永遠のおでかけ
祖父が亡くなった。99歳。
あと1ヶ月と少しで100歳。
「何も口にしなくなったから心の準備をしておいてね。」
母からそう連絡があった後、みんなが集まる事ができる土日にお葬式がちゃんとできるように、
祖父は亡くなった。
経理をきっちりしていたおじいちゃんぽいね。と笑いながら母が言った。
夫と日帰りで福岡に帰る。
夫も激務の中だったが当たり前のように
「一緒に行くよ」と手を取ってくれた。
祖父の亡骸を見たときそれは魂が入っていた
「入れ物」なんだなあと感じた。
もうそこに「心」は無い。
きっと近くで眺めているんだろうか。
不謹慎だが祖父の「器」を見ながらキョロキョロしてしまった。
私が母に勧めた益田ミリさんの本
「永遠のお出かけ」の中に
お父様が亡くなられた際に、棺桶にみんなからのお手紙を入れたシーンがあり。
母に真似をしたいから「お手紙を書いてきてね」と頼まれていた。
両親が離婚して九州に帰った時にお家を増築してくれたおじいちゃん。
美大を受験しに一人で九州に行った時に新幹線のホームまでお迎えに来てくれたおじいちゃん。
リビングで食事をとる時に「ん。」とテレビのリモコンを渡して自分の部屋に戻るおじいちゃん。
ありがとうありがとう。感謝の気持ちと。
99歳!すごい!立派だなあ。という気持ちがじわじわと溢れてきて泣いた。
穏やかな最後だったのでみんな思い出話で和やかな雰囲気だった。
「ありがとう」お礼が言えて良かった。母とハグをして帰宅する。
帰りの新幹線。
夫とホッとしながらお弁当を食べる。
可愛い可愛い赤ちゃんがいたので思わず
「可愛い!何ヶ月ですか?」
と話しかける。
(町に可愛い赤ちゃんがいるともはや孫みたいな感覚で話しかけてしまう)
3ヶ月の生まれたてキラキラの赤ちゃんだった。
若い幸せそうなご夫婦に愛されて輝いていた。
ホヤホヤでまだ何を考えるでもなく純粋な目で空間をポーッと眺めている。
亡くなった祖父と
ピカピカの赤ちゃん。
人ってこんなに光って生まれてくるのか。
そしてこんな風に亡くなって行くのか。
生き物の最初の地点と最後の終着点をいっぺんにみた日。
こんなにピカピカに生まれてくるんだから好きなことをして、
光って生きなきゃねえ。
そう思った。
今を共にする夫や家族が益々愛しく、光り輝いて見える帰り道だった。
おじいちゃん。長生きしてくれてありがとう。
優しさをありがとう。
受け継いだ資質を大事にして、
私も光って生きてくね。
益田ミリさんの本はこちら。
じんわり広がる、感動。
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