HOLLOW KNIGHTは美しいゲームだった

AAAタイトルに飽きた、3Dアクションはマンネリ化した。そういう人にはHOLLOW KNIGHTを勧めることにしている。

絵が綺麗で音楽が壮大な横スクロールアクション。
メトロイドヴァニアと呼ばれて久しいこのジャンルは、縦横に広がるマップ、様々な敵、能力を身につけることで行く先が増えていく快感、各所にあるアイテム探索が魅力だ。
主人公は失われたムシ達の楽園、今や廃墟となったハロウネストを探索していくことになる。

今にして思えば、初めてポケモンをやったとき、一番楽しかったのは「いあいぎり」や「なみのり」によって、これまで行けなかった場所に行けたときだった。
タマムシシティのジムリーダーが何を使ったかも覚えていないけど、「おちゃ」を警備員に渡したら進めるようになったことだけはよく覚えている。
少し大きくなると、そういったアイテム回収依頼は「おつかい」と称されてバカにされるようになった。適切なストーリーが無いおつかいは、単なるゲームの進行管理のフラグに成り下がる。
サイドビュー2Dアクションの、本人の成長による二段ジャンプやエアダッシュは、そのあたりのマンネリを成長物語、あるいは何らかの力の継承としてストーリーテリングできるのでスムーズだと思う。「新しいところに行けるようになる(しかも、向かわされているという不快さを感じさせず)」というのは本能的な楽しさに繋がる。

人によっては装飾品や敵図鑑をコンプリートする喜びを挙げるかもしれないが、俺はあんまりその手の収集には興味がないので割愛する。
ただ、しっかりアイテムを集めて進めていくことも、技量次第である程度すっとばして進めていくこともできる、そのあたりの懐の広さも魅力であることは間違いない。
さてここまではメトロイドヴァニアというジャンルの共通の話だ。

本作最大の魅力はボスの強さと、ソウルシリーズを彷彿とさせる言葉少ななフレーバーテキストにある。

これは難しいところだが、かっこよさとアクションゲームの難易度は相関していないとストーリーが”弱く”なってしまう。
壮大な物語には、それだけの強さ(説得力)を持ったボスが必要だ。
広大なステージにあわせて、ユニークボスが何十体といる。
マンネリの無い緊張感のあるバトルをこれだけの規模にわたって継続できることはすでに非凡だと思う。
操作性もよいので、きちんと向かえば必ず倒せる難易度なのもありがたい。
(3Dアクションに比べて取っつきやすいしキャラクターはかわいいので人に勧めやすいかと思いきや、
べつにアクションが不得意とは言えない自分でも真ボスには数十回負けたので、勧めづらくなってしまいました…)

主人公の正体や、その旅路を阻む敵、ハロウネストの王、光を浴びて狂ってしまったムシ達といった全体的な物悲しさを美しい背景とヴァイオリンの音色が彩る。
繁栄を誇った理性あるムシの王国がなぜ滅びたのか、ホロウナイトとは何者であり、主人公はどこからやってきたのか、
進むほどに謎が深まり、ラストの納得感もひとしおだった。
断片的な情報をもとに背景を推察させるストーリーテリングはソウルライクなものであり、
死ぬとその場に経験値的なものを落とす死にゲーとしてのシステムもソウルシリーズへのオマージュであることは確かだろう。

ボリュームのあるゲームだし、エンドコンテンツも充実しているので2Dアクションやりたいなーというときにはまず1本やって損はないゲームです。

もしそういうのはちょっとって思ったら、「星のカービィ鏡の大迷宮」がもう少しポップで遊びやすいのでオススメです。

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