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出国

昨晩はいつも通りゆっくり眠れた。
朝から旅への支度は順調で、予定通り空港へ着き、心配していた荷物の大きさも、なんのことはなく預けられた。

飛行機では必ず窓際の席を選ぶ。
理由は一つ楽しいから。

地上からぐんぐんとスピードを上げて離れていく。
雲の間に揺られながら、どんな雲よりも高い所まで飛んでいくのだ。

たまにUFOに遭遇しないかとか
龍の巣は見つからないかとか思いながら
変な形の雲を探したりして
いつのまにか数時間窓に張り付いている。

わたしが窓に張り付いているからか
通路側に座る人は、物珍しそうに何かを覗き込んでくる。

特になにもない。

今回の飛行では雷雲の中をかき分けていった。
目的地周辺が雨季なのもあって、次から次に大きく黒い雲が現れて、体は大きく揺れていた。

龍の巣を突いたかのように
ゴロゴロと音を立てて、あちらこちらに稲妻を光らせていた。

機体に雷が落ちたら、わたしはこのまま死ぬのだろうかと思いながら、強すぎる冷房の中、ブランケットにくるまりながら寝た。

夜22時半、無事に目的地の空港に着いた。
朝起きると早速スパイスのやさしい匂い包まれて、少しずつ旅路が始まった実感を得た。

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