の上の子は、5歳になって今度は折り紙をよくするようになりました。折り紙の本を1冊買い与えたのですが、写真や言葉だけの説明では5歳の子にはなかなか理解が難しく「分からない、これやって。」と助けを求めにきます。確かに「なかわりおり」「かぶせおり」などの特別な折り方が出てきますし、折られた結果の写真だけでは途中経過がイメージしにくいのです。はじめは難しい部分を代わりに折り、その続きをさせるようにしていたのですが、それだといつまで経ってもその部分を自分で折れませんから、「この三角のところをここにぴったり合わせるようにね。」「折り目を付けたから続きをやってごらん。」など、実際にやってみせ、対話しながら難しい部分を教えるようにしました。当然時間は掛かりますし、不器用な手先で思うように折り進められず感情的になることもあります。しかし、本人はそれでも折り紙が楽しいらしく、暇を見付けては折り紙の本をながめ、端がずれながらも自分で折って完成させては満足していました。そのうちに特別な折り方も覚え、折り方も随分上達してくるのですから不思議なものです。
 
 こういったエピソードは案外身の回りにあるのではないでしょうか。冬休みにスキー場で悪戦苦闘した御家庭もあったことでしょう。学校でも、作文の書き方、みんなの前で考えを説明する、跳び箱、新しい学年から始まった家庭学習…とはじめから全て思い通りにできるわけではなく、何度も繰り返したり、先生や友達とやり方を話し合ったりしながら、少しずつ上達の道を探っていきます。その様子を見ていると、うまくいかなくても楽しそうに挑戦している子、話し合うなどしてやり方のヒントをもらいながら継続して努力する子は、習得までの時間差はあってもその上達ぶりが大きいように感じます。考え過ぎたりやらずに見ていたりすることが多く、なかなか思うように結果が出ないという子も見ることがあります。
 
 本校では、子どもたちの学ぶ力を伸ばすために教員同士で授業を見合ったり放課後により良い授業の仕方を話し合ったりする「学校研究」を続けています。左の写真は11月に3年2組で「分数」の研究授業が行われたときの様子です。授業の中盤、1/5mの紙テープが6つ集まった長さが「6/6mなのか6/5mなのか?」と大きな課題に突き当たりました。ある子は一人で黙々とノートに図を描いて考え、ある子たちは床に円くなって集まって、友達の説明を聴いたり「えっ、どうしてそうなるの?」と質問したりしていました。はじめて仮分数に出合ったわけですから、どうしてそうなるのかがわからないのは当然です。けれど、3年2組の子どもたちは、みんなで必死になって考え続けていました。「自分から進んで学ぶ気持ち(=夢中)」や、「先生・友達と話し合って学ぼうとする気持ち(=つながり)」を育てていくことで、子どもたちは新しい知識や技能をよりよく獲得し、そして新たに学ぼうとする意欲も高めていくのです。

 平成28年度から続けてきた「夢中」「つながり」の学校研究の成果として、本校で第10回教育実践発表会を開催します。これは、市内の小学校の先生方に授業を公開し、子どもの成長や頑張りを見ていただくものです。ぜひ御家庭でも、子どもたちの「夢中」を見付け、いろいろと「対話」をしながらお子さんのがんばりを見守ってくださると幸いです。
 
 最後に、学校研究にかかわって「夢中」に関する情報を調べる中で出合った言葉を紹介して終わります。「最も簡単な才能の見付け方を紹介します。何かが好き、楽しいと思ったらそれがあなたの才能です。好き、楽しいは夢中に繋がります。夢中は最強の才能です。努力が楽しくて仕方がないんだから嫌でも上達します。何か好きな事、楽しめる事があるあなたは既に才能を見付け済みです。」


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