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「9月入学制度をどう考えるか」② グループセッションのテーマにしてみた

総合大学で教育心理学と教育相談の授業を担当しています。
休校が長引く中、急浮上してきた「9月入学制度」ですが、授業後に書いてもらっている学生のリアクションペーパーにも次のような記述がありました。「今話題となっている9月入学制度の教育に及ぼすメリット、デメリットについて知りたいと思いました。」この回の授業内容が「教育における発達理解の意義」だったのでの関連付けて書いてきたものと思われます。これを読んで、学生自身の考えを聞いてみたいな〜と思い、グループセッションのテーマにしてみました。「9月入学制度をどう考えるか」①私はこう考える

学生が書いたリアクションペーパーから

グループセッション(以下、GS)後に書いてもらったリアクションペーパー(以下、RP)であるが、「賛成」「反対」と立場をはっきりしての記述は少なく、「はっきり賛成」は「学生生活スタートの貴重な時間を奪われている」といったことからの賛成。「はっきり反対」は「この事態がいつ収束するかわからない」といったことからの反対。              多くの学生はメリット・デメリットを挙げて意見を述べている。例えば、「教育制度を変えていくことに反対なのではなく、しっかりとした議論がなされないまま、コロナ禍で変えるなら今しかないというような軽率ともとれる判断が私は反対なのだ」「いまの日本で最優先に話し合う事柄なのかと疑問に思った」「学生のためを思ってくれることはありがたいが、それ以前に今の日本には他にすべきことがたくさんあり、ここで新しい制度を導入することは混乱を招き、日本の崩壊に繋がりかねないと考える」

学生の記述があまりにもたくさんあること、また、コピペができないため、ココに学生の声を載せることはあきらめた。(書き写すのは不可能)

そもそも変える必要があるのか

「9月入学制度」を推進する理由として「留学」が挙げられる。それならば、4月から8月を”ギャップイヤー”(ギャップマンス)にして、留学の準備に充てればいいのではないか。留学生活の足しになるように、バイトをしてお金を貯めたっていいだろう。留学を終えて3月までは、また”ギャップイヤー”として4月に仕事を始めるため準備に充てればいいのではないか。それには、教育費の負担を少なくする必要があるが…何しろ、日本は教育費が高すぎる。そもそも誰もが留学することを選べるようになっていない。

今、やるべきことがある

推進する理由として「コロナ禍で貴重な学校生活が奪われている」ということが挙げられる。それならば、今、できる限りの手当をすることが必要だろう。先延ばしにするべきことではない。「入試」の不平等を言うならば、出題範囲を、例えば「中2まで」とか「高2まで」と決めればいいことだろう。そうしておいて、教育内容を精選し、学習できる条件を全力で整えていくことこそが必要ではないか。40人学級という過密な教室空間の改善ひとつ行わず、なぜ今これ? 疑問しか残らない。  「クイック・リカバリー」(末冨 芳さん・日本大学文理学部教授)後ろへズラすのではなく、今、「今、学んでいる子ども・青年たち」への手当てを優先していただきたい。

次の記事の紹介をもって、まとめとします。

「9月入学・始業制」に関する提言書の提出と記者会見について     日本教育学会  2020.5.22

そろそろ9月入学の議論は延期して、もっと重要な課題に取り組むべき  妹尾 昌俊  2020.5.22

【完全解説】コロナと9月入学  Ed Matuda  2020.5.20







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