野球を好きになったら運命が変わった話。

mast20 Advent Calendar 2021 の10日目の記事です。


9日目は、カフェイン無効さんの記事『スキーとスノボの話』でした。


とっても楽しそうな記事でしたね!スキーにはかれこれ5年ぐらい行っていないので、私は多分もうボーゲンすら怪しい。ボーゲンが何なのかはぜひ上の記事にて。

自己紹介を少しだけ

「唯一イオンのない県」から参りました。つくばのこと都会だと思ってます。
メ創だけどプログラミングができない、でも何かを作るのは好き、そんな人です。

優しい同期たちが「好きなことを楽しそうに話してくれたら楽しんで読む」と言ってくれたので、今日は野球の話を。
コロナ流行前は、そろばんの大会前日に2試合観戦しに行ったり、ピアノの発表会直前まで球場で応援していたり、受験期なのに目当てのピッチャーを見に秋大会に行ったり。とにかく近くの球場で試合があれば見に行かずにはいられない人間でした。
野球のどんなところが好きかを端的に言うと、ドラマチックなところです。俗に言う「エモい」とか「アツい」とかですね。
ということで、私が熱狂的な野球好きになるまでの話を、できるだけドラマチックにお届けしたいと思います。ちょっと長くなりそう。暇な時にお読みください。

最初の「運命の日」

時々、もっと小さい頃から野球が好きだったらなあ、と思う。
過去の野球界には、この目で見ておきたかったドラマが無数に存在するのだ。

両親が共働きであるため、夏休みに入ると私の居場所は専ら母の実家だった。宿題をする時のBGMは甲子園の中継。夜ご飯を食べる時は祖父の好きな巨人の試合を見る。ルールや有名な選手の名前ぐらいは知っていた。でも、特に何の興味もなかった。
なんとなく勉強を頑張りたくて、中高一貫校を受験した。中学一年生の夏、高校の野球部が甲子園に出場するから見に行ってみようと、父が車で球場に連れていってくれることになった。

2014年8月11日。
台風の影響で順延になった大会第1日目が、私の運命を変えることになる。

父の方が乗り気だった。私は遠出できるから楽しみにしていただけだった。でも、あの日のことは鮮明に覚えている。
通路からスタンドへ。目に飛び込んできた青空を、心が震えるような熱気を、私はきっと一生忘れないと思う。

正直、試合のことはよく分からなかった。初めて応援席から見るグラウンドはとても遠く、選手達は豆粒ほどの大きさ。ボールを見失うことなんてざらで、ホームランも歓声でぼんやりと分かったぐらい。
それでも、楽しかった。
感動ってこういうことだ、と思った。
それまではただ流れているだけだった甲子園の中継を、初めてちゃんと見た。当時は知っているチームなんてほとんどなくて、実家からの距離が近い方を応援すると決めていた。
母校は持ち味の攻撃力を存分に発揮し、準決勝まで勝ち進んだ。

その日は朝から雨の予報だった。球場に行ってから中止になっては残念だからと、テレビの前からの応援。予報通りの雨だったが、試合は行われた。
大阪の強豪校が相手だった。1回表に6番ライトの選手が満塁ホームランを放ち先制はしたものの、2回裏に早くも追いつかれる。壮絶な乱打戦の末に、私の母校は敗退した。

9-15。夏の終わりの雨の中で、2年生エースが泣いていた。

「運命の日」、再び

それから約7ヶ月。社会の授業終わり、教科担任の一言で、私の興味は再び野球に向くことになる。
「野球部が春の全国大会に出る。先生のクラスには、2年生で背番号6を貰った選手がおるんや」
それがどんなにすごいことかをよく知らなかった私のリアクションはさぞ薄かっただろうが、すぐに夏のあの楽しさを思い出し、全校応援の出欠確認に迷わず丸をつけた。
母校の試合は全て球場で観戦した。だんだんと細かい戦術や専門用語も分かるようになってくる。そして、気がつけば母校はベスト4に入っていた。

準決勝。
相手はあの大阪の強豪校。
ベンチは三塁側、先攻。
1回表、6番ライトの選手が満塁ホームランを放ち幸先よく先制する。

——そのどれもが、あの夏と同じだった。
偶然にしては出来すぎた試合展開に、また逆転されて負けるのではないかとさえ思った。

だけど、空は晴れていた。

そしてあの日と大きく違ったのは、母校が勝ったこと。

11-0。先輩に支えられながら泣いていたあの2年生は、立派なエースになっていた。

もちろん翌日の決勝にも足を運んだ。チケット販売の行列にも、雨で試合開始が遅れたことにも、嫌な感情なんて湧かなかった。
決勝戦のことも細かく語りたいが、結果だけ言うと優勝した。北陸勢としては春夏通じて初の全国制覇だった。

雪の降る冬には仲間と共に厳しい練習を乗り越え、夏の大会で負けた相手と春の大会で戦い、試合の立ち上がりは同じ展開ながらも、もうあの頃とは違うと言わんばかりに相手打線を抑え、勝利を掴んで、決勝も制し日本一に。
高校野球では、こんな小説のような出来事が大会の度に起きていることを知った。
当時のエースの野球ノートには、悔しさを忘れないよう表紙に「9-15」の文字が記されていたというエピソードも、後から知った。
前年夏の準決勝を知らなければ、勝って良かったなあ、としか思わなかったかもしれない。
もっと裏側のドラマを知りたい。悔しかったことを、頑張ってきたことを、それぞれが抱いている想いを、少しでも知りたい。
そして私は、高校野球にのめり込んでいく。

2022年3月18日。
第94回選抜高等学校野球大会が開幕します。
あなたの運命を変える出会いがあるかもしれません。
来年の春、ドラマチックな物語の目撃者になりませんか。

ちなみに、文中に登場した「私の母校」も「あの大阪の強豪校」も、選抜大会出場が決定的となっています。

おわりに

長文にお付き合いいただきありがとうございました。
運命の日と表現いたしましたが、どんな風に私の運命が変わったかと言いますと。
自分もやってみたいと中学2年生の時にソフトボール部に入部し、今も現役を続けております。
志望校を決める時には、選抜優勝時のキャプテンが筑波大学という茨城の大学に進学したことを思い出し、筑波大学ってどんな学部があるのだろうと調べ、そしてメ創を選び、今これを書いております。優秀で心優しい同期たちにも出会いました。ありがとう。

好きなことを話すって楽しいですね。他にも大好きな野球のエピソードは山ほどあるので、いずれお伝えできたらなと思います。

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