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20代無職望まない妊娠をする④

続きものです。
①はこちらです↓

昨日産婦人科に行ってきた。
2度目の産婦人科である。
1度目は、妊娠検査薬で陽性になり2日目に行った。
周りは妊婦ばかりで、ドキドキしながら待合室にいた。
エコーと診察を経て妊娠5週と診断された。
あの時は驚いたけど、妊娠は素直に嬉しかった。

一度の産婦人科から2週間後、まさか彼氏から中絶するように言われて、結婚もできず、憂鬱な気持ちでいるなんて想像もしていなかった。
妊娠を仕組んだとか、自分は被虐待児だから結婚に慎重で今は結婚したいと思わない、どうしても産みたいというならシングルで、でも自分のことは絶対に話してほしくないとかさんざんな言われようだった。
じゃあ妊娠するようなことをするなと思った。
避妊をわたしが飲むピルだけに依存しておいて、飲み忘れた、退職したし飲み続けるか迷ってたといったら、わたしはしっかり者だから飲み忘れないと思ってたと言われた。
子供が出来たら結婚すると思っていたといったら、それって仕組んだってことでしょうと。
もうこんな最低な男、消えればいいと思う。
でも一番は避妊が彼氏が好きだから、良い年齢だからと避妊がおざなりになっていた自分が悪いと思う。
そんなに自分が被虐待児だからと卑屈になるなら、なんで自分にわたしが結婚したいと思うほどの価値があるなんて思うんだ。(さすがにそれはかわいそうで言えなかった。)
そういう風な思考に至る回路をぜひ教えていただきたい。
愛情不足でさみしいといわれつづけ、好きや大好き、大切と彼氏に言い続け、大切にしてきた。
結局そうするとつけあがって自分が選ぶ立場だろ勘違いするんだな、子供作っておいてまで。

待合室は左手薬指に指輪が光るおなかの大きい妊婦と生まれたての赤ちゃんを嬉しそうに抱っこする男性がおり、泣きたくなった。
中絶の相談に来ている妊婦なんて自分だけだろう。妊娠初期らしい妊婦はいなかった。
自分にもこんな未来があったんじゃないかと思うと待合室でぼろぼろと涙がこぼれてきて、キャップとマスクをつけてきてよかったと思った。不審者そのものである。
ハンカチはぐちゃぐちゃに濡れ、マスクの中は涙と鼻水で汚れ外せなくなった。

医師の診察の前に、助産師からつわりは大丈夫か食事はとれているか確認され、尿検査を受けるよう指示があった。
つわりはそんなにひどくなく、食事はとれているといった。
食欲がないのはつわりではなく、今後の胎児と自分とそして彼氏の未来を考えると気分が悪くなるからだった。

医師の診察を受ける。
エコーを受けていると、「あー、ちょっと小さいねえ。心拍はまだかなあ。」と言われた。
ああ、7,8週で心拍が確認できないことなんてあるんだろうか。
でもすこしほっとしている自分がいる。
自分で胎児の命を絶つより、流産で仕方なかったと思うほうがよほど気が楽だった。
産婦人科に来る前の彼氏との話し合いで、もう中絶しろっていうならしようと心に決めていた。
彼氏もずっと人のせいにして生きてきた。
虐待されたのも、実母が厳しかったのも、シングルでお金がなかったのも全部。被虐待児なのは一生消えないと思う、彼氏のせいではない。でも経済的な面や実母との関係はもう自分でどうにかする年齢だと思う。
わたしも今回の妊娠中絶は自分を責めるのに疲れてしまい、彼氏のずっと人のせいにして生きてきたんだから、わたしも彼氏のせいにしようと決めた。
彼氏は何も身体的に傷つくことはない。
わたしだけ中絶したというスティグマを負い生きていくのだろう。

医師から妊娠の具合について説明を受ける。
「8週相当だと思っていたけど、妊娠週数は初期はずれることがある。今心拍が確認できないということは2週ほど週数がずれているのかもしれない。胎嚢は大きくなっているけど、週数ほど大きくないね。」
「また、2週間後に受診してきてほしい。そのときにはわかると思うから。」

わたしが彼氏に中絶するように言われて、中絶を検討していること、産むならひとりで産んでといわれたことを話すと、ぼろぼろと涙がこぼれてきた。

「そいつは最低だから別れた方がいいね。望んでない子供を産んだら虐待するかもしれない。彼氏いくつ?28歳か、男子は10歳ほど精神年齢が低いからもう仕方がない。でも、もしちゃんと育てようといってきたら、一緒に頑張るのもいいと思う。僕たちはいち子さんの味方ですからね。」
「いま中絶する選択をするより、もうちょっと経過をみるのがいいと思う、悩んでいるだろし。ただ、正常妊娠か異常な妊娠がまだ分からない。もしかしたら、稽留流産といって流産する可能性もある。だから2週間後でも、心配なら1週間後でも見せにきてほしい。もしかしたら1週間では分からない可能性もある。」
「もしかしたら次の受診までに、流産して赤ちゃんが出てきてしまう可能性がある。そしたら、出てきたものをくるんでタッパーに入れて夜間でも日中でも病院に電話して。夜なら次の日の朝まで待ってもらうから、冷蔵庫に入れてね。そして病院に持ってきて赤ちゃんかどうか調べるね。」

すごくありがたかった。
こんな29歳になって望まぬ妊娠をして、彼氏に中絶しろと言われている女に産婦人科はこんなに優しくしてくれるんだと思った。
1週間後に受診の予約をとった。心配だった。もし、流産しないなら早めに中絶した方がいいのではないかとも思った。
医師の診察が終わり、待合室で会計をまっていたところ、先ほどの助産師に声をかけられた。医師の診察中もずっとついていてくれた助産師だ。
すこし他の妊婦から離れたところに案内される。

「もし赤ちゃんが出てきてしまうときは、生理痛のような痛みがあってだんだん強くなってくる。その痛みが強くなると赤ちゃんが出てくる。でも赤ちゃん出たあとは痛みはなくなるから安心してね。また1週間後にね。」

そっか、赤ちゃんが出てくるときは痛いのか。
今も時折生理痛のような痛みがある。たまに悶えるほど痛いときもある。

でも精神的な痛みやつらさに比べたらずっとましだ。

産婦人科に行く前はずっと気が重かった。
中絶なんてして自分は耐えられるだろうか。精神的にも身体的にも、どうやって立ち直ればいいんだろう。

彼氏からは産婦人科に行く前、
「いち子は強いから、体もしっかり治してくれるよ。そんな弱くない。」
「中絶したら妊娠しやすくなるから気をつけろだって。不妊になるなんて書いてないよ。」
中絶後何カ月も生理がこないかもしれない、心配だというと「だから妊娠しやすくなるんでしょ。」
そういうわけではなく、生理がこないということは正常な生理周期じゃない、確かに妊娠しやすいかもしれないけどそのあとはわからないと。だから心配なんだというと「じゃあ俺はどうすればいいの。」

もうこんな彼氏ってなんなんだろう。
いつお金払ってくれるんだろう。
口座を伝えて3日は経った。

でもこんな彼氏でも嫌いになれない自分が心底いやだ。

母に診察で医師に言われたことを伝えた。
「まずよかった。気が楽になったでしょう。」
「あの、彼氏とは別れるんだよね?彼氏は被虐待児だけど、あなたに精神的なDVをしている状態。あなたは洗脳されているから、彼氏のことが気になってしまう。虐待された内容を人に話すのも洗脳の一部だよ。もう離れて、友達とかと遊んでリフレッシュして。もう会わない方がいい。」
わたしは彼氏がなんのダメージも負わず、のうのうと生きていくことがどうしても許せない。せめて、彼氏の母にこの事実を伝えて、しっかり怒られて反省してほしいと思っているといった。
「そういうことして本当に反省するかも分からない。逆上してあなたをおそってくるかもしれない。もうやめて。」
でもわたしは彼氏だけがのうのうといきていくなんて許せない。
彼氏が世界一愛情が欲しいと思っているお母さんとちゃんと今回の妊娠について話し合ってほしい。わたしだけが傷つくなんて耐えられない。

こんなにつらいのに、彼氏にはなにも言えない。
別れられたら、実家の住所も分からない。
わたしは彼氏と別れる気はない。
ちゃんと実家の住所を知って、彼氏のお母さんとコンタクトをとる日まで別れたくない。
だからこんなに苦しいのに彼氏には
「元気になったら旅行いこうよ!」と送る。そんなの出来る気がしない。

海外旅行に行こうといってパスポートをとらせる。戸籍謄本があれば、実家の住所がわかる。
でも彼氏は戸籍謄本をとるのを嫌がるだろう。
実父とは顔も名前も知らないと言っていた。
でもそういうことを自分は胎児にしようとしていたんだよ?
わたしが産んでも子供とは会わないといっていたよね?

結局自分がやられたことをやり返しているじゃないか。

わたしもわたしだ。
相手が好きなままなのに、復讐したいと思っている。
でも妊娠が分かってからのLINEのやり取りをみていつも泣いている。
こんなに自分を大切にしてくれない人間なのに、どうしてすっぱり切れないんだろう。

夜大丈夫だった?とLINEがきた。
もう体調も悪いし眠いし返信しなかった。

これから流産する可能性などを彼氏を話す。
LINEの返信も遅いし、もう付き合い続けるのは難しいかな。

でもこのままなんにも忘れて生きていくことだけは絶対に許せない。





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